秋吉理香子の小説12選｜映画化した『暗黒女子』やドラマ化した『絶対正義』など

秋吉理香子は読了後にいやな気持になるミステリー、「イヤミス」の新旗手として名高い作家です。2016年に発表したミステリー小説、『暗黒女子』が映画化されブレイクしました。人間の心の闇を克明に描き、コアなファンも獲得しています。

人間の本性が出る一瞬を、力強く丁寧に描くのが得意な秋吉理香子。これまではミステリー小説を中心に描いてきましたが、「今後は社会派小説にも挑戦したい」と意気込んでいるなど、引き出しの多さも魅力です。

ただイヤミスのイメージが強い秋吉理香子作品はたくさんあるため、興味を持ってもどの本を選べばいいか迷います。そこでこの記事では秋吉理香子の魅力や、おすすめ小説12選などを紹介します。

秋吉理香子は兵庫県で生まれました。年齢は非公開です。15歳の頃にアメリカ・ロサンゼルスへ移住し、高校卒業と同時に帰国しました。早稲田大学第一文学部を卒業後、再度アメリカに渡りロヨラ・メリーマウント大学院で映画・TV製作の修士号を取得しています。

2009年に発表した『雪の花』が第3回Yahoo!JAPAN文学賞を受賞し、作家デビューを果たしました。また映画や音楽が好きで自身のブログでも、よく話題にしています。

純文学を礎に読了後の後味が悪いほど癖になる、「イヤミス」作品を多く手掛けています。人間の本性が出る一瞬を力強く丁寧に描いており、つい「わかる」と相槌を打ちたくなる部分も多いため感情移入もしやすいです。

「自分にしか書けない難しい設定」を意識している秋吉理香子作品は、読む手が止まらなくなるなど読者を引き込む力強さを持っています。物語の展開も早くサクサク進められるなど、文章が簡潔で読みやすい点も魅力です。

ここでは秋吉理香子の代表作を紹介します。映像化された作品や一気読み必至の作品など、さまざまです。どちらも秋吉理香子らしさを感じられる作品なので、迷ったときはこの中から選ぶのもおすすめです。

2017年に映画化され、アジア諸国で翻訳出版もされるほど人気がある『暗黒女子』。「イヤミス」の言葉自体を知らなかった秋吉理香子が描いた初のミステリー小説です。秋吉理香子の小説を初めて読む方におすすめです。

舞台はミッション系の女子高。全生徒憧れの白石いつみが転落死し、サークルのメンバーは朗読会で犯人を告発すべく動き出します。ラストで集束される真実に、背筋が冷たくなる恐怖を感じられる点が魅力の作品です。

一気読み必至のサスペンスミステリーです。「ラスト20ページ、世界は一変する。」といったキャッチコピーも、話題になりました。わかりやすい叙述トリックながらも、驚きの連続で展開するストーリーに引き込まれていきます。

隣町で起きた殺人事件。幼稚園児の遺体が見つかり母は娘を守るため、とある行動に出ます。読了後はタイトルである『聖母』に込められた意味も読み取れます。濃密な表現でエンタメ小説としても評価が高い作品です。

『灼熱』は憎悪・優しさ・恐怖・哀しさ、さまざまな感情が詰め込まれており、読み応えのある作品です。内心の語りで話しが進むため、本が少し苦手な方にもおすすめです。展開も早いため、あっという間にラストを迎えられます。

転落死した夫を殺した証拠探しのため、整形し身分を変え、憎い男の妻になった女。復讐に身を焦がす灼熱の日々を描いた、慟哭ミステリーです。よくある設定ですが、意外性のあるラストは必見です。

人間の憶測にある執着心と狂気を描いた、傑作サスペンスです。雪深い孤島が舞台のため、ホラー要素も感じられます。細かくちりばめられた伏線の意味に気づいたとき、思わず背筋が凍る作品です。

かつてはアイドルを目指していた美雪は、婚約者の俊亜貴と故郷を訪れます。隠されていた俊亜貴の秘密が明らかになったとき、美雪の運命が狂い始めます。『サイレンス』はタイトル通り、派手な展開などもない、静かなミステリー小説です。

『絶対正義』は2019年にドラマ化されました。秋吉理香子が「100％正しい人間がいたらどうなるだろう」と考え、書かれた作品です。「死人から招待状が届いたら怖い」といったアイデアを組み合わせ、構築されています。

女性4人の元へ5年前に殺したはずの女性から、パーティーの招待状が届くところから始まる物語です。誰が、何の目的で送ってきたのか。「正義」の果てがもたらす狂気と悲劇に、ゾッとさせられます。

秋吉理香子は「イヤミス」を得意としています。そんな秋吉理香子の作風に似ている作家といえば、イヤミスの3大女王と呼ばれる「湊かなえ」「真梨幸子」「沼田まほかる」です。

湊かなえは緻密に練られた展開や数々の伏線で、知らない方が幸せだと思えるラストを描くのが得意です。真梨幸子と沼田まほかるは、登場人物の「心の闇」を生々しく表現。どの作品も後味が悪く、不快なラストを迎えるといった共通点を持っています。

秋吉理香子作品は人間の暗い部分にスポットを当て、掘り下げています。後味の悪い小説も多いですが、読みたくなるものばかりです。ぜひ秋吉理香子作品をきっかけに、イヤミスの世界を体験してみてください。こちらもあわせてご覧ください。