手塚治虫作品のおすすめ人気10選｜代表作や最高傑作・大人も楽しめる名作

天使・チンクの悪戯で誕生した、男の心と女の心を持つサファイア王女をヒロイン兼ヒーローに据えたファンタジー作品です。お姫様が男装の麗人となって悪人と戦うという、当時の少女漫画としては斬新な内容となっています。

手塚自身が小さいころから楽しんだ宝塚歌劇団の影響を強く受けており、サファイアのモデルは元宝塚の劇団員と言われています。その劇団員の大ファンだった手塚が、男役を演じたその劇団員の舞台を見てサファイアを考えだしと言われています。

今でいう所の変身、コスプレ、ツンデレなどの萌え要素の先駆けの作品ではないでしょうか。ちなみに、テレビアニメでサファイアの声を担当した声優も元タカラジェンヌである。リボンの騎士を題材にしたミュージカル公演も数回行われています。

1981年から1982年まで週間チャンピオンで連載されました。全47話でさくっと笑える短編集です。老若男女どんな役でもこなす代役専門の舞台俳優のお話。全くの素人で本業の役者ではないのだが、卓越した変装と声色の技術をもっており、客のみならず有名演出家や一流の女優をうならせるほどの演技力を持つ主人公のお話です。

台詞の記憶力も非常に高く当日ギリギリの依頼でも難なく引き受ける。しかし、観客を熱狂させる名優というのは彼の一面でしかなく、その本業は泥棒である。その変装術を活かして劇症内にやってくる金持ちから宝石類等の金品を盗むのが一番の目的でした。

出演の依頼をするには｢新宿私書箱5826432｣に速達で手紙を郵送する事。正装したインコの絵が描かれている独自の名刺を持っていて自己紹介の時にはそれを使っています。キザで知性的な印象だが、憧れの役者に出会ってテンションが上がりドジを踏む等時折見せるコミカルな描写も印象的です。

1970年から1971年にビッグコミックにて連載された、外見による差別や人間の尊厳等をテーマにしたストーリー漫画です。医療系漫画ではあるが、若干ファンタジー色の強いブラックジャックに対し、医学界における権力闘争を描いた社会的色合いの強い作品です。

舞台のモデルは手塚治虫の母校である大阪大学医学部。四国の山間にある犬神沢の村に起こる奇病モンモウ病は突然恐ろしい頭痛に襲われ、獣のように生肉を食べたくなり、やがて体中がマヒして骨の形に変わり、犬のような風貌になるというもの。

モンモウ病に冒された主人公小山内が過酷な生活を強いらます。モンモウ病患者が冒される人間の尊厳やそれ以外の人物を通して語られる人間の尊厳について様々な角度からの描写は後味の悪さや過激さだけが残る印象を受けますが、また読みたくなる作品です。

1967年から1968年まで週刊サンデーで連載。暗く、陰惨な内容が読者に受けず打ち切りになってしまった話題作です。時代劇で妖怪ものという特殊なジャンルでしたが、妖怪だけでなく人間の所業も全話に渡って狂喜じみた内容は当時全く受け入れられませんでした。

怨念うずまくストーリーと時事問題に対する痛烈な風刺や義手や義足の中に刀などの武器を仕込んだ主人公百鬼丸の設定があまりにもグロテスクであったが、作品の深さ、奇抜かつ独創的なアイディアは読者に強烈な印象を与え、後にカルト的な人気を博す事となります。

もう一人の主人公どろろのキャラクターも個性的で少年であるかのように描かれていたが最終話では女の子であることがはっきり明かされる。2007年公開の映画では百鬼丸を妻夫木聡がどろろを柴崎コウが演じ話題になりました。

白いライオンパンジャとその息子レオ、またその子どもであるルネとルッキオ、親子三代にわたる成長と神秘の石・月光石をめぐる人間とのふれあいを描いた大作です。それまで大阪の出版社で単行本を中心に執筆していた手塚治虫が東京の雑誌へ移すきっかとなった作品でもあります。

4度に渡ってアニメ化されたこの作品は影響力も強く、ディズニーのライオンキングがこの作品の模倣作品であるというふうに言われています。また、埼玉西武ライオンズのマスコットキャラクターがこの作品のパンジャであることも有名な話です。

白いライオンというアイディアは、手塚治虫がかつて動物の絵本を依頼された際にライオンの絵を白熱灯の下で彩色したところ、電灯の色が黄色だったために白と黄色の絵の具を間違えて塗り出来上がりが白いライオンになったとも言われています。

1974年から1978年まで週刊少年マガジンで連載されたオカルトSF推理物で、何度もアニメ化された人気の作品です。主人公の写楽とヒロインの和登さんの名がそれぞれシャーロックホームズとワトソンに由来しているといわれています。

いじめられっ子の主人公写楽はおとなしく無邪気で純粋な性格の平凡な中学生だが、その正体は古代ムー大陸で高度な超古代文明を繁栄させた三つ目族の末裔だったのです。おでこの絆創膏をはがすと封じられた第三の目が天才的頭脳を写楽にもたらすという設定です。

三つ目国を再興するという野望を持つ写楽だが、そのたびに親友で想いを寄せる和登さんにその野望は阻止されて行きます。そんな日々の中学園生活や日常の中で様々な事件に巻き込まれた写楽と和登さんが、謎を解き明かしていく伝奇SF漫画です。

1951年4月から連載されたアトム大使の登場人物であったアトムを主人公として1952年から連載された作品です。21世紀を舞台に、原子力をエネルギー源として動き、人と同等の感情を持った少年ロボット、アトムが活躍する物語です。

手塚治虫はアトムを書いていた初期の2，3年は楽しかったが、あとは惰性の産物だったと話しています。しかし主人公の魅力に関しては、未だにアトムは実の息子のように大好きで、戦後二十数年を自分の分身として同じような体験をして育ってきたと話しています。

それくらい思い入れのあるアトムは日本のアニメーションの初のテレビアニメとして誕生し、1話30分で途中にCMを挟み、毎回OPとEDに歌が入るという基礎を作った作品です。視聴率は４０％を超える怪物番組となりました。

ブッダの生涯を描いた仏教の物語です。実在した人物と手塚治虫の創作した人物が入り乱れ、独自の世界観で描かれている作品であるが、単行本の売り上げは2000万部を超え、アメリカでも高い評価を受けていてアイズナー賞最優秀国際作品部門賞を受賞しました。

舞台は今から2500年前のインドでカースト制と呼ばれる4段階の身分階級のもと人々は暮らしていました。カピラ・ヴァストゥの王子ゴータマ・シッダルタは武士の身分として不自由のない生活をしやがて結婚。息子の誕生と共に王位に就く事となります。

しかし幼いころからシッダルタは、なぜ人は死ぬのか等の疑問を抱えていたが、息子の誕生と共に出家します。そこから僧としての道を歩み始めたシッダルタが悟りを開き、ブッダとしてその教えを伝え歩く旅の物語が壮大に描かれた作品です。

無免許ではあるものの、唯一無二の神業ともいえるテクニックにより世界中に名を知られる天才外科医ブラック・ジャックの物語。｢医療と生命｣をテーマにした医療漫画だが、当初は漫画家生活30周年という煽りで手塚作品オールスター出演をウリにして、短期間で終了する予定だったと言われています。

しかし、定期・不定期合わせて10年近く続く長期連載となり、手塚治虫の代表作となったのです。読み切り連載形式になったのは当時の週刊少年チャンピオンの編集長の方針で、チャンピオンの全ての連載作品が読み切りだったようです。

医学的知識を持つ手塚ならではの作品であったが、医療関係者から抗議の手紙や医学用語のミス等もあり連載中止の話まで出た事もあるようです。しかし手塚は、医療技術の紹介の為に書いたのではない、患者に行う延命治療が医師の使命なのかそして延命させた患者が本当に幸福なのかのジレンマを描いたと話しています。

手塚治虫が漫画家として活動を始めた初期のころから晩年まで手掛けられていて、ライフワークと位置付けた最高傑作です。古代からはるか未来まで、地球や宇宙を舞台に、生命の本質・人間の業が手塚治虫自身の独特な思想を根底に壮大なスケールで描かれています。

物語は｢火の鳥｣と呼ばれる鳥が登場し、火の鳥の血を飲めば永遠の命を得られるという設定の元、主人公達はその火の鳥と関わりながら悩み、苦しみ、戦い、残酷な運命に翻弄され続けるというものです。

漫画作品ではないが、手塚治虫が死を目前にした病院のベッドの上で手掛けたものに舞台劇｢火の鳥｣が存在します。この舞台劇場版は手塚治虫が生きている時に発表された作品としては最後の物であり彼の遺作の一つです。亡くなる直前まで作り続けた火の鳥はまさにライフワークだったと言えます。