谷川史子の漫画おすすめ18選｜アニメにも携わった漫画家！『各駅停車』など

谷川史子は心温まる短編を得意とする人気少女漫画家です。主人公になるのは、初々しい少年少女の恋愛物語を中心に、さまざまな日常を繊細なタッチで描いています。優しい人が多く登場する作品で、老若男女問わず幅広い支持を得ています。

コミックス巻末には描き下ろしのあとがき漫画『告白物語』があり、収録作品にちなんだ話になっています。作者の様子を伝えてくれる近況報告になっているため、人気を集めています。

谷川史子は短編だけでなく、シリーズものにも名作が多いので、どれから選べばいいのか迷ってしまいます。本記事では谷川史子の漫画の魅力・特徴・選び方などを解説し、おすすめの谷川史子の漫画を紹介します。ぜひ参考に手に取ってみてください。

谷川史子は『りぼん』を中心に活躍した漫画家です。デビューは1986年で、19歳の時に『ちはやぶるおくのほそみち』が『りぼんオリジナル』に掲載されました。夫も漫画家の青木俊直です。

短編連作が得意で、ショートストーリーの名手として人気を集めています。恋愛物語は初々しく心温まる描写が多く、読者の年齢層が幅広いのが特徴です。近年は少女誌だけでなく、女性誌や青年誌などにも作品を掲載し、より多くの読者が温かな作風に魅了されています。

谷川史子の漫画の魅力はゆったりとした空気感がただよっている点にあります。登場人物は基本的に少し恋愛に不器用な少年少女が多く、読者はもどかしさも感じながら初々しい恋愛を見守ります。

ショートストーリーが多く、オムニバス形式などもあるので、別の短編の脇役が次の話では主役になったりします。ほのぼのとした繊細な絵柄ですが、芯が1本通った重厚なストーリーになっていて、読後に心に小さな灯火が点るような、満足感が高い点も魅力的です。

谷川史子の代表作のひとつとして『おひとり様物語』があります。彼氏がいない・未婚・遠距離恋愛中で彼氏となかなか会えないという、さまざまおひとり様の日々の恋愛や暮らしなどを描いています。

おひとり様だからって寂しさだけがあるわけじゃない、楽しいこともある、でもやっぱり淋しいときもある、という揺れ動く気持ちを丁寧に描き出しています。心理的に「ひとり」と感じている女性が主人公であり、その気持ちに優しく寄り添う作品です。

谷川史子が最も作品を掲載したのは『りぼん』です。『りぼん』は小中学生向け雑誌なので、読者より少し先輩の、少年少女の甘酸っぱい恋愛が描かれた作品が多いのが特徴です。デビュー作が収録されている『花いちもんめ』は、誰にも言えない淡い恋心を描いたピュアストーリーとなっています。

短編集が多い中、シリーズ化された作品も多いのが特徴です。たとえば『各駅停車』は鎌倉を舞台にした話で、今でいう聖地巡礼のように、作品の舞台を訪れたいという気持ちになる作品として人気を集めました。

『Cookie』は、1980年～90年代に『りぼん』で長く連載していた人気作家が多く流入したため、大人になったかつての『りぼん』読者が再び漫画を読むきっかけになった雑誌です。乙女の恋の話を中心に多くの人気作があります。

谷川史子は『魔法を信じるかい？』や『一緒にごはん』を連載し、どちらもシリーズ化された作品です。特に『魔法を信じるかい？』は初彼氏ができた少女の前に、突然死神と名乗る男が現れるファンタジー作品で人気がありました。

大人の女性を対象にした漫画雑誌『コーラス』には、読者の年齢層に併せて、谷川史子漫画でも大人の女性の恋愛が描かれています。『積極―愛のうた―』では、登場人物の名前が、実在のフィギュアスケーターの名前から採られていて話題になりました。

恋愛より先に進んだ結婚にまつわる話が読めるのも、『コーラス』に連載された作品の特徴です。たとえば『他人暮らし』では、境遇の異なる3人の女性の異なる結婚観が軽妙なタッチで描かれています。

『Cocohana（ココハナ）』は大人の女性を対象にした漫画雑誌で、その名の通り「ココロに花を」がキャッチフレーズにした『コーラス』の後継誌です。谷川史子作品は、短編集ならば『忘れられない』『ブルー・サムシング』、シリーズものは『はじめてのひと』が掲載されました。

たとえば『はじめてのひと』は、大人になってもたくさんのはじめてがありますが、その「はじめて」をテーマに描かれた作品です。いろいろなはじめてが描かれていて、それぞれの物語を温かな目線で味わえる作品です。

谷川史子がはじめて男性誌での連載作になったのが『くらしのいずみ』です。友達夫婦・年の差夫婦など、さまざまな夫婦の形を描いた作品で、毎日のささいな日常を谷川史子流に描いています。

また『清々と』は担当編集者から女子高生が登場する作品という提案を受け、掲載誌でのアンケートを踏まえて作られた作品です。男性誌での連載ですが、谷川史子ならではの初々しさや、主人公の少女の純真な雰囲気はしっかり感じられる作品です。

『kiss』では2008年から『おひとり様物語』を連載しています。1年から2年に1冊のペースで刊行されていて、最新刊は2020年8月に刊行された9巻です。さまざまなおひとり様の暮らしや恋愛に寄り添った話になっていて、『kiss』の読者層にぴったりの話です。

谷川史子作品の中で、同じテーマで『おひとり様物語』ほど長く続いているシリーズはありません。それだけ多くの方の心に響く話になっており、谷川史子の優しい描写に触れましょう。

谷川史子の作品を選ぶ場合には、長編か短編かで選ぶのもおすすめです。ショートストーリーを得意としている作家なので、基本はオムニバス形式の短編が多いのが特徴です。しかし中にはシリーズ化されているのもあるので、初めて読むならば短編集から入ってみましょう。

ただ、シリーズ化されているものの中でも、たとえば『おひとり様物語』や『くらしのいずみ』のように、それぞれが独立した話になっているものも多いので、気にしすぎる必要はありません。

実際の駅や観光地を舞台にした話として『各駅停車』があります。古都・鎌倉を舞台にしており、江ノ電沿線が描かれています。登場人物たちがデートする場所に観光名所が登場し、実際に訪れてみたいと人気を集めました。

物語は失恋の痛手が癒えないままの主人公の前に、元彼に顔や声がそっくりな男の子が登場したことから始まります。2人を取り巻く周囲の人々もそれぞれに違う思惑を抱いており、谷川史子らしい繊細なタッチで描かれています。

アニメ『東京マーブルチョコレート』は、2007年に開催された第20回東京国際映画祭に参加し、翌年5月に韓国で開催された「SICAF2008」では長編部門グランプリを獲得した作品です。

この作品でキャラクターデザインを担当したのが谷川史子です。すれ違う主人公たちの思いをお互いの視点で描いていて、谷川史子の優しい絵柄がぴったりの作品です。ピュアラブストーリーになっていて、キャラクターデザインも高い評価を得ました。

谷川史子の漫画作品は、読むとどこか心がじんわりと温まる作品が多いのが特徴です。何気ない日常にそっと寄り添ってくれるので、作者の持つ優しさが胸をうちます。ぜひここで紹介した谷川史子作品を読んで、その魅力を満喫してください。こちらもあわせてご覧ください。