ヘミングウェイの作品のおすすめ12選|文章の魅力や短編の名作まで詳しく紹介

ヘミングウェィと言えば、文学に興味がない方でも名前だけは聞いたことがあるくらい有名な作家です。1899年生まれ・アメリカ出身のヘミングウェイは、ハードボイルド作家としてもいつまでも人気が衰えない鉄板の小説家です。

多くの人間がヘミングウェイの小説に魅了される理由のひとつには、作品から情熱が溢れている点が挙げられます。文体はとても簡素なのですが、言葉選びのキレと力強さを感じます。また、テーマや登場人物にひたむきさがあります。

この記事では、ヘミングウェイの作品の魅力や読む作品の選び方、おすすめ作品やヘミングウェイのライフスタイルなどをじっくり丁寧にご紹介します。ぜひ参考にしてみてください！

ヘミングウェイの作品を読む前にその面白みや魅力を知っておきたい方へ、わかりやすく特徴をご説明します。ヘミングウェイの作品の特徴は「リアリティ」「シンプルな文体」「内容の厚み」の3つになります。

ヘミングウェイは行動派の作家といわれ、現実の社会背景や自らの体験した事柄を軸にして、リアリティのある作品を書き続けました。その姿勢で書かれた作品からは説得力やフィクション性が滲み出ています。

ヘミングウェイはアウトドアやスポーツのジャンルで多くの趣味を持ち、その多彩な知識と経験が作品に活かされてます。釣り・ボクシング・狩猟・闘牛など、アクティブに日々を楽しみながら執筆にも励みました。

なんとなく作家はインドア派と思いがちですが、ヘミングウェイは本格的なアウトドア派です。

ヘミングウェイの人生は人間との関わりの成功と失敗を繰り返すことで過ぎていきました。恵まれた家庭で姉1人・妹4人に挟まれ育ち、大人になってからは3度の離婚・4度の結婚をしました。家族の暖かさを知りつつも結婚生活では不倫も繰り返すなど、さまざまな経験をします。

家族や恋愛の経験を背景においたような作品も多々執筆されています。

ヘミングウェイの父親は医者で活動的でアウトドアを教えてくれましたが、オペラ歌手だった母親はどこか変わっていて、幼少時にヘミングウェイに女装させるなど変わり者でした。ヘミングウェイの素直さと繊細さの混じった複雑な作風には、多感な時期の親の影響があるともいわれます。

晩年は不安症に陥るなど不安定な精神を抱えていました。

ヘミングウェイの文体には他の作家とは違う魅力があります。現在、一般にいうハードボイルド小説とは、心情や感情の表現が極端に少なく、行為を客観的に説明のように連ねている乾いた感じの文章を指しますが、その基礎文体の礎になったのがヘミングウェイだったのです。

広義の意になる簡略な文章を重ねていくことで、読者自身の情緒が入り込みやすくなります。

ヘミングウェイが書いた作品の多くはどこか薄暗さを感じさせるものが多いのですが、よく噛み砕くと実はその真摯な雰囲気に気付くことになり、いつしかやみつきになります。人は相手に嘘がないとわかると安心するものですが、ヘミングウェイを読むと安心感に包まれます。

テーマや内容も骨太の男らしさを感じ、無骨なれど確実だとファンはいいます。

ここでは、ヘミングウェイの作品を実際に選ぶときのヒントをお伝えします。作品選びに役立つキーワードは「時期」「ジャンル」「作品の長さ」「楽しみ方」の4つがあります。順番にご説明していきます。

ヘミングウェイの作品は彼の人生の変遷とともに変化していきますので、執筆された時期で選ぶと興味のある分野で選びやすいです。初期・中期・後期にわけて代表的なテーマをご説明します。

ヘミングウェイは高校を卒業すると進学せずに夢である執筆者を目指し見習い記者になりますが、早々に辞職し、赤十字の一員として第一次世界大戦中のイタリアへ赴きます。そこからしばらくの間、リアルに見た戦争にまつわる作品を世に発表しています。

「武器よさらば」や「誰がために鐘はなる」などの有名作品はこの時期に書かれました。

中期のヘミングウェイは、長く続く世界大戦の最中で戦争にまつわる作品も多くありますが、戦争を機に訪れたスペインや猟師として行ったアフリカを舞台にした作品も増えていきます。スペインへは国際旅団としてスペイン内戦に関わりました。

「キリマンジャロの雪」は、アフリカのサファリでワイルドライフをした経験をもとにしています。

後期のヘミングウェイは、それまでの戦争体験・結婚の失敗・その他の事故や病気などによりやや元気を失い不安症になりました。そんな人間の陰鬱さと強さを兼ね備えた「老人と海」は大傑作で、ノーベル文学賞を獲得しています。

しかし、この授賞式には飛行機事故の重傷で出席できず、それより後には行動的な面も見られなくなり、最後は独りで亡くなりました。

ヘミングウェイは生涯を通じてずっとなにかに熱中して生きていました。彼が夢中になった事柄は多岐に渡りますが、作品のテーマはもう少し大きな捉え方で限定されています。執筆力のある作家だからこそ絞られたテーマで作品を選んでみてください。

ヘミングウェイの代表的な作品のテーマが内戦・戦争です。自らも多くをリアルで見た経験から、戦争がテーマの名作品を残しています。戦争を書くにおいても、ヘミングウェイは心理描写をあまり書かず、情景描写で淡々と記しています。

その手法によって、逆に戦争のやりどころのなさが浮き彫りになっています。

戦争やアウトドアについての作品が多いことでやや影に隠れているのが、青春・恋愛をテーマにした作品です。ヘミングウェイは戦争をきっかけに各国を訪れ、パリのアーティストたちの日常や自らの青春を重ねた若者たちの恋愛を書き留めています。

ヘミングウェイの恋愛小説では、登場人物がみな恋にまっすぐなのが特徴的です。

ヘミングウェイの得意分野として有名なのはやはり自然・動物です。彼が幼少時から触れていた大自然と動物に関して、独自の視点で書いています。美しさだけでなくその偉大さ・恐ろしさも一緒に描いてるのが特徴です。

悠然とした自然観というよりも、自然の中で必死に生きる人間を表現する作品が多くなります。

本を読むには、自分のライフスタイルに合わせて長さを選ぶのが重要です。短い空き時間で読める作品がいいか・時間に余裕を持って長編に挑むかなどを考慮するとさらに読書が楽しくなります。

ヘミングウェイは短編にも長編にも名作がたくさんあります。読書にあてられる時間が少ないときには、短編を選んでみてください。一度めはさらりと読めますが、二度め・三度めと繰り返すうちにどんどん深堀りできるのがヘミングウェイの短編の特徴です。

短編集なども販売されているので、好きそうな作品から手を付けるのもおすすめです。

ヘミングウェイの長編では、短編よりは文体の削られ感がなく世界観が壮大なのが特徴です。とはいえ文体に引き込まれるのはヘミングウェイならではで、どっぷりと作品の中に取り込まれ楽しめます。

しつこくはっきり主張を突き付けられるわけではないのに、胸に深く刻まれるような作品が多くあります。

ヘミングウェイの作品は多くが映画化・漫画化・舞台化をされ楽しまれています。作品を読む前・読んだ後などお好みのタイミングでそれらを鑑賞するのもまた楽しいのでおすすめです。

ヘミングウェイの作品の映画化では、映画としても名作ばかりが作られています。ヘミングウェイの文体の取り方の広さから、監督・演出者・役者などが素晴らしい世界観を表現しやすいのだといわれています。

戦争・恋愛・自然と、どのテーマも映画作品として壮大で美しく描けるもので、改めてヘミングウェイの作家としての偉大さを理解できます。

ヘミングウェイの小説は言葉がシンプルでもその奥深さが計り知れないため、やや難しく感じる方もいます。そんな方には、漫画化された作品をおすすめします。絵でわかりやすく、理解に時間を要しないため、急ぎでヘミングウェイを堪能したい方にも向いています。

お子様でも捉えやすく描かれているので、親子で読むのも楽しいです。

舞台化されたヘミングウェイ作品で日本で最も人気があるのは、宝塚歌劇団の「誰がために鐘がなる」です。初めて舞台化されたのが1978年で、32年経って再び上演され始めた名作です。また、宝塚歌劇100年史の演目として「ヘミングウェイ・レビュー」が上演されました。

ヘミングウェイ・レビューでは、ヘミングウェイが訪れた国と世界観を表現しています。

ヘミングウェイの原書は、高校生でも読みやすい数ページのものもあり、英語学習や原書での読書におすすめです。難解な単語が少なく、短文がメインのため、他の外国人作家の原書よりもかなり読みやすいです。

「老人と海」は英文学では必ずと言っていいほど推薦される作品ですが、英語で読むのが初めての方はもう少し短い作品から始めてみましょう。

ヘミングウェイは世界中で愛される作家ですが、そのライフスタイルにも理由があります。アウトドアやスポーツ以外にも人気のある、ヘミングウェイの人生のお供というべき事柄に触れてみます。

ヘミングウェイが大好きだったカクテルが2つあります。「フローズンダイキリ」と「モヒート」です。特にフローズンダイキリは、酒豪で知られるヘミングウェイがラムを増量し砂糖を減量して特注していたものが「パパ・ヘミングウェイ」として愛されています。

キューバの蒸し暑い天候の中でこれを日に12杯も飲んでいたというから驚きです。

ヘミングウェイは大の猫好きで、アメリカのフロリダ州キーウエストで「老人と海」などを執筆していた時期には6本指の変わった猫2匹と暮らしていました。彼は指の多い猫たちを幸福の印として大事にしていました。

現在でも、キーウエストのヘミングウェイ旧宅で当時の猫たちの子孫が暮らしています。

ヘミングウェイについて、人物と作品の魅力・作品の選び方のヒント・おすすめ作品などを詳しくご紹介しました。ぜひ記事を参考にヘミングウェイの生きざまがたくさん反映されている作品を楽しんでみてください！

こちらの記事もあわせてご覧ください