乃南アサの本おすすめ15選｜イヤミス作品が人気！ドラマ化された小説も紹介

乃南アサはミステリーを軸に、女性作家らしい視点から登場人物の心理描写を巧みに描く作家の一人です。1988年に発表された「幸せな朝食」で、日本推理サスペンス大賞の優秀賞を受賞してデビューしました。1996年には「凍える牙」で直木賞も受賞しています。

警察官を主人公にしたシリーズものが多く、特に女刑事・音道貴子シリーズは最も人気のあるシリーズです。音道貴子シリーズは、「凍える牙」「鎖」など映像化された作品もあります。長編から短編まで名作揃いで、いわゆる「イヤミス」も得意とする多作の作家でもあります。

ここでは、乃南アサの経歴や受賞歴・小説の選び方・おすすめ15選・音道貴子シリーズの読む順などを詳しくご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

乃南アサは、1980年に早稲田大学を中退し、広告代理店で働いていました。その後1988年に「幸福な朝食」で日本推理サスペンス大賞の優秀作を受賞し、文壇にデビューします。また乃南アサは、相撲好きでよく知られています。

また乃南アサは、台湾に6年ほどの間に40回以上訪れるほどの台湾好きです。台湾を舞台にした小説やエッセイも刊行されています。以下が代表的な台湾に関する乃南アサのエッセイと小説です。

• 美麗島紀行ーつながる台湾ー（エッセイ）
• 六月の雪（小説）

乃南アサの受賞歴についてご紹介します。デビューから文学賞を受賞しており、多くの賞を受賞しています。以下が主な受賞歴です。

• 1988年日本推理サスペンス大賞優秀作受賞（『幸せな朝食』）
• 1996年直木賞受賞（『凍える牙』）
• 2011年中央公論文芸賞受賞（『地のはてから』）
• 2016年芸術選奨文部科学大臣賞（『水曜日の凱歌』）

乃南アサの作品の選び方1つめは、「短編集」です。乃南アサは多くの短編集を刊行しています。中でもおすすめなのが『最後の花束』です。女性独特の嫉妬や執着心・残酷さが描かれた短編傑作集です。

女性作家の視点からしか描けない秀逸な作品集で、女性読者なら怖いような納得するような感覚にさせられます。他にも『すずの爪あと』『いっちみち』『岬にて』もおすすめです。

乃南アサの作品の選び方2つめは、「ミステリー」です。乃南アサの作品は、ほぼミステリーが軸となっていますが、特におすすめなのがデビュー作でもある『幸福な朝食』です。乃南アサ独特の女性の精神が少しづつ崩壊していく様を描いている作品です。

他に直木賞受賞作で人気シリーズの女刑事・音道貴子の『凍える牙』や、女性の嫌な部分をえぐり出した『微笑みがえし』などもイヤミスの名手の本領が発揮された作品です。ぜひ、乃南アサ作品を手に取るきっかけにしてみてください。

乃南アサの作品の選び方3つめは、「ヒューマンドラマ」です。乃南アサの作品はミステリーが中心ですが、その中でもヒューマニズムを描いた作品も多くあります。特におすすめのヒューマンドラマは『しゃぼん玉』です。

本作は映画化もされ、大好評を博しています。人間は人の温かさに触れると何度でも立ち直れるのだと感じさせられる作品です。

「しゃぼん玉」は、林遣都・市原悦子主演で映画化されました。強盗や通り魔を繰り返して来た青年・伊豆見翔人（林遣都）は、逃亡中、ある過疎の村の老婆・スマ（市原悦子）を助け、そしてそのままスマと暮らし始めます。翔人は、山の老人・シゲ爺の仕事を手伝い始め、山の暮らしに馴染み始めるのですが…。

人間は温かい人の心の触れると何度でも人生をやり直せるのだと感じさせられる心温まるラストシーンに涙が溢れます。

韓国で映画化された「凍える牙」は、乃南アサの人気シリーズ「女刑事・音道貴子」の第1弾です。主演は、ソン・ガンホとイ・ナヨンで、韓国国内でも大ヒットした作品です。日本では2回ドラマ化され、音道貴子役を天海祐希・木村佳乃が演じています。

ある深夜のファミリーレストランで突然男性客が発火炎上して亡くなります。その男性の足首には犬に嚙まれたような傷痕があり…。この不可思議な物語の発端がどう展開していくのか、ぜひご覧になってみてください。

映画「ジューン・ブライド 6月19日の花嫁」は、1998年に富田靖子主演で映画化されました。原作のタイトルは「6月19日の花嫁」です。

結婚式を控えた池野千尋（富田靖子）は、事故で記憶を失ってしまいます。千尋は気づくと見ず知らずの男性の家に寝かされており、わかっているのは自分が6月19日に結婚する事実だけです。自分の過去を調べるうちにさまざまな事実が明らかになり…。

映画としてもとても評価が高い作品です。

「ウツボカズラの夢」は、2017年に志田未来主演でドラマ化されています。高校3年生の斉藤未芙由（志田未来）は、病気の母のため家事に1年間を費やしました。そのため大学進学も就職もできず、母の死後は父と再婚相手の後妻から家を追い出され、母の従妹の鹿島田尚子の嫁家に身を寄せます。鹿島田家の人々は優雅に暮らしているように見えるのですが…。

「やはり世の中、お金なのか」と「幸せとは何か」を考えさせられるドラマです。

「鎖」は、2016年に小池栄子主演でドラマ化された音道貴子シリーズの第二弾です。音道貴子（小池栄子）は機動捜査隊に所属する女刑事です。東京都武蔵村山市で占い師夫婦とその信者が殺害されているのが見つかります。

「鎖」とは、乃南アサ氏は貴子にとっての警察組織、貴子の置かれた状況、犯人の一人に惹かれ縛られている一人の女性について表していると語っています。

次に乃南アサの人気作品・音道貴子シリーズの読む順番についてご紹介します。この順で読むと音道貴子が警察内で歩んできた道や人間関係の変化がわかりやすいようです。

1. 凍える牙
2. 花散る頃の殺人
3. 鎖
4. 未練
5. 嗤う闇
6. 風の墓碑銘（エピタフ）

「花散る頃の殺人」「未練」「嗤う闇」は短編集で、「鎖」は上・下に別れた長編です。「凍える牙」「風の墓碑銘」も長編です。読み応えのあるシリーズものにぜひ挑戦してみてください。

乃南アサは、ミステリー・ヒューマンドラマ・警察小説・エッセイ・台湾紀行など多岐にわたるジャンルで多くの著書を刊行しています。相撲好きで台湾をこよなく愛しており、女性の生きづらさや嫉妬心・残酷さ・執着心を描かせたら右に出るものはいないと言われています。あなたも多くの賞を受賞している実力派作家・乃南アサの名作を堪能しましょう。以下の記事もあわせてご覧ください。