竹鶴酒造の日本酒おすすめ5選｜マッサンのモデルになった酒造！取扱店はどこ？

広島県で有名な酒どころとして東広島市が挙げられますが、瀬戸内海に面した港町である竹原市でも、酒造業が営まれてきました。その土地柄、古くから製塩業も盛んでしたが、冬季の稼業として酒造りを行う商家もありました。そのひとつが竹鶴酒造です。

竹原市での酒造りは江戸時代後期になってからですが、販路拡大をきっかけに兵庫や大阪など上方の酒との実力の差を思い知り、竹鶴酒造も中心となって酒造りの技術向上と安定した品質を維持するよう努めました。それが実を結び、現在は名の知られた酒造りのまちになりました。

竹鶴酒造の日本酒は、昔ながらの製法を重んじて造られている風味をダイレクトに感じられます。本記事では、製法によって異なる味わいを楽しめるラインナップを紹介します。おすすめ5選や楽しみ方など、ぜひ参考にしてください。

“安芸の小京都”として名高い、竹原市の重要伝統的建造物群保存地区に構える竹鶴酒造は、ニッカウヰスキー創業者である竹鶴政孝氏の生家としても有名です。「マッサン」の愛称で現在も慕われている政孝氏の生涯は、ドラマにもなりました。

幼いころから父の“本物の酒造り”にかける情熱を間近で見てきた政孝氏だからこそ、ウイスキー造りを成功させられたに違いありません。

竹鶴酒造の酒造りは、“食があってこそ酒がある“を理念としています。日本酒は食事の引き立て役として捉えており、食事中の口中をリセットさせる役目を持たせて酒造りを行っています。その強いこだわりから、平成21年には原点に立ち返り、昔ながらの木桶仕込みを復活させました。

この製法により、料理の味や個性を妨げない、“食をおいしくする“竹鶴らしい酒造りを実現しています。

現代の酒造りには衛生面から金属製タンクを用いていますが、先述のとおり、竹鶴酒造では仕込みの木桶に付着する天然酵母を活かした生酛造りの伝統的な製法を採用しています。日本酒醸造が確立した原点となる製法は非常に手間がかかりますが、さまざまな微生物の働きによって複雑で奥深い芳醇な旨味、食中酒としての味わいはこの製法でしか醸せません。

「清酒竹鶴シリーズ」は、食事と一緒に楽しむことを前提に造られているため、アルコール度数は15度と飲みやすいように調整されています。生酛純米は酵母菌無添加で豊かな旨味があり、純米吟醸は純米の持つ風味に華やかな吟醸香が上品です。どの種類も熱燗に適しており、料理の味を引き立ててくれます。

「小笹屋」は、竹鶴の前身であった製塩業を営んでいたころの屋号であり、いまや竹鶴酒造の代表銘柄となりました。時代が変化しても伝統製法を貫く並々ならぬ想いが汲み取れます。特に生酛純米大吟醸原酒は、生酛造りならではの複雑な旨味を力強く感じ、かつクリアな吟醸の味わいも併せ持つ絶妙な逸品です。

竹鶴酒造の日本酒の特徴として、「旨味」「切れ味」「酸味」がありますが、にごり酒にもしっかりと酸味を感じ、時間が経つにつれ深い旨味に変化していくのがたまりません。また、純米秘傳は昭和45年発売以来のロングセラーであり、醸造アルコールを使用しない純米酒では県下唯一のパイオニアです。ラベルには横山大観が描いた『竹に鶴』が印象的です。

初めて竹鶴の日本酒を飲む方に、入門酒といえるおすすめの銘柄です。地元の酒米である「八反錦」を使用しており、やや辛口ですが数ある竹鶴の日本酒のなかでも飲みやすい純米酒です。食事と共に楽しめるよう、爽快な酸味とキレ味、米の旨味もしっかりと感じられる味わいで、豊かな余韻が口中に広がります。

にごり酒はどちらかといえば甘口が多いですが、こちらは熱燗で飲めるようにと完全発酵させて辛口の仕上がりにしてあります。開栓したときは甘酸っぱい香りがしますが、日が経つにつれ熟成されてまろやかな味わいになります。最初は上澄みのみを飲んでみて、それから混ぜて飲んだときの味の違いを比べてみるのも面白いです。

酒米は改良雄町を100％使用した、ガツンと力強い辛口が特徴的な純米原酒です。絶妙な酸味・旨味のバランスと豊かで円熟な味わいは、しっかりとした肉料理とも相性抜群です。原酒なのでアルコール度数は20度と高めですが、純米酒好きにおすすめの1本です。熱燗でもぜひ試してみてください。

地元広島の八反米を100％使用した純米吟醸原酒です。吟醸特有の透明感のあるすっきりとした味わいのなかにも、純米ならではの香ばしさと旨味や、生酛の醸す深く奥行きのある余韻を感じます。こちらは幅広い料理に合うので、常温から熱燗までどんな飲み方でもマッチします。

日本酒本来の色である美しい琥珀色をした秘傳は、広島で初めて純米酒として発売されました。 以来人気の絶えない純米酒ですが、なんといっても最初に口に含んだときに広がる豊かな米の旨味がすばらしく、後味はすっきり爽快です。一番竹鶴らしさを感じられるといっても過言ではないので、ぜひ試してみてほしい1本です。

竹鶴酒造の日本酒は、全国各地の地酒を扱う酒屋やECサイトなどで購入できます。取扱店については竹鶴酒造のホームページ上で確認ができるのでチェックしてください。お近くに取扱店がない場合は、Amazonや楽天などでも検索するとヒットします。ただ人気商品や数量限定品などは売り切れが予想されるので、早めの問い合わせや購入をおすすめします。

竹鶴の日本酒は食中酒としておいしく飲めるように造られているので、基本的に料理を選びません。ただ、竹鶴の推奨する飲み方としては「熱燗にするとより料理の味を引き立てる」としています。あとは好みによりますが、人肌程度のぬる燗や、もちろんそのまま冷でもOKです。晩酌で常飲するなら竹鶴純米が飲みやすくおすすめです。

どんな飲み方でも季節を問わないので、旬の肴に合わせていただきましょう。

日本酒は光に弱いため、基本的に冷暗所での保存になります。一番最適な環境はマイナス5℃なので、日本酒専用の冷蔵庫があればベストですが、普通の冷蔵庫でも大丈夫です。なお、日本酒がキャップに触れると味が変化する場合があるので、縦置きにしましょう。

また、日本酒には賞味期限が書いてないため、どれくらい持つものかと疑問に思う方も多いかと思いますが、製造年月から約1年が目安です。しかし、開栓したら酸化するなど劣化が進むので早目に飲み切りましょう。

伝統製法にとことんこだわる竹鶴酒造の日本酒は、自然の恩恵を活かした日本酒本来の味わいが凝縮されています。また、相当な手間をかけているのにも関わらず、いつでも食中酒として気軽に飲めるよう敷居を低くし、コスパがいいところも魅力的です。本記事で紹介した竹鶴の日本酒の特徴やおすすめ銘柄をおさらいして、ぜひ愛飲できる1本をみつけてください。