金井美恵子の小説おすすめ16選｜芥川賞候補作家！代表作『兎』から新刊まで

美しい小説だ。物語その物ではなく語ること自体が美しい小説になっている。静かに語られる数珠繋ぎの語りその物が読んでいる者を酔わせてくれる。

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フランスの思想家モーリスブランショから影響されたと思われる最高密度の詩的言語の長編小説。この作品がなければフランス文学専攻でブランショを卒論に選ぶことはなかった。

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珍しく長編で、ストーリーもあって楽しく読めました。相変わらずの毒っぽい感じは健在でした。

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金井　美恵子さんの小説のレビューを書くのが私にはオコガマシイ。また、金井　美恵子さんを読んでいただける確率も全く分からないが、それでも男性であるなら「小春日和」よりも、「タマや」を最初に読む金井作品に強くオススメいたします。私たちが日常に使っている「言葉」を鋭く、正確に操る事がどんな読む快楽になるのかを堪能できます。目白4部作の中でも唯一男性の視点で書かれた金井さんの作品です！

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金井美恵子が自ら「少女小説」と銘打った軽く読みやすい小説。大学に入ったばかりの女の子が、小説家である叔母と住みながら、経験していく大学生活の物語なのだけれど、「オヤジ的世界」に対する辛らつな風刺に満ち溢れている。少女小説を書いても金井美恵子はただ者ではないのである。

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女性の心理が書かれていて、おもしろい。生活上の性的な所作の心理描写に思わずやはり女もな、なんて読み込んでしまう。

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この小説が金井さんの小説の中でも一番読みやすいかもしれません。私はこのような女性のこまごました生活の様子を読むのが大好きです。実は、何度か友達に金井さんの小説を紹介しているのですが、「すごく大好き」な人と「う～ん、私は苦手」な人と、はっきり分かれるのです。その中でもこの小説は好きな人がほとんどです。最初は金井さんの文体に惑わされると思うのですが、この小説なら、主人公の気持ちに共感しながら、難なく入っていけると思います。

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本の状態については、勿論満足しております。文章が独特で読みにくいのは事実です。しかし、現実はいつも、時間が途切れず続いていて、しかも、理路整然としていない方が多いですから、現実を実写した文章と考えれば、空気感までも伝わり得る文章なのかなあ…なんて思いました。

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金井美恵子は困った小説家だ。新作が出るたびに買い求め、一気に読み終えると、たちまちまた彼女の作品が読みたくなり過去の作品を読み返す羽目になる。そして誰彼かまわず、「絶対面白いから読んでみて」と薦めたくなるのだが、どこが魅力的なのかと問われると、私の言語レベルが低いため「とにかく面白いから」と言葉を濁して逃げてしまう。

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最後のページの最後の一行を読み終えて、私はゆっくりため息をつく。頭の芯が心地よく痺れ、私は陶然と読後の余韻をいつまでも楽しむ。幾度も語られ、その度ごとに万華鏡のように様相を変える「私」の記憶。不確かな世界が幾層にも塗り重ねられ、「私」の世界は見たことのない不思議な色合いで彩られていく。金井美恵子は誰よりも言葉の力を熟知している。彼女は時には詩となり、時には凶器となる鋭く磨き上げられたナイフのような 美しくも残酷な言葉を自在に操る魔術師なのだ。（後略）

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（前略）最初の『グレート・ヤーマス』と『沈む街』は、何のことだかわからない。いや、後に続く5編もわかりやすいとは到底言えない作品ばかりなのだが、それでも読んでいて、何となくおもしろ味が感じられる。『1＋1』は会話がユーモラスだ。『栗』は妙なストーリー性がある。『両性具有者（たち）』はある両性具有者による両性具有者についての実態と主張とでも言おうか、だから首尾一貫性がある。最も長い『恋愛〈小説について〉』は、タイトルからしてエッセイ的なものかもしれないとも思っていたのだが、そうではなく、ある人物の独白小説だった。（後略）

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金井美恵子が書きつけた言葉を味到するには、軽く声に出して読んでみるのがいい。そうすると、何よりもまず言葉の連鎖がただただ心地いいと実感するのだが、その心地よさを感じながら、私はじっと流れに身を浸す。連なる語を追ってゆく、その時間の流れにじっと身を浸す。流れには逆らわない。一つ前の文章を読み返したりするのは、どうしても間の抜けたような感じがする。ただ目の前に広がる情景を、それが文章から立ち現れてくるままに、味わい尽くしたいと強く思う。私はそれが楽しくて、金井美恵子の小説を何度も何度も読み返すのだ。（後略）

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（前略）巻末解説でも書かれている「残酷さ」「血の匂い」が劇的に表現され、やはり傑作であると思った。以降の作品にも残酷さと血はたっぷり描かれるが、中でも最後の表題作などその最たるもので、なんともえぐい作品だ。カフカっぽい話の『忘れられた土地』だけは例外と言えるが。

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詩的な視点から日常を描く、記録の旅。その時々の刺激、思い起して初めて生まれる発見、リアルで幻想的。構築された文章のリズム、読者が無条件に脳裏に次々と描いてしまうれ言葉の意味達、この文章によって創造される世界は現実でも空想でもなく作品とのコミュニケーションである。短編の心地いい時間制限の中、金井美恵子によって読者は一つの体験をする、それが終えたときに誰とも共有できない体験を。

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