歳時記おすすめ12選｜俳句に便利な歳時記とは？無料アプリ・サイトは？【Androidも】

俳句には必ず使用する季語。5・7・5の短い詩に季節を表す言葉を入れ込みますよね。そのため、俳句を詠むときにはどのような言葉が季語に当たるのか、またどのように使うのかを調べます。

そこで手に入れたいのが「歳時記」です。俳句作りに使用する季語を集めてあり分類・解説して、そこに例となる句を加えた書物です。季節分けのもとになっている「啓蟄」や「春分」といった二十四節気や、二十四節気をさらに分類した七十二候についての説明も入っています。

このように季語と歳時記は俳句作りに欠かせないものではありますが、日本語の美しさ、四季の表現の豊かさを感じられる歳時記は読み物としてもおもしろく、さまざまなタイプの本が出ています。この記事を参考に、自分にあった歳時記を探してみてください。Androidスマホでも使える無料アプリやサイトについても必見です。

歳時記は、旧暦をベースに、年間行事や四季のイベントをまとめたものを収録した百科事典のようなものでした。後に、江戸時代からは俳句の季語や解説などが加わり、貝原益軒の『日本歳時記』から始まって現在では『食の歳時記』『暮らしの歳時記』などが出版されています。

現在出版されている歳時記のうち、四季の季語がすべて収録されているものを「合冊」、1つの季語に絞ってまとめたものを「分冊」と呼ばれています。合冊は年間を通して使用できるのがメリットです。また、分冊はひとつの季語をより詳しく知れて読みやすいサイズ感が特徴です。

歳時記と同じように季語を掲載している本に「季寄せ」があります。本によって差はありますが、「季寄せ」は季語の集成を目的としていて、解説や例句は少ないかもしくは掲載ないものが一般的です。歳時記を簡略化したものと考えておきましょう。

そのため、季寄せは俳句をすでに始めている方が実践の場で使う傾向にあります。その場合はすぐに調べられるよう、索引が充実していて見やすいものがおすすめです。

一方、普段はなかなか使わない言葉や美しい言葉に出会う楽しみ方もあります。コンパクトながらたくさんの季語が集まっている季寄せは、ただ眺めているだけでもいろいろな発見があります。知っている言葉でも、季節が思っていたのと違うケースもありますよ。

「歳時記」とひとくちに言っても、それぞれに工夫された特徴があります。好みの歳時記に出会うためのさまざまな選び方をご紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。

スタンダードな歳時記を選ぶときには、どれくらいのレベルを求めているかを考えましょう。はじめての一冊と、経験を積んでからの一冊はやはり異なるものです。目的によっても変わってきます。

持ち運びがしやすくいつでも時間があるときに勉強ができるので、特に初心者の方はお手頃価格で購入できる持ち運びサイズの歳時記がおすすめです。これから俳句を始める人にも取り入れやすいよう、基本的な季語の紹介とその解説がわかりやすくされているものが多くあります。内容も掘り下げすぎず、読みやすい量なので折につけめくってみるのにぴったりです。

また、旅先や友人と集まって俳句を詠むときにもコンパクトサイズは重宝します。いつもバッグにしのばせている方も多いようですよ。

俳句作りに慣れてきてより多くの季語や例句を知りたい方や、もっと日本の季節感や行事などを広く勉強したいと思う方には、大判の歳時記を持っておくのをおすすめします。「大歳時記」と銘打っているものが多いです。

季語の種類や説明・例句の数が充実しているのはもちろんですが、価格がぐっと上がる場合もあり各本ごとに趣向がこらされています。百科事典タイプの歳時記は写真や絵画・図表・エッセイなどが掲載され、より深く日本の豊かな自然や暮らしに触れられます。いろいろ見比べてみましょう。

歳時記を見ていると、季語の種類とその日本語の表現の豊かさに驚かれされます。もっともっとたくさん見てみたいと思う人には、季節ごと（春・夏・秋・冬・新年）に分割された分冊版をおすすめします。特にコンパクトサイズのものだと持ち歩きできる上、情報量も多いのでいつも手元に置いておきたい人にはぴったりです。

季節ごとの歳時記は本の装丁にも季節感あるデザインや、統一感があるデザインになっているのも魅力的です。本棚にシリーズで並べたくなりますし、プレゼントにも喜ばれそうですね。

また、季語をたくさん知りたい方には「季寄せ」もおすすめです。前述したとおり季寄せは主に季語にフォーカスした本になっています。

花・天気・動物・食べ物など俳句を詠むとき、ついつい季語に選んでしまうカテゴリーはありませんか。たくさんの季語を見ていても特に熱心に読んでしまう分野がある方にはひとつの分野に特化した歳時記もあります。

好きなカテゴリーの言葉を深めていく場合はもちろん、まず好みのカテゴリーから歳時記の世界に足を踏み入れてみるといった方法もあります。どちらの場合も関心のあるはずなので、頭にもすっと入ってくるはずです。

文字から場面を想像するのも楽しいですが、その言葉が表す景色をビジュアルでダイレクトに見たい、知りたい方も多いです。特に季語や俳句の初心者の場合、目から入る情報がたくさんあるほうが想像の世界が広がって、俳句が読みやすくなります。

写真やイラストがふんだんに使用された歳時記は、そんな方にぴったり。ページを開いた途端にその季節の様子が浮かび上がってきます。カラーページが多い本ならより色彩豊かに楽しめますね。

歳時記は「季語」「解説」「例句」で構成されるのが一般的です。例句は季語をどうやって俳句に生かすかを知るために欠かせないもの。いろんな例句を見たいのならある程度ボリュームのある歳時記が必要になるので、例句の数が売りになっている歳時記から選ぶのもおすすめです。

また、俳句は正解があるわけではないので、例句は編者の好みや得意分野によっても左右されます。歳時記は著名な俳人が編者に名を連ねるものもあれば、一人の編者がじっくり何年もかけて取り組むもの、改訂を重ね時代に即していくものといろいろな作り方をされているので、自分にしっくりくる一冊を選びましょう。

節分・七夕・十五夜と今も暮らしに根づいている季節の行事も、もちろん季語です。いきなり季語や例句がずらりと並ぶ歳時記は敷居が高いと感じる方は、日々の暮らしに近い歳時記からはじめてみるのがおすすめです。いわゆる「歳時記」は俳句を詠むための辞書としての役割を持ちますが、暮らしをテーマにした歳時記は日本ならではの季節の風景を紹介する本になっています。

行事やお祭り・食べ物・天気など言葉や風習は知っていても、詳しい内容までは知らなかったので発見があった、四季の移り変わりがより身近になった、と感じる人が多いようです。美しいイラストとともに解説された本が多いのも特徴です。

また暮らしをテーマにした歳時記の中で、季節の区切りの言葉にあたる二十四節気や七十二候にスポットをあてた歳時記もあります。四季をさらに細分化する二十四節気と七十二候は、季節の巡りを言葉で敏感に感じられるところが人気です。

人気テレビ番組に出演し、メディアからひっぱりだこの夏井いつきさん。中学校の先生から俳人へ転身した夏井先生は「教える」仕事をしていたからか、素人も引き込まれる巧みな語り口で、俳句を作らない人たちからも注目されています。そんな夏井先生の著作や、愛用の歳時記は気になるところです。

俳句の裾野を広げる活動に熱心な夏井先生には、初心者向けの著書がたくさんあります。基本的な季語やその解説がわかりやすいのはもちろん、文章も語り口と同様に軽妙でおもしろいのでどんどん読み進められます。また、基本だけでなく季節や時代の変化によって季語として廃れていく言葉にスポットをあてた珍しい本もあります。

例句は名句から最近のものまで取り上げていて、初心者にもとっつきやすい「今」の感覚を伝えてくれます。読者参加型の歳時記の監修者としても活躍されています。

夏井先生の著書は俳句作りをする人もしない人も楽しめる内容が多く、その点でも人気を集めています。作る、教える、評価するといったさまざまな立ち位置で俳句に関わっている夏井先生だからこその、バラエティに富んだ歳時記を見られます。

たくさんの著書がある夏井先生自身はどんな歳時記を使用しているのか気になりませんか？ご本人のブログには 講談社『新日本大歳時記』・角川書店『俳句大歳時記』・平凡社『俳句歳時記』・河出書房『新歳時記』といった書名が見受けられました。どれも内容量が豊富な歳時記で、並行して使用しているようです。

あげられた歳時記の中でも平凡社の『俳句歳時記』は少し特殊です。2012年の出版ですが、1959年発行の歳時記の装丁を改めて再刊行した「新装版」のため、玄人受けの一品と言えそうです。夏井先生は「解説」に加えて「参考」など詳しい補足が載ってたり、江戸から昭和までの例句がていねいに拾われているのが大変ありがたいと書いています。

また、編集の考え方や苦労が後記に書かれていて興味深いともおっしゃっています。少し前の時代の歳時記は絶版になっている場合が多いので、過去に出版された歳時記を探している方は手に取ってみてください。

毎日、日本の祝祭日・六曜と月の満ち欠け・二十四節気七十二候など、今日は何の日かをお知らせしてくれるアプリもあります。歳時記の本を持ち歩かなくても、その時々の季節の話を知れるのが優れものです。

わざわざアプリをダウンロードしなくても、無料で利用できるサイトもあります。季語・例句の検索機能も付いているので使いやすいです。

「季語を誰が決めているか」は難しい問題ですが、特に何かの決まりがあるわけではありません。これまで使用されてきた季語は主に歳時記にまとめられていますが、あくまで基準として記されている書物になっています。

俳人・歌人として名高い正岡子規に言わせれば「歳時記よりも実情を優先せよ」。つまり、感受性を大事に思いつくままに詠むのが大切と伝えています。

ここまで歳時記の選び方とランキングについてお届けしてきましたが、気になるものはありましたか。歳時記は日本の四季の美しさを味わうとともに、日本語の豊かさに触れられる素晴らしい書物です。