篠田節子の小説おすすめ10選｜代表作から新刊まで紹介

篠田節子さんの小説の魅力は、ジャンルの豊富さにあります。SF小説だけでなく、ホラー小説や推理小説なども書いていて、医学パニックや音楽ホラー小説などの専門性が必要な主題にも挑戦し、高い評価を得ています。

小学生時代から冒険小説やコナンドイルを夢中で読んでいたといい、作品にもその影響が見てとれます。中学生の時には自然科学系ノンフィクションを読みふけったのも、篠田節子さんのジャンルの豊富さに生かされています。

ジャンルも豊富で、採り上げる主題もバラエティに富んでいるため、篠田節子さんの小説に触れてみたいと思っても、どれから読んでいいか迷ってしまいます。そこで今回は、篠田節子さんの小説の魅力や、おすすめの選び方について解説します。ぜひ参考にしてください。

東京・八王子出身の篠田節子さんは受賞作が多いことでも有名です。公務員として働いていましたが、30歳の時からカルチャーセンターで小説執筆講座を受講し、35歳の時に『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞したことを契機に、本格的に執筆活動を開始しました。

その後、山本周五郎賞・直木賞・柴田錬三郎賞・吉川英治文学賞など大きな文学賞を次々に受賞しました。2020年には紫綬褒章も受章するなど、小説家として高い評価を得ています。

篠田節子さんの代表作といえば『女たちのジハード』です。この作品は中堅保険会社に勤める5人の女性たちのそれぞれの人生を描いた作品で、第117回直木賞を受賞しました。舞台は1990年代ですが、現代にも通じる空気があります。

5人の女性たちは、それぞれ性格も考え方も違います。結婚や仕事など、さまざまな挫折などを乗り越えて強く生きていく姿が書かれています。ジハードとは聖戦の意味ですが、女性たちが人生を戦い抜く生き様に触れましょう。

篠田節子さんの作品は多数の文学賞を受賞しているため、まずは受賞作から読んでみるのがおすすめです。たとえば、直木賞を受賞した『女たちのジハード』はそれぞれの話は短編になっているので、とても読みやすいです。

そのほかには、第3回小説すばる新人賞受賞作にしてデビュー作の『絹の変容』や、第10回山本周五郎賞の『ゴサインタン』、第22回柴田錬三郎賞受賞の『仮想儀礼』などがあります。どれも名作ですので初めて読む篠田節子さんの小説にはぴったりです。

映像化された作品から入るのもおすすめの選び方のひとつです。篠田節子さんの小説は、映像化された作品が多く、小説は読んだことがなくても、先にドラマで聞いたり見たりしたことがある人も多いのではないでしょうか。

映像化された作品としてはNHKドラマ「いのちの事件簿 〜福祉の最前線でケースワーカーは今〜」の原作『死神』や、『百年の恋』、ほかにも『ハルモニア』や『カノン』などもドラマ化されています。

篠田節子さんが小説で採り上げるテーマは幅広いので、自分の好みのテーマを取り扱った小説から読み始めるのもおすすめです。官僚制や民主主義がテーマなどの政治的な話を取り扱ったもの、サラリーマン社会を書いたものもあります。

ほかにも、家父長制や宗教などの難しいテーマにもチャレンジしています。篠田節子さん自身はあまりホラー小説やSF小説といったジャンルにこだわりはないと言われているので、まずはテーマから選んでみましょう。

長編なのか短編なのか、長さで選ぶのもおすすめの選び方です。長編は読むぞ！という気合が必要だったり、読む時間の捻出を考えて二の足を踏んでしまう方でも、短編小説集なら気兼ねなく読み始められます。反対に小説の世界に浸りたいなら長編がおすすめです。

長編小説としてはネパール人の妻と結婚したことからさまざまなことに巻き込まれていく『ゴサインタン 神の座』やチェロの音色がテーマの『ハルモニア』などがあります。短編集は『死神』『天窓のある家』などがあります。

2022年6月に刊行された新刊の『セカンド・チャンス』もおすすめの本です。親の介護に明け暮れ、自分のことは二の次に過ごしてきた主人公。長い看病の末に親を見送り、いざ自分の人生を始めようとするところから物語はスタートします。

水泳教室を舞台に、51歳の主人公がセカンド・チャンスをつかんで、セカンドライフを楽しむ話です。少しほろ苦いですが、読み進めるうちに不思議と元気が出てくる、そんな話になっています。ぜひ新刊もチェックしてみてください。

篠田節子さんはチェロの演奏を趣味にしています。2004年には歌手の山下久美子さんとのコラボレーションアルバムを販売するほどです。

この演奏活動は執筆活動にもいかされていて、音楽家が主人公とした作品が多く書かれています。取材もかなり細部にまでわたって行う篠田節子さんですから、趣味からわかった事柄もしっかり表現されています。

幅広いジャンルの作品を書く篠田節子さん。ご本人がジャンルにこだわっていないと話す通り、書かれた作品はさまざまなスタイルを楽しめる作品ばかりです。緻密な取材や趣味なども生かした幅広い作品で、篠田節子ワールドを堪能しましょう！