萩尾望都作品の人気おすすめランキング10選｜最高傑作や代表作も紹介

「少女漫画の神様」と言われている萩尾望都をご存知ですか。萩尾望都はデビュー当時から相当数の作品を発表し、2012年には少女漫画家初となる紫綬褒章を受賞しました。漫画家としては水木しげる、手塚治虫に続き3人目となる朝日賞も受賞しました。

萩尾望都は心理学への造詣が深い点でも有名で、それを活かしてロマンスからSF作品まで、さまざまなジャンルの作品を発表してきました。しかしその分、どの本から読めばいいのか悩んでしまう方も多いかもしれません。

今回はそんな方に役立つ、萩尾望都作品の魅力や選ぶ際のポイントについて解説していきます。最高傑作を含むおすすめの代表作や、年代別の作品の特徴なども紹介しますので、萩尾望都が気になっている方はぜひ参考にしてみてください。

萩尾望都は、福岡県大牟田市出身です。2023年6月の時点では結婚されておらず、家族構成は姉・妹・弟の4人兄弟です。ミステリーやSF・ラブコメと幅広いジャンルを自身の豊かな想像力を働かせて描き、少女マンガの神様とも讃えられています。

コマにも独特な作風が見受けられ、横に細長く積み重ねることで、読者が読みやすいような流れを作っているところも特徴のひとつです。

また、萩尾望都は、2012年に少女漫画家としては初となる紫綬勲章を受賞しており、2019年には文化功労者にも選出されています。類まれなる才能による文化的貢献度の高さが評価されています。

萩尾望都ならではの世界観を存分に味わいたい方には、やはり漫画形態の作品がおすすめです。萩尾望都の象徴といえる繊細で美しいイラストや、登場人物の個性を漫画の世界観に浸りながら楽しめます。特に初めて読む方には、代表作である『ポーの一族』がおすすめです。

漫画を読むのにあまり慣れていない方は、小説形態の萩尾望都作品もおすすめです。漫画家としての知名度が高い萩尾望都ですが、実は「木下司」というペンネームも持っており、小説の執筆にも力を入れていました。

萩尾望都の小説作品は、各登場人物の動作や背景が漫画以上に丁寧に描かれているのが特徴です。小説では短編のものが多く、中でも幻とされる『少女ろまん』、『さなぎ』などが収録された『銀の船と青い海』はおすすめの一冊となっています。

萩尾望都の人間性や生い立ちが気になる方は、対談集やエッセイ集を読むのもおすすめです。漫画作品や小説作品だけでは感じられない、萩尾望都本人の人柄はもちろん、小説や漫画作品の制作の裏側も覗けます。

中でもおすすめな『思い出を切りぬくとき』は、漫画家生活40周年記念して発表されたもので、貴重なイラストや妹への想いなど、見どころの多い一冊です。また『愛するあなた 恋するわたし』では、恩田陸や庵野秀明など8名をゲストに迎えた貴重な対談を楽しめます。

萩尾望都の美しく繊細なイラストを思う存分堪能したい方には、絵本作品や画集を読むのもおすすめです。漫画作品や小説作品で描かれた世界観をさらに掘り下げた画集なども展開されているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

中でも代表的な『残酷な神が支配する』では、描きおろし作品や未発表作品に加え、本人による解説までも収録された人気の一冊です。また、萩尾望都が文を担当した絵本『トリッポンのこねこ』では、漫画や小説とはまた異なる、かわいらしいファンタジーの世界観を楽しめます。

『ルルとミミ』でデビューを飾った頃、後に「花の24年組」と呼ばれた漫画家たちとアパートで共同生活を送っていました。この頃の生活は、お互いを切磋琢磨し知識の交換が行われていたようです。またSFを描きたかったのに採用されない期間も存在しました。

しかし、デビュー後次々にSF作品を発表していきました。当時としては少女漫画でSF作品を扱っている少女漫画家はかなり少ないはずです。萩尾望都が観たフランス映画の救われないストーリーに同情したのをきっかけに、自作は結末は明るくをモットーにカ掛けていました。そのため、ラストには救われる展開があるところも特徴です。

萩尾望都は70年代で多くのSF作品を発表し、成功を収めました。それをきっかけに父親を代表とする会社を設立しましたが、関係が悪化して会社をたたみ、自らの心の中にある親から解き放とうと心理学を学びました。心理学でいう「親殺し」をテーマとしたSFを作品を発表するようになります。

また、80年代にバレエに興味を持ち始めます。このころからバレエをモチーフとした作品を発表します。この年代に描かれた作品は、どちらかといえば暗い雰囲気の作品が多い印象を受けます。

90年代に入ってもバレエ作品を次々と発表していきました。また母親との対立から構想を得た作品も発表します。1997年、手塚治虫文化賞マンガ優秀賞を受賞します。キャリアにさらに磨きがかかり精力的に作品を発表する中、東日本大震災・福島原発事故が起きました。

これを受け、原発三部作を執筆し、引退を延期しさらに作品を発表しました。多様なジャンルの作品や精力的な活動を長期にわたって行っていました。90年代以降はさらにジャンルの分化がおこなわれ、原発三部作が書かれたのが特徴です。

萩尾望都作品といえばSFといっても過言ではありません。SFに対しての知識量は相当のもので、SF小説やSF映画をよく鑑賞している方でも、読んでみれば圧倒的な博覧強記さに驚かされるはずです。2006年には日本SF大賞も受賞しています。

SFをファンタジー色で濁しているのではなく、科学的なファクターがしっかりと挿入されているので、往年のSFファンにも強くおすすめします。普段SF作品にあまり触れてこなかった方でも、萩尾望都作品からSF好きになるかもしれません。

萩尾望都作品では珍しいといえるラブストーリー・ラブコメ作品。萩尾望都作品をいくつか読んだけれど、ラブストーリー・ラブコメ作品はあまり知らないという方は、ぜひ読んでみてください。

少女漫画にありがちな甘ったるい展開ではなく、ピリっとパンチのきいたストーリー展開と、思わずホロリとくる切ない展開はまさに天才といえます。

男性にもおすすめしたい萩尾望都のラブストーリー・ラブコメ作品。少女漫画に抵抗のある方でも、萩尾望都作品をいくつか読んだ後だと、抵抗なく読めるはずです。もちろん、少女漫画好きは言うまでもなくおすすめしたいジャンルです。

萩尾望都に登場するキャラクターは常に切迫した状況に投じられ、身動きが取れないような心境を迫られている印象を受けます。SFと融合しながらミステリー的展開がページをめくる手を早くさせますね。

謎を解く推理ものではないのですが、作品の中で描かれる世界の大きな謎や、人間関係にミステリーが投じられているような作品が多いです。こういったジャンルは特に展開が面白く、謎が謎を呼ぶような作品が好きな方、SFで描かれる世界観が好きな方におすすめです。

初めて読む方は、とりあえず萩尾望都の作風や世界観を知りたいはずです。試しに短い作品から入るのもありですし、漫画ならばむしろ長編が好きな方もいるかもしれません。その時々の状況や気分によって読み分けていきましょう。

短編をまとめた短編集も多く発表しています。デビュー作である『ルルとミミ』も20数枚ながら評価されました。長編作品も充分すばらしいのですが、短編作品も秀逸な作品が多く、その点で短編の名手です。

初めて読む方は短編作品を読むのをおすすめします。試しに読んでみる意味もありますが、短編作品自体が魅力ある作品が多くあるからです。萩尾望都の世界観がたっぷりと詰まった作品が多いので、読んだ後はきっとまた別の萩尾望都作品を読みたくなります。

長編作品の魅力は、深く掘り下げられた世界観を十分に堪能できる点です。短編ではまとめられてしまいがちですが、長編作品ではキャラクター達を取り囲む世界であったり、長編だからこそ語られるキャラクターの背景などに言及しているものが多いです。

少女漫画を読んでいる方や、SF好きな方は長編作品から読んでいく選択肢もおすすめです。初めて読む方でも作品自体が良くできているので、すぐに読めてしまいます。

萩尾望都はさまざまな文学賞や漫画賞を受賞しており、なかでも受賞回数が多いのは「星雲賞コミック部門」です。「星雲」は日本初のSF雑誌に由来し、星雲賞は前年に発表・完結している優れた作品に贈られる賞で、毎年開催される日本SF大会に参加するファンによって投票されます。

ファンにより選出された星雲賞受賞作品は非常に読み応えがあります。また、初めて萩尾望都の作品を読む方には、「小学館漫画賞受賞作品」がおすすめです。テンポよくストーリーが展開していき、個性豊かなキャラクターに惹き込まれていきます。

舞台はアメリカのマイアミ。主人公であるグラン・パはルックス優しく世話好きでありました。バンドを組んでいるグラン・パはある日、道端で出会った少女のリューと出会い、自分の家へ住まわます。

萩尾望都作品ではめずらしい切ない青年・少女のラブストーリー作品。ラストの心をつかんで離さない心詰まる展開と、全体を通してうたわれる音楽のセンスの良さは一読の価値ありです。ラブストーリーが好きな方、アメリカのカントリーミュージックが好きな方におすすめしたい作品です。

科学がの進歩が極北まで到達した未来世界が舞台のＳＦ作品です。時空間を移動する能力をもつ主人公・マーリーは、自らのクローンと、すでに3万年以上前に絶滅した銀の三角人を救うための旅に出ます。

もはや少女漫画の枠を飛び越え、ＳＦ文学としてもかなりの域に達しているといえるハードＳＦ作品。いわゆる一般的な少女漫画だと思って読み始めたら痛い目に合います。ＳＦ作品として難解でありながらも、凝縮されたエッセンスはＳＦファンにはたまりません。

知性が高い姉のユージーと、美しい顔立ちでありながらも知的障害のある妹のユーシー。そんな二人は実は結合双生児でした。周りからその美貌を褒められるユーシーに対し、姉のユージーは妹の世話に明け暮れ、勉強をする毎日...。

舞台化もされた『半神』を含めた短編10作がつまった短編集。特に表題作の『半神』は素晴らしい出来ですね。結合双生児の数奇な運命と、二人の辿る結末が胸が詰まります。はじめての方にもおすすめしたい傑作短編集です。

時は23世紀末の地球。白い髪の少女・星（セイ）は火星に恋焦がれています。それもそのはず、彼女は火星人だったのです。火星人である招待を隠すため、普段はコンタクトレンズをつけていますが、謎の異星人エルクに正体を見破られ、火星に行くはめになります。

未来の地球と火星とを描いた壮大なSF大作。微に入り細を穿つ設定と、壮大な世界観にきっと没入するはずです。本作は、萩尾望都が先を考えぬまま連載を続けたと語っていますが、それを感じさせないほどパワフルな作品となっています。

宇宙大学の受験生である主人公・タダトス・レーンは、最終テストに挑みます。筆記試験上位10人が、外部との連絡を切断された宇宙船に乗り込み、53日間を過ごすといった内容のテスト。しかし、乗り込んでみるとそこには10人の受験生ではなく、11人の受験生が乗り込んでいたのですが…

SFでありながらも、ミステリーのひねりを加えた作品。タイトルからして、思わず目が留まってしまいますよね。SF知識も十分にありますし、ミステリー展開で揺れる人間関係にも注目の一冊です。映画「遊星からの物体X」や映画「ゼロ・グラビティ」が好きな方にぜひおすすめしたい作品です。

デザイナーの父の愛情をたっぷりと受けて育ったヒロインのドミニク・シトロン。素直でまじめな性格のドミニクでしたが、15歳の誕生日に赤いドレスをプレゼントしてもらったのをきっかけに、自分の中にあった変身願望が目を覚まします。

萩尾望都作品では珍しいラブコメ作品。フランスが舞台になっていて非常に華やかで絵を見ているだけでも楽しい作品ですね。鋭い人間関係の描写も見られる中、全体としては恋や少女のライフスタイルに焦点があてられた作品です。ラブコメ作品が好きな方におすすめです。

時は2033年の3月末。主人公の一紀（かずき）は周りの大人がすべていなくなっているのに気づきます。より年上の子供が幼い子供の面倒をみてなんとか生活をしていこうとする子供たち。不思議な世界へと突如変化したのに驚きを隠せない主人公の一紀ですが…

小松左京「お召し」を原作とした作品。一定の年齢になると消えてしまう、赤ちゃんは突如なにもない空間から現れるといった原作の設定をもとに萩尾望都ワールドが展開されていきます。奇想天外なアイディアから普遍的なテーマを描いている本作は読み応え十分です。

舞台は西暦2052年。他人の夢に入り込める主人公・渡会時夫のもとにある依頼が届きます。それは7年間眠り続けている少女の夢の中に入り込む依頼。両親の心中事件のあとねむりつづける少女の夢の中に渡会時夫ですが…

萩尾望都が心理学を学んでいたのがうかがえる、近未来ＳＦミステリー作品。現代の科学テーマが非常に詰め込まれており、それらがミステリー的展開やSFとリンクして作品世界がより深く語られています。2006年には日本ＳＦ大賞を受賞した本格ハードＳＦ作品です。

雪が深々と降る中、一人の男の子が橋から転落死をしてしまいます。ギムナジウムのアイドル的存在であったトーマであるのがわかり、ギムナジウムは騒然とします。そんな中ギムナジウムに新たトーマに似た少年が入ってくるのですが…。

萩尾望都の代表作であるとともに、真の愛をモチーフにした傑作。トーマの影をエーリクに重ねてしまうユーリ、なぜトーマが死んだ謎、大人になったからこそ読みたいすばらしい大作です。萩尾望都の魅力が詰まった作品ですので、初めての方にもおすすめします。

暗い森の奥で捨てられていたエドガーとメリーベル。二人は老女に拾われ育てられますが、ハンナの姓であるポーは、吸血鬼のポー一族を示していました。その秘密を知ってしまったエドガーは成人後に吸血鬼になる制約を結ばされてしまいます。

萩尾望都の代表作である吸血鬼一族の栄華と衰退を200年ものスパンで描いた超大作。大人になれない吸血鬼エドガーと運命に共にしようと決するメリーベル、ダークファンタジー漂う世界観が素晴らしいです。漫画好きな方は一度はよんでおきた萩尾望都の名作です。

萩尾望都の最新作品は、2023年3月20日に発売された「何気なくて恋しい記憶　随筆集　あなたの暮らしを教えてください1（随筆集あなたの暮らしを教えてください1）」です。「暮らしの手帖」の本誌・別冊に掲載された「暮らし」をテーマに、複数の作家が綴った随筆作品集です。

全4冊の第1集は、筆者が家族と過ごした日々でのやりとりや、友人・恩師との思い出などのエピソードが集められています。1話あたりが短く、心温まる記憶の数々についつい読み進めてしまいます。

ここまで萩尾望都の作品を紹介してきましたが、いかがでしたか。少女漫画のみならず、あらゆるジャンルや文化に影響を与え続けている萩尾望都の作品を、ぜひ一度読んでみてください。自分にあった萩尾望都作品を選んで、素敵なコミックライフを送ってください。