加藤シゲアキさんの小説おすすめ10選｜どんな作風？直木賞ノミネート作品など代表作を解説

ジャニーズ事務所のアイドルグループ「NEWS」のメンバーとして活躍しながら、小説家としても活動している加藤シゲアキさんですが、なぜトップアイドルが小説家に？と思っている方も少なくないのではないでしょうか。

加藤さんは、これまでに多くの文庫本を出しています。読書嫌いな方でさえ、テンポよく読めて気付けば物語にのめり込んでいたとネット上に感想が寄せられていました。加藤シゲアキさんの作品には、読書嫌いも虜にする不思議な魅力があるのです。

今回は、加藤シゲアキさんの小説について解説していきます。おすすめ作品もご紹介していますので、これから加藤さんの作品を読んでみたいと思っている方は是非参考にしてください。

加藤さんは青山学院大学法学部卒で、定期試験がほとんど論文形式だったため文章力が相当鍛えられたそうです。さらに、大学の友人と法について熱く議論を交わした経験が執筆活動の糧になっているとインタビューで答えています。

NEWSではソロ曲の歌詞を自分で書いているほか、作曲や舞台演出も積極的に行っています。こだわりが強く物事を突き詰めるタイプで、そういった性格が小説を書く上で人物像や物語の背景をじっくり練り込む作業に影響しているようです。

加藤シゲアキさんは過去に、NEWSの他のメンバーは歌やダンスが上手く華があるのに自分には何もないと悩んでいた時期がありました。その頃コラムの仕事が入りおもしろいと評価され、デビュー後初めて人から褒められ認められる経験をしました。

自分が輝ける場所を見つけた加藤シゲアキさんは創作意欲に溢れ、フィクションを書いてみたい気持ちが芽生え作家活動をスタートしました。

加藤さんは、最も好きな本としてJ・D・サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」を挙げています。主人公の境遇が、芸能生活に息詰まり悩んでいた当時の自分とリンクしたのだと言います。加藤さんは、ニューヨークでロケ地めぐりをするほど熱烈なファンなのです。

この作品を読み、小説は誰かに影響を与えたり心を揺り動かす力があると確信した加藤さんは、自分もそのような文章が書けるようになりたいと心に誓いました。

元々は小説よりも脚本を書きたかったので、そのためか小説においても映像的な描写が多いです。頭の中に情景が映像として湧いてくるので、映画を1本見終わったような充実した読後感があります。

豊かな想像力で異世界のフィクションを映像作品のようにまとめあげる才能は、各方面から高く評価されています。

処女作にして、なかなかショッキングな青春ミステリー小説です。幼馴染の死によって偽りの栄光を手にした主人公の苦悩と、幼馴染の役を演じてみて気付いた幼馴染が抱えていた葛藤を描いています。芸能界の光と影を描いた物語は、その世界に身を置く加藤さんだからこそのリアリティが表現されています。

物語の詳しいあらすじが気になる方は、ネット上に情報が出ているので是非チェックしてみてください。

 5作目の小説となるこの作品は第42回吉川英治文学新人賞を受賞し、第164回直木三十五賞（通称・直木賞）の候補に選ばれました。また、高校生が選ぶ直木賞、第8回高校生直木賞を受賞しています。

人間的に未熟で多感な高校生が必ず通る人との繋がりや距離感への葛藤を描写し、悩み傷つきながら成長していく姿を瑞々しく鮮やかに描き出した本作は高い評価を得ました。本職の作家と肩を並べる実力があると証明したこの作品は、紛れもない加藤さんの代表作です。

処女作のピンクとグレーは行定勲監督によって映画化され、Hey! Say! JUMPの中島裕翔さんや菅田将暉さんなど豪華俳優陣が出演し話題となりました。

原作にはないエピソードが加わり、映像だからこそできる手法を凝らして新しく生まれ変わっています。原作を読んだ方でも楽しめる作品になっていて、現在Amazonプライムビデオなどで視聴可能です。

短編集「傘をもたない蟻たちは」は、人気俳優・桐山漣さん主演でテレビドラマ化されました。ドラマ化されるにあたり、加藤さんは単なる恋愛や友情ものの括りで終わらせないでほしいと申し出たと言います。

そのため、新たにストーリーを構築し原作と違った魅力が楽しめる作品へと進化を遂げています。

エッセイ集「できることならスティードで」の「浄土」の中で、加藤さんは所属事務所の社長だった故ジャニー喜多川さんについて書いています。

父のように慕っていたジャニーさんが亡くなり、供養の気持ちで書いたものです。加藤さんとジャニーさんの関係性やジャニーさんの人物像が垣間見える貴重な作品になっています。

加藤シゲアキの作品にはアイドル活動で培われたエンターテイナー性が活かされていて、ファンならずとも魅了されます。緻密に練り込まれたストーリーにどんどん引き込まれるので、アイドル作家に偏見がある方も一度手に取ってみる価値があります。本記事を読んで、加藤シゲアキ小説に興味を持っていただけたら幸いです。