山口洋子の小説おすすめ5選|代表作と名高い『ザ・ラスト・ワルツ』も詳しく紹介

小説家山口洋子は19歳で銀座にクラブ姫をオープンさせ、各界の著名人をお客として抱え、店を銀座有数のクラブに成長させます。その中で作詞家・小説家としてデビューし、レコード大賞作詞賞や直木賞受賞など評価されていきます。

作品には夜の街を舞台にしたものや、音楽業界を取り扱った作品も多く、自身の自伝的な小説が多いのも特徴です。今では考えられないほどの大胆で豪胆な夜の世界・音楽業界が賑やかだった世代の作品であり、当時の様子を知るのも面白いです。

そこで、今回は山口洋子の波瀾万丈な人生を紹介しながら、おすすめの小説作品を紹介していきます。読んでみたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

山口洋子は、1957年東映ニューフェイス4期生として女優として活動していましたが芽が出ず、銀座にクラブ「姫」をオープンさせます。このとき19歳でしたが、各界の著名人を顧客として抱え、経営面で手腕を発揮し銀座有数のクラブへ成長させました。

この銀座のクラブで起こった出来事や、夜の街を生きてきたホステスたちの物語が小説へも活かされています。

山口洋子はその後、1968年から作詞の活動を始めています。五木ひろしさんの『よこはま・たそがれ』などのヒット作を作りあげ、作詞家・山口洋子の名前も有名になっていきます。

1980年代に入ると作家として小説の執筆も始めます。1985年には『演歌の虫』『老梅』で直木賞を受賞しました。2014年に呼吸不全で亡くなるまで多くの作品を残しています。

山口洋子はクラブを経営しながら、日本の歌謡曲の作詞・小説を執筆する作家として活躍してきました。特に小説は女性の生き方に鋭く切り込んだ巧妙な作風で知られています。

幅広い分野で成功をおさめ、異色のキャリアを歩んだため、77歳でこの世を去るまで力強く生命観のあふれる作品が多いです。夜の街で磨かれた感性が感じられる作品を楽しみましょう。

このラストワルツは、山口洋子の原点であるクラブ「姫」をオープンさせてから起こった出来事を描いた自伝的小説です。夜の街を生きたホステスたちとの思い出や、時代の変化と共に訪れる衰退が記されています。

よく飲み、よく遊ぶ当時の大人たちの様子がママである山口洋子の視点から描かれています。1950年～1970年までの良くも悪くも桁外れに豪快だった銀座を知りたい方におすすめです。

ホスト・ホステス・ゲイボーイなどさまざまな状況の夜の街に生きる者たちが、懸命に生きていく様を3者の視点から描いた作品です。

1作目はさまざまな理由で亡くなっていったホステスの話を描いており、2作目はホストとして働く男たちのリアルな視点を描いています。3作目はゲイボーイたちの葛藤を描いており、三者三様の夜の街の姿が浮かび上がってくる作品です。

『演歌の虫』は山口洋子が1985年に直木賞を獲得した代表的な作品です。主人公は作詞家として活躍する中村容子で、音楽業界の裏側を舞台に物語りが進んでいきます。

主人公の女性が、山口洋子と重ねて描かれているといわれており、山口洋子自身が生きてきた音楽業界の実体や人々の温かさが投影されている作品です。当時の音楽業界を知りたい方にもおすすめです。

『ドント・ディスターブ』は男と女の物語が詰まった短編集です。表題作のドント・ディスターブは中年銀行マンと芸能界でマルチに活躍する女性の不倫を描いています。その他にもナンパを生業とする男性の話など7作が収録されています。

大人の恋愛がテーマとしてあり、登場する女性の言葉に妙な魅力があります。愛し合う男と女の話の結末が気になる作品です。

坂本冬美や森進一などを弟子に持つ、昭和の名作曲家猪俣公章との楽しかった思い出を描いた作品です。山口と猪俣は「千曲川」や「一度だけなら」など数多くのヒット曲を生み出してきました。

常に順風満帆な生活を送っていたわけではありませんが、ライバルであり親友でもあった二人の気の置けない関係が表れています。

作曲家・平尾昌晃と山口洋子のコンビはこの時代を代表するゴールデンコンビとして知られています。第15回レコード大賞作詞賞を『夜空』で、第2回古賀政男記念音楽大賞を受賞しています。

特に五木ひろしへの作詞提供が多く、『よこはま・たそがれ』・『長崎から船に乗って』・『ふるさと』・『夜空』・『千曲川』などがあります。

山口洋子の小説作品は、自身のクラブ経営や作詞家としての活動の中で生まれた作品が多く、人気があります。山口洋子がクラブを経営した60年代～80年代の、歌謡曲が全盛期だった空気を感じるのも楽しみ方のひとつ。山口洋子という女性の生き方を感じるのも面白い楽しみ方でおすすめです。ぜひ下記の記事も参考にしてみてください。