書道筆おすすめ20選｜上級者・初心者向けの筆や選び方・高級メーカーも紹介

書道を始めた方も、もう何年も習っている方も「今より上手に書きたい」といった向上心は書道上達の必須条件です。しかし、ある程度まで行くと「なかなか上達しない」と悩んでいる方もいますよね。その原因は今使っている筆の可能性があります。

間違った書道筆を選んでしまうと、自分の実力が発揮できずに完成度が低いものになってしまいます。完成度の高い作品にするための筆選びは、筆の毛の種類・筆の形状・穂先の長さ・穂の長さや太さ・穂の弾力など多種多様の種類があり、どれを選べばいいのか迷ってしまうものです。

そこで、今回は上達できる書道筆の選び方と、初心者から上級者までおすすめの筆を紹介します。書きたい文字と自分に合った筆を選んでワンランクアップした書道を楽しみましょう。

「尖（せん）」は文字通り穂先がしっかりと尖っているのを指します。先が尖っている筆は全体のまとまりがよく、穂先の動きを自分の思うように調整しやすくなります。起筆と終筆をしっかりとするには「尖」が重要です。特に細筆は穂先が大切で仕上がりに影響しますので、よく吟味して選ぶようにしましょう。

「斉（せい）」は穂先の毛が揃ってきれいに整っているのを指します。筆はたくさんの毛の集まりで、毛がきれいに整った筆は多くの墨を含ませられます。「斎」のない筆は、毛のまとまりからはみ出した毛が余分な線を引いたり、書面を汚してしまったりするものです。起筆や終筆はもちろん、運筆にも影響する重要なポイントです。

「円（えん）」は穂や毛全体がきれいな円錐形であるのを指します。筆の穂は墨が含まれるところで、そこがきれいな円錐形であればまんべんなく墨を含ませられ、滑らかな線で書けるようになるとともに穂割れも防げます。特に運筆に影響を与え、ボリュームのある力強い字を書くには「円」は重要なポイントです。

「健（けん）」は穂先に丁度いいコシと弾力があるのを指します。筆にコシと弾力があると、筆圧の増減による穂先の動きがしなやかで滑らかになり、書道の醍醐味の「とめ」・「はね」・「はらい」を思いのまま表現できるようになるのが特徴です。また、筆圧をそのまま文字に反映させられ力強い書を書けます。

大きめの文字の「楷書」を毛筆で書くには弾力性の高い剛毛筆の中で、穂の長さが短いものを選ぶと、一文字一文字がしっかりと書けます。特に、毛質がとても硬い馬毛がおすすめです。馬毛は毛を取る部位で硬さが異なりますが、書道筆では主に毛の硬い部位が使われています。

「行書」には、穂先のコシが柔らかい「柔毛筆」または剛毛と柔毛の混ざり合った「兼毛筆」が適しています。毛先が長いものであれば墨含みがよく、一気に書き上げられます。上級者にはヤギの毛を使った羊毛筆がおすすめですが、使いこなしの難しさでも有名な筆です。初心者から中級者の方は羊毛に剛毛を混ぜた兼毛筆がおすすめです。

「草書」で書くときには文字の流れが大変重要で、筆を柔らかく動かさなくてはなりません。そのためには筆の穂は柔らかな柔毛筆を選び、草書独特の線の変化を付けましょう。一気に書き上げる場合は墨含みのいい穂先の長いものがおすすめです。毛質がとても柔らかな羊毛筆がいいのですが筆運びがとても難しい筆です。

「太筆は」1～4号程度の太さを持った筆で、穂の先端から3分の2程度までほぐして使います。書き初めなどの大きな文字や、半紙に8文字程度を書くのに適しています。太筆には馬の尻尾の根元の毛である弾力性のある天尾や、毛に粘りがあって墨含みがいいヤギの毛を使った羊毛が使われているものが多いです。

「中筆」は5～7号程度の太さを持った筆で、半紙に8～12文字程度書く場合に適した筆です。色紙を書く際にも重宝します。中筆は表現の幅が広く、文字の種類や紙の種類よって穂首の長さや筆の弾力を変えて広く対応できます。また、中字生が仮名文字の条幅を書くのにも適しています。

「小筆（細筆）」は8～10号程度の筆で、穂の先端から3分の1程度をほぐして使います。細い筆ほど穂先が重要になってきますので、筆おろしは慎重に行いましょう。封筒・手紙・はがき・写経など、小さな文字を書きたい場合に便利です。筆の軸の下の方を、親指と人さし指で持ち、まっすぐに筆を立てて書くときれいな文字が書けます。

「剛毛筆」は硬くコシのある毛を使った筆で、とめ・はね・はらいを力強く表現する必要のある楷書や大きめの文字を書くのに使われています。

ただし、毛が硬い分、墨含みが悪くてこまめな墨継ぎが必要です。しかし、かすれを生かした文字を書きたい場合は墨含みの悪さが生きてきます。狸・馬・鹿・イタチなどの毛が使われたものが多いです。

「柔毛筆」は柔らかな毛素材を使って作り上げられた筆です。多く量の墨を含め、強弱を付けた表現ができるため、草書や行書などの連続した文字を書くのにおすすめです。

特に羊毛（ヤギの毛）を使った筆がよく知られています。羊毛を多く含む筆は穂先が柔らか過ぎて制御が難しく、初心者には扱いにくい場合があります。羊毛だけで作られた筆は上級者向けと考えてもいい筆です。

「兼毛筆」は剛毛と柔毛を組み合わせて作った筆です。剛毛筆のコシの強さと柔毛筆の墨含みのよさをあわせ持ち、初心者が柔毛筆を使うためのステップとしてもおすすめです。また、1本で楷書から草書まで対応できる便利な筆でもあります。

毛の組合せはいろいろで羊毛が多いと柔らかく、馬・狸・鹿の割合が多いと弾力のある筆になります。

「ナイロン筆」は毛状に加工されたナイロン製の毛で作られた筆です。以前はナイロン毛の筆は天然毛のものより劣るといわれていましたが、今では技術の進歩でかなり改善され、手軽でリーズナブルな筆として人気もあります。

しかし、ナイロン毛のみで作られた筆は、天然毛のものと違った書き味がしますので、天然毛にナイロン毛を混ぜた混合筆がおすすめです。

ストレート軸は軸の太さが均一に作られており、書いている線の太さを指先で感じられるのが特徴です。中筆や小筆はほとんどがストレート軸です。太筆の場合は製品により軸が太くなり持ちにくく感じる場合もあります。軸の太さは手の大きさや好みによって相性があり、いろいろ握ってみて違和感のない筆を選ぶのが一番です。

だるま軸の筆は太筆に多く、軸の穂に近い部分に膨らみを持たせた筆です。大きな穂の割に軸が細くでき、墨含みのいい筆が作れます。子供や手の小さな人でもしっかりと握れ、大きな文字が書けます。手の小さな子ども用として多く使われている筆です。大人の方でも軸が細い方が使いやすいといった好みで多くの愛用者がいます。

軸の太さと穂の長さの関係で以下のような3つのタイプがあります。

• 長鋒（ちょうほう）：穂の長さが軸の太さの5～6倍以上
• 短鋒（たんぽう）：穂の長さが軸の太さの2～3倍以下
• 中鋒（ちゅうほう）：長鋒と短鋒の中間

長い穂先は線の強弱を繊細に表現しやすく、滑らかな草書や行書を書くのにおすすめです。短い穂先は楷書などの力強さを表現するのにおすすめです。

書道を始めようする方が一番初めに用意するなら、太めの筆がおすすめです。学校の授業なら太筆と細筆を1本ずつ用意するのが一般的です。初心者はできるだけ扱いやすい兼毛筆を選んでください。初めて書道筆を購入する方は握り心地も確認しましょう。手の小さい方や子供にはだるま軸の方が握りやすいです。

腕前が上がってきたら、楷書から行書や草書、大きい文字から小さい文字までいろいろな文字に挑戦してみましょう。そのためには、書く文字に合わせて複数の筆の使いこなしが必要です。穂先の柔らかな弾力のない羊毛筆が使いこなせるように、いろいろな筆を使っていろいろな文字を書いてみましょう。

あかしやは、1716年に奈良県で創業した老舗の筆専門メーカーです。書道用筆はもちろん、画筆・筆ペン・和柄のペンケースなども取り扱っています。筆は長年継承されてきた匠の技術による品質の高さは折り紙付きで、中・上級者におすすめの商品が多数販売されています。

また、初心者や小・中学生にもおすすめの初心者用の筆も取り揃えているもの特徴です。羊毛の柔らかさと馬尾脇毛の強い弾力を兼ね備えた筆など、初心者用でありながらしっかりと書道に向き合える品質の高さが魅力です。

一休園は1921年に創業した広島県熊野町にある高級メーカーです。熊野町は筆の里と呼ばれ、一休園の筆は代々受け継がれた伝統ある熊野筆を取り扱っています。書道用筆はイタチ毛・狸毛・猫毛、それぞれの特性を生かして作られており、品質は非常に高いです。その分価格は高めのため、上級者におすすめの高級メーカーです。

呉竹は1902年に奈良県で創業したメーカーです。書道用品はもちろん、筆ペンや絵画用品なども幅広く取り扱っているのが特徴です。書道用筆は、お手入れが簡単で初心者の方も使いやすい「くれ竹和筆」や、上級者におすすめの高級太筆など幅広く取り扱っています。

また、便利なオンラインショップを開設しているのも特徴で、気になる方はまずは呉竹の公式サイトをチェックしてください。

子ども向けの筆と比較すると、大人向けの筆は質がいいです。書く文字の種類などに適した筆が揃っており、筆の先端部がきれいにまとまります。大人向けの筆を子どもが使用するぶんには問題ないため、より使いやすい筆を求める方は検討してみてください。

書道筆をどこで買うかは、その店舗の特徴で選びましょう。数多くの種類から格安で買うならネット通販がおすすめです。特に購入する筆が決まっている場合は安価に手に入る場合が多いです。

実物を見てから決めたい方や、プロのアドバイスがほしい場合は専門店に足を運ぶのをおすすめします。一般的なものであれば、文房具を取り扱う店でも置いてあります。

お気に入りの筆を長く使いたいなら、お手入れはしっかりしましょう。まず、筆のキャップは販売時の保護用ですので必要ありません。付けたまま保管すると、乾燥不足で根腐れする場合があります。筆の手入れ方法は下の方法が一般的です。

1. しっかりと水で墨を落とす。（流水は避け、シャンプーの使用はやめましょう）
2. 毛に沿って丁寧にふき取る。
3. 風通しのいいところで乾燥させる。

書道では書き始める前に、書きたい作品のイメージを持つのがとても大切です。次にそのイメージを表現するのに適した筆を考え、筆の候補を上げてみましょう。その中から自分が一番書きやすい筆を選ぶと、あなたにとってベストの作品が作れます。いろいろなイメージを持つためにもいろいろな筆を使ってみるのがおすすめです。