髙橋ツトムの漫画おすすめ10選｜代表作も紹介！異色の経歴の漫画家【スカイハイも】

髙橋ツトムの遍歴は幾多の漫画家の中でも異色なものです。高校を中退するまでは漫画との接点はほとんど見つられません。しかも歩んできた道は平坦ではなく、起伏の激しい波乱万丈そのものでした。

髙橋ツトムの描く漫画の世界は多岐に渡りますが、それらに自分の体験が活かされている作品が少なくないのも特徴です。暴走族があったりバンドがあったりして、それらを硬派的に描かれています。

今回はそんな漫画家である髙橋ツトムについて解説していきます。髙橋ツトムの来歴や作風と描く世界がわかる代表作の概要を見てみましょう。

髙橋ツトムは1965年に兵庫県西宮市で生まれたため今でも熱烈な阪神ファンです。そんな髙橋ツトムは学生時代までは漫画とは距離を置いた人生を歩んできました。

青年時代はバンドを組んで音楽活動をする傍らで「ZERO」という暴走族にも所属していた時期もあります。ちなみに現在でも自身のバンド「残響エリー」で活動しています。

高校を1年で中退してしまった髙橋ツトムは失恋をきっかけに音楽を再開しますが、メンバーとうまくいきません。そして小学校時代に周りから褒められた「ドカベン」の岩鬼の模写を思い出します。

その頃には長らく漫画も読んでいませんでしたが自分で描き始めました。髙橋ツトムはひとりでできるものが何かを考えるようになっていたと当時を振り返って明かしています。

かわぐちかいじ「アクター」に感銘を受けていた髙橋ツトムが、初めて描いた作品は「GOTAVOICE」でした。ところが講談社に持ち込んだ際に編集者から酷評を受けてしまします。

落胆した髙橋ツトムは原稿を置き去りにして戻っていきますが、その作品が1987年の「アフタヌーン四季賞」で準入選となり漫画家への道を歩き始めました。

髙橋ツトムは、準入選がきっかけとなって講談社の編集者から、かわぐちかいじさんを紹介してもらいます。そして編集者の口添えもあってアシスタントとして手伝わせてもらうようになりました。

それから2年後に講談社の青年漫画誌「モーニング」に読み切り漫画として「地雷震」が掲載され、プロの漫画家としての活動開始となったのです。

最近の髙橋ツトム先生は、6人いたアシスタントに手伝ってもらうのを止めて、敢えてひとりで作品作りに取り組むようになりました。そこには髙橋ツトム独自の作品作りへのこだわりがあり、分業への疑問に対する想いが秘められています。

髙橋ツトムが描く絵はスタイリッシュでありながらタッチがとても力強く重々しい独特さを感じさせてくれるのが魅力です。また多くの作品に自分の実体験を活かされているのが大きな特徴となっています。

さらに周囲から驚かれているのが作品を描きあげるスピードの速さです。それにもかかわらず登場する人物に普通ではない異能性がある面白い作品を描き続けています。

石田凌駕の家庭環境は父親が殺人を犯して服役中で、兄も殺人犯として逮捕されていました。しかも兄の犯行現場に凌駕もいたので共犯ではないかと疑われていたのです。アマチュアボクサーの凌駕は、獄中の父親から命令されてデビューするためにプロテストに挑んでいきます。

この『ブラックボックス』は髙橋ツトムの『あしたのジョー』愛が生み出した作品で、あちこちにオマージュを想わせる内容がはめ込まれているのが特徴です。

週に1度だけ隣に住んでいる元ヤクザだった老人の瀬川の話し相手になっていた智。自分の誕生日である夏のある日に瀬川から呼び出された智は、500万円を渡され拳銃で殺せと頼まれます。しかしその時は出来ない頼まれごとだと智は断ります。

しかし、久しぶりに瀬川の部屋を訪れた智は、殺してくれと懇願され銃の引き金を引いてしまったのでした。それからの智には血に濡れた人生を歩みながら男らしくなっていきます。

霊界にいる幽霊は輪廻転生を待って魂や輪廻などを学ぶために学校に通っていました。ところが金髪で関西弁のリオンは学校をサボってばかりです。あるとき校長から呼び出しを受けたリオンは輪廻転生の順番がきたと喜びしますが、人間の守護霊になるよう言われてしまいます。

リオンが守護する人間は現役の総理大臣でしかも、寿命が500日しかなかったのです。こうして落ちこぼれの幽霊のリオンは支持率も身体もボロボロの総理大臣の守護霊を始めたのでした。

殺された不慮の事故などで命を落とした人間は、「怨みの門」に送られます。そして番人をしているイズコから示された3つの選択肢がひとつを選ばなければなりません。示される3つは「天国への道」と「地獄への道」と「彷徨い続ける道」です。

全10巻のオムニバス形式で構成された物語では、それぞれの死者の選択が描かれています。『スカイハイ』は釈由美子主演でドラマ化と映画化されて人気作品です。

江戸時代が終わりを迎えようとしていた頃に生を受けた雪村翔太郎・源太郎兄弟は母親をコロリで亡くしてしまいました。兄弟は組織に売られながらも遺言の「腕を磨け」を胸に剣の腕を磨いていきます。

やがて会津藩に抱えられるような武士にまで成長したふたりは、新撰組と面々と共闘して幕末を生き抜いていきました。フィクションでありながら実在した人物も登場させるのが特徴です。

髙橋ツトム作品のジャンルは多種多様と言っても過言でないほど多岐に渡っています。『BLACK-BOX』や『残響』で人の生きざまを描いたかと思えば、『ヒトヒトリフタリ』で取り扱ったのは霊界ネタです。『SIDOOH/士道』で時代劇を描いたかと思えば、『スカイハイ』では死後の世界を独特の感性で作品に仕上げています。

作品のあらすじや作風などについての情報は容易に得られるので、それらを参考にして自分が読みやすそうな作品を選ぶようにしましょう。また、ネット上の口コミやレビューなどを参考にするのもおすすめです。

作品は完読してこそ良さがわかるものです。最初から長編作品を読むのは必ずしもおすすめではありません。短編作品をいくつか完読すると作風の特徴らしきものの感覚がつかめてきます。

長編作品を読み始めるのは、それらの感覚がわかってからの方がおすすめです。髙橋ツトム作品を読んだ経験がない方は容易に読み切れる短い作品から入っていきましょう。

髙橋ツトムの描いた作品はメディアミックス展開されているものも少なくありません。映画化された作品としては『天間荘の三姉妹』や『LOVEDEATH』や『ALIVE』などが挙げられますが、代表的なものとしては『スカイハイ』があります。

『スカイハイ』は集英社の『週刊少年ジャンプ』で掲載がはじまり、『グランドジャンプ』への連載と続いていきました。同作品はテレビ朝日系列でドラマ化され、好評であったため『スカイハイ 劇場版』として映画公開されています。

髙橋ツトムはインタビューの中で、描きたいものがあるのが漫画家の財産だと話していました。何と言ってもハードボイルドを感じさせる硬派の男臭さを描いた独特の世界観が特徴です。これまでも読者を楽しませてくれた髙橋ツトムが、次にどんな漫画を描いてくれるのか今から期待が膨らみます。

こちらもあわせてご覧ください