和田竜の小説おすすめ4選！のぼうの城から村上海賊の娘まで｜2024年現在の新作は？

2012年に映画化された『のぼうの城』。原作者である和田竜は時代小説を手掛けており、ほかにも読み応えのある作品を生み出しています。さらに従来の時代小説とテイストが異なるため、ニューウェーブ時代小説の旗手としても注目を集めています。

映像化されている作品も多いため、ラインナップを知れば「あの作品も和田竜だったのか」と、思わず納得するものばかりです。和田竜作品に初めて触れる場合もタイトルを知っていれば、興味も倍増しますよね。

戦国エンターテイメント小説が得意で、幅広い年代の時代小説ファンを魅了している和田竜。この記事ではそんな和田竜のラインナップや魅力、新刊、エッセイ集などについて紹介します。

和田竜は1969年に大阪府で生まれ、広島県で育ちました。「竜」は坂本龍馬から付けられており「りょう」と読みます。自身の脚本をノベライズ化した『のぼうの城』で、2007年に小説家デビュー。人気小説家の道を歩み始めます。

その後もさまざまな時代小説を生み出し、2014年『村上海賊の娘』にて本屋大賞も受賞しました。以下の2作品は映画化もされています。

• 忍びの国
• のぼうの城

2022年8月現在は、充電期間中です。

和田竜作品の魅力は圧倒的なスピード感です。従来の時代小説ではじっくり書かれていた時代背景や状況設定も、テンポよく躍動感ある描写で進みます。特に命を懸けて戦う合戦シーンは、アクション映画を見ているようです。

息をもつかせぬ展開と臨場感あふれる描写で、場人物たちと一緒に戦っているような錯覚に陥るほど、のめり込めます。ダイナミックかつ畳みかけるような文章で、ページをめくる手も止まらなくなります。

ここからは和田竜の人気小説を紹介します。ベストセラーとなったデビュー作や、映像化された作品など、これまで和田竜が発表した小説が登場します。ぜひこちらを参考に、お気に入りの小説を見つけてください。

和田竜のデビュー作である『のぼうの城』は、第29回城戸賞を受賞した脚本『忍ぶの城』をもとに、小説化されたものです。時代小説では異例の大ベストセラーとなり、2012年に野村萬斎主演で映画化。北海道苫小牧市で主な撮影が行われました。

天下統一を目前にした豊臣軍が「浮城」の異名を持つ「忍城」に攻め込みます。領民に木偶の坊からとって「のぼう様」と呼ばれる成田長親率いる忍城軍500人と、石田三成率いる豊臣軍20,000人の攻防を描いた物語です。

マイナーな戦国史ですが、わかりやすい文体で一気に読み進められます。

2009年に吉川英治文学賞新人賞の候補となり、コミカライズもされました。2017年には嵐の大野智主演で映画化もされた作品です。「天正伊賀の乱」を背景に、多角的な視点から描かれた新しい時代小説です。

物語の舞台は伊賀の国（現在の三重県西部）ですが、映画では長野県の自然が生かされています。普段は無類の怠け者ながら、伊賀一の腕を誇る無門の「やるときはやる」姿が描かれています。伊賀忍者と小田信雄軍が、激しい攻防を繰り広げる物語です。

無門のアイデアやスリルある策謀など、騙し合いや化かし合いは最大の見どころです。

心やさしい少年、雑賀小太郎の狙撃手としての腕をめぐる戦国エンターテイメントです。和田竜ならではのスピード感や、映像的な描写も魅力的。激しい時代背景で生まれる、人間模様が丁寧に描かれています。

戸沢家と児玉家は西国の勢力争いを続けていました。戸沢家の武功者・林半右衛門は児玉家・花房喜兵衛の軍勢により、次第に追い込まれていきます。その中天賦の才を持つ狙撃手・小太郎が「最終兵器」として急浮上。半右衛門がとった行動から、事態は思わぬ方向へ進み始めます。

切なくも爽快感を得られるラストが、読者の心を打つ作品です。

2014年に本屋大賞を受賞。2016年にコミカライズもされています。小学生時代、周りに村上姓が多く家族旅行で因島を訪れた際、村上水軍の存在に触れた影響から作家デビュー後、本格的に調べ創作へ至った作品です。

村上水軍の当主・村上武吉の娘である村上景は、軍船に乗り男勝りの活躍をしていました。ある日、毛利家から本願寺を救うために必要な物資の輸送依頼が入ります。村上水軍は毛利家に加勢すると決め、景も戦いに身を投じていきます。

戦国時代ながら海賊衆に焦点をあて、史実に基づき作り上げられた、歴史エンターテイメントです。

和田竜の小説は2013年に発表された『村上海賊の娘』以降、発売されていません。しばらく充電期間を設けると公言し、2022年8月現在も続いています。もともと「作品を掛け持ちして執筆するスタイルは合わない」と公言している和田竜。

地道さを大切にしている和田竜の新作が発表される日を、ファンは待ち続けています。

さまざまな時代小説でヒット作を生み出している和田竜ですが、エッセイ集もおすすめです。『のぼうの城』などの創作秘話から、人気戦国武将の面白いエピソードまで収録されています。タイトル通りほぼ余談なので、肩の力を抜いて軽く読めます。

和田竜作品をすでに楽しめている方はもちろん、まだ読んでいない方は「読みたい」と思える内容です。和田竜の歴史に対する向き合い方や武将愛、取材方法などに触れられるところも魅力です。

和田竜の小説は史実に基づきながらも疾走感があり、読みながら映像が脳裏に浮かぶような作品ばかりです。従来の時代小説とは異なりわかりやすいテイストのため、時代小説を初めて読む方にもおすすめです。アクションも多めでエンターテイメント小説として楽しめる和田竜作品から、時代小説デビューを果たしましょう。

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