江戸川乱歩の小説おすすめ10選｜短編小説や小・中学生向けの小説も紹介

江戸川乱歩といえば、ミステリーの巨匠として知られている作家です。老若男女多くの人が知る作品は読書好きに長年愛されてきました。読み進める手が止まらないほどに、江戸川乱歩が作り出した世界観に引き込まれていく面白さがあります。

江戸川乱歩だからこそ書ける作品の世界観や登場人物の動き、ミステリーに包まれる読書の面白さはまさに江戸川乱歩ワールドです。

江戸川乱歩の人生から、その作品にこめられた魅力やおすすめの作品を紹介していきます。この記事を読むと、これまでの江戸川乱歩のイメージから一歩踏み込んだ所まで知るきっかけになるので、より作品を深く楽しめるはずです。

江戸川乱歩はその人生において数多くの作品を生み出してきたストーリーテラーですが、その根源は幼い頃の思い出にありました。

江戸川乱歩の母にあたるきくは江戸川乱歩が幼児の頃、本の読み聞かせをしていたのですが、その本が黒岩涙香の翻案探偵小説である『秘中の秘』でした。読み聞かせがきっかけでミステリーにのめり込んでいったのです。

1894年に三重県に生まれたのですが、幼少期から青年期に至るまでは愛知県で4回も引っ越しをしながら過ごしました。

高校卒業後は早稲田大学へ進学、大学卒業後は、鳥羽や大阪でサラリーマン生活を送っていました。1923年に作家としてデビューしてからは東京へ移り住みますが、立教大学横の邸宅を終の棲家とするまで生涯で計46回も引っ越しを繰り返していたのです。

江戸川乱歩は、現在のシンフォニアテクノロジーの前身である鳥羽造船所の社員でした。庶務課で働いていたのですが、頻繁に無断欠勤し、寮の自室の押入れにこもっていたそうですが、この時のイメージが『屋根裏の散歩者』に反映されています。

その他、仕事中窓から眺めていた島をモデルに書いた作品が代表作である『パノラマ島綺譚』です。会社員として働いていた当時の思いや見えていた風景が作品に反映されています。

江戸川乱歩は早稲田大学を卒業した後はサラリーマンとして働いていた時代もありましたが、飽き性な性格のため、仕事は長続きしませんでした。古本屋開業・蕎麦屋・新聞記者など自宅も職もあちこち転々としていました。

しかしその後、1923年に森下雨村、小酒井不木に激賞されて『二銭銅貨』で作家デビューを果たしたのです。

江戸川乱歩は推理小説の普及にも力を入れていたと言えます。1947年には日本推理作家協会の前身である「探偵作家クラブ」を立ち上げ、そこで初代会長として務め活躍していたのです。

さらに1954年には江戸川乱歩自身の寄付で、後世の推理小説家発掘のための「江戸川乱歩賞」が創設されました。この賞は、今日では「推理小説作家の登竜門となっています。

江戸川乱歩は人間が持つ狂気を書き表す天才と言えます。人間誰しも聖人君子ではない、奥底に見えない狂気を抱えている部分がある、その点をフォーカスしています。ほんの少しその欲望を理解できるところが乱歩作品の魅力です。

不気味でありながらも、共感する部分を見いだし、文章に起こす天才であり、その才能は光るものがあります。

江戸川乱歩の作品は時代を超え、現代においてもアレンジされ小説の枠を超えて多くの人々に愛されています。ストーリーテラーとして人生の中で生み出してきた人間の闇や狂気も含んだ推理ストーリーはマンガやアニメ・さらにはゲームなどの形で新たに生まれ変わりながら今もなお生きているのです。

江戸川乱歩の作品は日本のみならず海外においても高い評価を得ています。日本ミステリーのパイオニアとして、大きな足跡を残したのですが、今日に至るまで、文学の中ではサブカルチャー的な要素を持っている作家として評価されてきました。

メディアミックス時代を迎え、さまざまな媒体に置き換えられ、コンテンツの“原作者”、“原案者”として、乱歩の人気は続くと言われています。

江戸川乱歩は人間が持つ狂気を書き表す天才と言えます。人間誰しも聖人君子ではない、奥底に見えない狂気を抱えている部分がある、その点をフォーカスしています。ほんの少しその欲望を理解できるところが乱歩作品の魅力です。

不気味でありながらも、共感する部分を見いだし、文章に起こす天才であり、その才能は光るものがあります。

江戸川乱歩のペンネームは海外作家のエドガー・アラン・ポーからヒントを得ています。エドガー・アラン・ポーといえば『アッシャー家の崩壊』『モルグ街の殺人』などを執筆した作家です。

ゴシック小説や恐怖小説で、特に死に対する疑問・病や腐敗・早すぎた埋葬・死からの再生といったテーマを書いていました。江戸川乱歩に通じるものがあります。

江戸川乱歩といえばミステリー作家として、ミステリーに関する小説を執筆していたイメージが強いですが、かつて自ら探偵として活躍していた時代もありました。

自らも実際に探偵として、岩井三郎探偵事務所（ミリオン資料サービス）に勤務していた経歴があります。人生において数多くの職業を転々としてきた江戸川乱歩らしい職業です。

『屋根裏の散歩者』江戸川乱歩の短編作品の代表作とも言えます。親の仕送りで生活をしている三郎は押し入れの天井板が外れる点に気が付き、屋根裏を散歩しだしました。

とある男の部屋の真上に来たころ、口の中へ毒薬を垂らして殺す、完璧な犯罪を思いついた三郎と、そのミステリーを見破る明智小五郎との組み合わせが読む人をひきつけます。

デビュー作とも言える『二銭銅貨』は明智小五郎とその友人の松村武、二人の若者が自分の頭の良さを競い合う物語です。このストーリーのポイントは明智小五郎の一人称で話が展開していく部分です。明智小五郎の一人称だからこそ組めるミステリーに読者も一緒に謎解きをしている感覚になるはずです。

怪人二十面相といえば、江戸川乱歩の代名詞といってもいい作品です。1962年（昭和37年）まで、おもに少年少女向け探偵小説『少年探偵シリーズ』に登場しました。

少年探偵団が怪人二十面相を追っていく様子が手に汗握る展開で、連載当時から日本中の子供たちを虜にしました。今もなお多くの小学生・中学生を中心に読まれている作品です。

江戸川乱歩が1934に移り住み、終の棲家にしていた自宅です。おしゃれでモダンな造りの玄関には愛用品や直筆の原稿が展示されています。

また、応接間には鮮やかな青色のソファと乱歩の肖像画に加え、執筆していたと思われる愛用のデスクもあります。土蔵のガラス越しにかつて収集していた貴重な蔵書を眺められる、ファン垂涎のスポットです。

団子坂といえば、かの有名な『D坂の事件簿』のモデルとなった場所です。江戸川乱歩はかつて古本屋を経営していた時がありましたが、生活圏であった団子坂を舞台に物語を紡いでいます。

ちなみに現在は古本屋であった場所はパーキングになっていますが、当時ここからの景色を眺めながらストーリーを考えていたのだろうと思いを馳せてみるのもおすすめです。

江戸川乱歩の人生から作品の特徴・おすすめの小説10選を紹介しました。ひとつひとつの作品がただ面白いだけではなく、奥深さを感じることができるのは江戸川乱歩の大きな魅力です。この機会に作品を手に取って江戸川乱歩の世界を楽しみましょう。以下の記事もあわせてご覧ください。