田口ランディの小説おすすめ9選！2024新刊や過去の映画化作品・現在の様子も

作家でエッセイストの田口ランディは、実話をもとにした作品『コンセント』で作家デビューを果たしました。デビュー以降も、『できればムカつかずに生きたい』や『マアジナル』といった人気作品を世に送り出しています。彼女の描く物語の不思議な感覚に、思わず夢中になってしまう読者が多数。

ノンフィクション作品には、『忘れないよ！ヴェトナム』や『ひかりのあめふるしま屋久島』があります。現地に行った経験がない方でも、ストーリーの舞台になっている土地の情景が思い浮かぶ本です。

今回は、オカルトからノンフィクションまで手広く作品を描いている田口ランディの作品について紹介していきます。ぜひ、最後までご覧になってお気に入りの一冊を見つけてください。

田口ランディの生い立ちは、とても苦難が多いものだったといいます。数多くの仕事をこなして苦労を積み重ね、作家となるための勉強に力を注いできました。広告代理店に勤務していた頃に現在の夫と結婚し、26歳で編集プロダクションを立ち上げました。順風満帆な日々を過ごしていましたが、引きこもりだった兄の孤独死によって状況が大きく変わります。

38歳で娘を出産後、育児をしながら兄をモデルに『コンセント』を執筆して作家デビューを果たしました。現在も、人間のリアルな心理を描いた作品の数々が読者から反響を呼んでいます。ブログを開設して、さまざまなイベント情報を告知して作家以外でも活動の幅を広げています。

オカルト要素は、田口ランディ作品には欠かせない要素であるといえます。『逆さに吊るされた男』は、地下鉄サリン事件の実行犯Yに関わる衝撃のノンフィクションノベルです。しかし、内容のどこまでが真実なのかは誰もわかりません。

この作品のように、真実がどこにあるのか見つけにくい点が多くの読者をひきつけています。「こうなるのでは」と予想はしていても、それをくつがえすような展開が待ち受けているストーリーが他にはない大きな特徴です。

『できればムカつかずに生きたい』は、悩み多き若者の心理へ響く田口ランディの想いが込められた一冊になっています。

田口ランディ作品には、人の複雑な心理を描写しながらも作者本人から読者へのメッセージがこめられています。作品ごとこめられたメッセージはどんなものか、想像しながら読み進めていける点が面白味の一つです。

『オクターヴ』は、友人から送られてきた謎の3枚の絵ハガキをもとにストーリーが繰り広げられています。オカルト要素がありながらも、それを超越した不思議な世界観を感じされる小説です。

オカルトと一言でいっても、さまざまな種類があります。怖さや不思議さ、生命の神秘など、それぞれのオカルト作品を読み比べてみるのがおすすめです。

『ひかりのあめふるしま屋久島』は、毎日の仕事に疲れた作者が自然あふれる屋久島で旅をした経験をつづったエッセイです。屋久島の自然や人情に触れて、心と体を癒していった話が描かれています。

屋久島の他にも、田口ランディはさまざまな土地へ出向いて見分を積んでいます。読んでいるうちに、あなたもきっと旅へ出たくなりますよ。

タイトルと表紙にインパクトがある『縁切り神社』は、田口ランディの恋愛短編集です。とある女性が、交際相手の男性にいた元恋人との絶縁を願う話など、恋愛における男女の生々しい姿が描かれています。

田口ランディが描く恋愛小説には、この作品のように生々しい男女関係を描いている作品が多数あります。よりリアルな恋愛小説が読みたい方におすすめです。

『もう消費すら快楽じゃない彼女へ』は、かつて世の中を騒がせたさまざま社会問題や事件などにフォーカスを当てたエッセイです。田口ランディの独特の切り口や語り口で、世の中で起きた問題についての思いつづっています。

作者ならではの視点から、世の中にあるいろいろな問題を語っていく書籍は他にもあります。どの作品も、ストレートかつ冷静な語り口が魅力です。

田口ランディは、兄の孤独死をモデルにして執筆した『コンセント』で作家デビューを果たしました。主人公・朝倉ユキが、兄の腐乱死体を発見して以来死臭をかぎ分けられる人物である設定で、とてもインパクトのあるデビュー作です。

刊行から20年以上が経った現在でも、多くの読者を引き込んでいます。作者の実体験をもとに書かれたストーリーで、読みながら生と死についてじっくり考えさせられる一冊です。田口ランディの原点が、この小説にあります。

『アンテナ』は崩壊する家族を描いた作品で、2004年には映画化もされています。主人公の大学院生・祐一郎が、ある日突然失踪した妹を家族とともに探しますが、その過程で家族は徐々に崩壊していきます。父の死、母の新興宗教団体への入信など、祐一郎は家族の中で取り残されていました。夜の世界で活躍するナオミとの出会いが、祐一郎にさらなる変貌をもたらしていく衝撃のストーリーです。

『アンテナ』では、人間の心の奥底に眠る欲や魂を田口ランディが独特の表現でつづっています。一度読み始めたら、物語の世界観から目が離せなくなるほどの濃い小説です。

UFOを呼んで1人の少女が姿を消した事件が、物語の軸となっています。当時姿を消した少女と行動をともにしていた5人の若者たちは、それぞれに数奇な運命に翻弄されていました。UFO伝説のある能登で、とある雑誌編集者が5人の人生に迫るストーリーです。

先の見えない展開にドキドキしながらも、世界や人間の在り方を考えられる作品です。人間の生命について、この作品を読みながら今一度自分なりに探っていく読み方もできます。

移送屋の仕事をしているミミは、引きこもりの少年を引き受けますが、謎の言葉を残して少年が疾走してしまいます。それからのストーリー展開にワクワクできる物語です。『コンセント』と『アンテナ』に続く電磁系シリーズの3部目になります。

渋谷と電磁波をテーマにした、現代風の舞台となっています。主人公・ミミと少年・正也とのやり取りや、正也が失踪前に残した奇妙なセリフなど、オカルトな要素が満載で最後まで楽しめる小説です。

『「ありがとう」がエンドレス』は田口ランディが自分の娘とのふれあいをつづった、心温まる一冊です。親元を離れて、一人暮らしを始める娘に向けて数々のメッセージを送っています。恋愛・人間関係・勉強する意味など、人生の先輩として娘にアドバイスを贈る素敵なメッセージ集です。

娘を思う作者の気持ちが、温もりとともに深く伝わってきます。自分の家族も大切にしていこうと思える一冊です。子を持つ親なら、本書の内容にとても共感できる部分がたくさんあります。

江原啓之・新城拓也との共著『きれいに逝かせてください』は、コロナ禍において注目されている看取りをテーマに刊行されました。スピリチュアリストの江原啓之と、臨床医の新城拓也と共に看取りについて真剣に考える内容です。

感染拡大により、家族でさえも看取りが難しいとされています。看取りは難しいテーマですが、家族の看取りは誰にでも関係があり、目が離せなません。今後のためにも、ぜひとも読んでおきたい一冊です。

2017年に公開された映画『世界でいちばん美しい村』では、田口ランディが映画のサポート役を務めました。ネパール大地震で被災しながらも、村に生きる人々の強さとたくましさが描かれているドキュメンタリー映画です。

現地を取材するため、ネパール・ヒマラヤ山岳帯の村に向かった日本人写真家・石川梵は、ネパールの大家族と看護師とふれあう中で、どんな経験をしていったのでしょうか。最後まで目が離せない作品となっています。

数々の苦難を乗り越えた田口ランディがつづる物語は、人間の深い心理を読者の心の中に刻みこんでいます。普段の生活では分からない、人間の生の姿が描かれているのが特徴です。田口ランディの世界観を味わい、自分の心を見つめてみませんか。こちらもあわせてご覧ください。