宇江佐真理の小説おすすめ10選｜直木賞関連やドラマ化作品も

江戸時代を背景とした人情話を多数執筆している作家・宇江佐真理。宇江佐真理が描く江戸の人たちはなぜか親近感が湧き、感情移入するファンが多いです。

歴史小説に苦手意識がある方にも、宇江佐真理の小説はおすすめです。時代は変っても人の根っこの部分はたいして変わらず、江戸時代の物語でも遠い昔の話ではなくとても身近な話に感じられ引き込まれていきます。登場人物に感情移入し、すらすら読み進む魅力があります。

今回は、宇江佐真理の小説について解説していきます。宇江佐真理の経歴や作品選びのポイント、おすすめ作品などご紹介していますので、宇江佐真理の小説を読む際の参考になさってください。

函館出身の宇江佐真理は高校時代から執筆を始め、主婦をしながらキッチンで作品を執筆していました。函館をこよなく愛し、生涯函館を離れることなく地図を片手にリアルな江戸の物語を書いていたというのだから驚きです。頭の中に、思い描く江戸の町が完成していたんでしょうね。

2014年66歳で逝去するまで、宇江佐真理は精力的に作品を書き続けました。

時代とともに人の価値観や考え方は変わっていっても、他人の命や物を奪ってはいけないなど生きる上での心構えは今も昔も変わりません。

宇江佐真理が作品上で伝えたかったのは、そんなごく当たり前の心構えだと言います。江戸庶民である登場人物が抱える悩みや問題を、一緒に考えながら解決の糸口を探す作品作りを目指していました。

宇江佐真理の小説は、なんと6作品もが直木三十五賞（通称・直木賞）候補にノミネートされました。残念ながら受賞には至りませんでしたが、多くの作品がノミネートされ宇江佐真理の実力や作品の魅力が窺えます。

宇江佐真理の小説は、美しい日本語と文体に加え人情味あふれる物語で、プロ作家をはじめ読書ファンからも愛されました。

宇江佐真理は人情味あふれる時代小説が得意で、宇江佐真理が描く江戸の男女はちょっとクセが強く、不器用ながらまっすぐ人生に向き合う一所懸命に生きる人たちです。そんな登場人物に感情移入する読者が多く、実際に会ってみたいと思わせるほど人物描写が秀逸です。

庶民の平凡な暮らしを丁寧に愛情たっぷりに描き、愛読者をあたたかい気持ちにさせます。そして、日本という国や人の美しさを感じさせる作風です。

まとまった読書時間がとれなかったり、手始めにサクっと宇江佐真理の作品に触れてみたい方には短編集がおすすめです。1話あたりの物語は短くとも、宇江佐真理の作風はしっかりと感じられます。

1作ずつ読み進めるごとに魅力をを増し、1冊読み終わる頃には宇江佐真理の小説の虜になっているかもしれません。

歴史に詳しくなくても、宇江佐真理の小説は心温まる人情物語がメインなので誰でも読みやすいです。登場人物たちの愛すべきキャラクターに、ほっこり温かい気持ちになります。

うまくいかず気分が落ち込んでいるときに読むと、ふっと頬が緩んで気持ちが軽くなります。心がギスギスしているなと感じたら、読んでみてください。

宇江佐真理の小説は直木賞に6回もノミネートされるなど、文学界で高い評価を得ています。著名な作家たちが認めた名作を、一度読んでみてはいかがですか？

直木賞ノミネート作を一覧にまとめましたので、ご参照ください。

• 第117回『幻の声』
• 第119回『桜花を見た』
• 第121回『紫紺のつばめ』
• 第123回『雷桜』
• 第127回『斬られ権佐』
• 第129回『神田堀八つ下がり』

宇江佐真理は『幻の声』で第75回オール讀物新人賞、『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞の2つの新人賞を受賞しています。作家・宇江佐真理の原点とも言える作品を、まずは読んでみませんか？

『幻の声』を含む髪結い伊三次捕物余話はシリーズ化し多くの作品があるので、これから宇江佐真理の作品をたくさん読んでみたい方にもおすすめです。

宇江佐真理は江戸庶民の暮らしを描いた作品を多く執筆しているので、歴史小説が好きな方は江戸の雰囲気を感じながら作品を堪能できます。

江戸時代をよく知らない方でも、宇江佐真理が描く江戸の時代背景や市井の人たちの人間模様を見ていると、不思議と物語に引き込まれていきます。

読書が苦手だけど宇江佐真理の小説に興味がある方は、ページ数が少なく読みやすい作品から読んでみるのがおすすめです。

短編集は1話あたりのページ数が少ないため読みやすく、読書にあまり親しみがない方や通勤・通学の移動中など短時間で読み切れるぐらいの作品が読みたい方にちょうどいいボリュームです。

『髪結い伊三次捕物余話』は、『髪結い伊三次』のタイトルでテレビドラマ化されました。髪結いの伊三次には裏の顔があり、同心の密偵として動きながら事件解決の糸口を掴んでいく物語です。

調べたところ、動画配信サービス「TSUTAYA DISCAS」でドラマ視聴できるという情報がありました。ぜひ、映像と文章で堪能してください。

第75回オール讀物新人賞を受賞した際に選考員から『幻の声』は連作が可能だとアドバイスされ、シリーズ化が決定しました。晩年まで書き続けたライフワーク的作品で、全15作出版されています。

生前、宇江佐真理は「伊三次シリーズの最終回を書くことには固執しない」と言っており、その言葉通り結末を見ずに終了しました。じっくり噛みしめながら味わいたい作品です。

岡っ引きの銀次は事件が起こると現場に駆け付けるのですが、ほんの少し前まで普通の生活を送っていたであろうご遺体を見て泣いてしまう情に厚い男。妹の命を奪った下手人を探し出し、妹の仇を討つために岡っ引きになった銀次が巻き起こす人情捕物帳です。

人とのつながりが希薄になり、人情を忘れかけている現代だからこそ読みたい作品です。

ごく普通の暮らしの中で平和に暮らしていた夫婦が、ひょんなことから奉行所隠密廻り同心の手助けをする羽目になる物語です。

愚痴が多くたいした正義感があるわけでもなく、あまり主人公らしくない主人公が人間臭くて愛着が湧いてきます。人のぬくもりがじんわりと感じられる、宇江佐真理が得意とする人情捕物帳です。

『卵のふわふわ』は、Amazonやブックサイトのレビューで多くの高評価を得ている人気作です。どうもすれ違いうまくいかない夫婦と心優しい食道楽の舅の物語が、江戸の料理とともに描写されています。

料理を煮炊きする暖かでおいしい匂いがこちらにも伝わってきそうで、夫婦が苦難を乗り越える過程で互いへの感謝や思い遣りを抱いていく様子にじんときます。

誘拐され15年もの間親や世間から離れて暮らしていた娘が、再び家族の元に戻り生まれて初めて愛を知る物語です。生涯一人だけを愛すると誓った、切ない恋。主人公の儚く美しく凛とした姿に、心を掴まれます。

2010年に映画化されていて、原作も映画も素晴らしい作品なので両方見るとより深く作品を堪能できます。ぜひ読んでいただきたい名作です。

商家の生まれで武家に嫁いだ主人公うめが、夫の死後に窮屈だった家を出て一人暮らしを始めます。持ち前の行動力で人生を切り開く様は潔く痛快で、その中で気づきや成長もあり、人はいつからでも新しいことを始め成長できるという勇気や希望が感じられます。

宇江佐真理の遺志によって未完のまま終了しましたが、ぜひ読んでいただきたい作品です。

Amazonやブックサイトのレビューを参考に、おもしろそうだなと思う作品を選ぶのもおすすめです。実際に作品を読んだ方のレビューは、その作品の特徴やおすすめポイントがわかりやすくとても参考になります。

中にはネタバレを含むレビューが掲載されているサイトもあるので、ネタバレしたくない方はお気をつけください。

宇江佐真理は、自身や家族について書いたエッセイ「ウエザ・リポート」を出版しています。この作品はその後「ウエザ・リポート 笑顔千両」に改題されました。

作家であるとともに主婦であり母親である宇江佐真理の日常や人柄が伝わり、宇江佐真理の人となりを知り改めて宇江佐作品に愛着が湧くファンも多く、人気がある作品です。

宇江佐真理の小説に出てくる登場人物たちは、ちょっとクセがあるけれど憎めず温かく親しみが湧きます。江戸に生きる人々の体温や息遣いを感じる巧みな筆致で、読み手にぬくもりや癒しを与えてくれます。本記事を参考に、宇江佐真理の気になる小説をぜひ見つけてください。