【混合水栓】洗濯機の蛇口からお湯が出るようにしたい｜デメリットは？いらない？

多くのご家庭の洗濯機用水栓は、賃貸も新築もホース取り付け用のワンタッチ単水栓が多いです。「温水で洗濯すると汚れがよく落ちる」と聞き、お湯が出るようにしたいと思う方も少なくありません。

世界的には、洗濯用水栓は混合水栓が標準です。日本ではまだあまり普及しておらず、いらないと考える方も多いですが、新築やリフォーム時に混合水栓に交換する方もいます。実は、温度調整が可能な混合水栓に変えると、お洗濯のメリットはぐっと増えるのです。

そこで今回は、実際に混合水栓を使用した方の意見や単水栓を混合水栓に交換するメリット・デメリット、取付費用をご紹介します。1つしかない単水栓を混合水栓に交換できるかについても解説もしますので、ぜひ参考にしてください。

洗濯機用の単水栓は見たことのある人がほとんどですよね。混合水栓は以下のような商品で、リクシルなどの住宅メーカーが発売しています。

このように、水・お湯の両方を1箇所で操作できるようになっており、蛇口の先は基本的に緊急止水弁付きの洗濯機用水栓で、水漏れ対策もバッチリです。ただし、基本的に壁に埋め込む施工が必要になるため、この本体代金以外に工事費を見込まなければなりません。

単水栓とは、水かお湯のどちらか一方だけを吐水口から出し止めする水栓です。単水栓はハンドルを緩めると水栓器具内のスピンドルが上がり、水圧によってコマが押し上げられ水が出る構造になっています。単水栓には、「横水栓」や「自在水栓」などさまざまな種類があります。

単水栓はハンドルをひねると水かお湯が出ますが、水栓で温度の調節はできません。この単水栓は、飲食店の厨房や屋外でも良く使われています。

また、埋め込み型洗濯機用水栓という壁に埋め込まれている水栓には、単水栓と混合水栓の両方があります。メンテナンスが必要なときに作業が面倒なため、一般的な蛇口が飛び出ているタイプの水栓に変更する方が多いです。

混合水栓は水栓内で水とお湯の量を調整できるので、1つの水栓から水とお湯の両方を使用でき、好みの温度でお湯を出せます。家庭内では、単水栓よりも混合水栓が多く使われています。

混合水栓は、1つのハンドルで水の量や温度を調整できる「シングルレバー」が主流となっています。他にも、水用とお湯用で2つのハンドルが付いた「ツーハンドル」や、自動温度調節機能が付いた「サーモスタット」などの混合水栓もあります。

お湯を使って洗濯したいけれど洗濯機用の水栓が水しか出ないタイプの場合、洗濯槽へお湯を溜めるには手間を要します。たとえば風呂場からお湯を運んできて入れる必要があったり、沸騰させた熱湯を冷水で中和し適温のお湯を作ったりといった作業が、単水栓では不可欠です。

その点、洗濯機用の水栓がお湯も出せる混合水栓であれば、離れたところからお湯を運ぶ必要はありません。

お湯と比較すると、洗剤は水に溶けにくいため、洗濯の際の洗浄力に限界があります。特に粉末タイプの洗剤は、液体洗剤に比べ水の中に残りやすくなります。

しかしお湯であれば洗剤が溶けやすいため、洗剤の効果をさらに上げられます。衣類に付着した皮脂汚れも40℃以上の熱で溶けやすくなるので、お湯を使えば洗濯物の頑固な汚れもきれいに落とせます。

洗濯槽の中は湿気が多く、洗剤や汚れが残っていると雑菌が繁殖しやすくなります。次に洗濯機を回した際に雑菌が衣類に付着すると、生乾き臭の原因を作ってしまいます。雑菌は熱に弱いので、混合水栓のお湯を使えば洗濯槽の雑菌繁殖を抑えやすくなります。

ただし、使用するお湯の温度は50℃以上にしないよう注意しましょう。

混合水栓のお湯を使って洗濯すると汚れをきれいに落とせますが、その分濃い色や木綿製の衣類は色落ちしやすくなる欠点があります。

洗濯物の色落ちを避けるには、濃い色の服や木綿製の服は分け、水洗いをしましょう。もしくは40℃以下のぬるま湯を使えば、色物と一緒に洗濯しても色落ちを防げます。

温水の温度によっては、血液や体液といったタンパク質汚れに合わない場合もあります。タンパク質は40℃以上で固まり始める性質があるため、初めから温水で洗ってしまうと逆に汚れが落ちにくくなってしまう場合も。

初めは低温で汚れを解いておき、あとから高温で流す使い方であれば理にかなっているため、うまく自分で温度の調節ができそうか考える必要があります。

混合水栓からお湯を出せるようになると、その分お湯を沸かすための電気代・ガス代が上がります。ガス給湯器の中には水流センサーや温度センサーがありますが、これらは電気で動くため、お湯を使うたびにセンサー分の電気代がかかります。

もちろん、オール電化やエコキュート設置のお家など、オール電化プランで夜間の電気代の安い場合は節約になりますね。ただし、水の温度をあげる以上、どうやっても光熱費が嵩むのは否めません。

電気温水器を使っている場合、洗濯に使用するお湯は電気温水器で作ったお湯でまかなうことになります。すると、洗濯機用水栓からお湯を出すことでお湯の消費量が多くなり、湯切れを起こす可能性があります。

湯切れになると、シャワーやお風呂でお湯が出ない状況に陥ります。湯切れを防ぐためには貯水タンクの容量を検討し直したり、入浴時に使うお湯の量が適切であるかどうか見直したりする必要があります。

最後に忘れたくないのは、「温水洗浄ができる洗濯機」の存在です。洗濯機を扱うパナソニックや日立といった大手各社は、温水洗浄のできるドラム洗濯機を投入しており、比較的一般的な機能となりつつあります。

この温水洗浄のできる洗濯機は、温水の温度や洗濯中に温水にする時間を機械の方が調整するため、汚れの種類に合わせて手動で温度を変える必要がありません。逆を言うと、混合水栓に変えたとしても、汚れの種類に合わせた温度設定が必要になります。

またガス給湯器で温水を出すよりも、温水が必要な時間のみ機械内で温める方が結果的に節電になる場合もあります。

• お湯を使って洗濯しただけで衣類がまっさらな状態になった
• 高い洗剤を使うよりも、たまにお湯で洗濯する方が汚れ落ちには効果的
• 寒い季節は冷たい水で洗濯するよりも、お湯を使った方が汚れを落としやすい
• セーターなどをネットに入れてお湯で洗濯しソフト仕上がり機能を使うと、クリーニング代の節約になる

このように、さまざまな声が上がっています。やはり洗濯でお湯を使えるメリットは大きいですね。

• お湯を出していると急に水になったり水流が弱まったりして、うまく扱えない
• 業者に頼まず自分で混合水栓を取り付けて洗濯機に使用したら、あとで壊れた

メリットは多いもの、このように扱いに困るとの意見があるのも事実です。

洗濯をするうえでメリットの多い混合水栓ですが、中には混合水栓は必要ない・いらないとの意見も上がっています。具体的な例をご紹介します。

• 水栓からお湯が出るようにしたいが、洗濯機自体に温水機能が付いたタイプを購入したため、混合水栓がなくても洗濯機の中でお湯を作れる
• 洗濯のたびにお湯で洗う必要はなく、都度できればいい
• 混合水栓の取付費用が高く、また取付後の電気代も余計にかかる

もともと水用とお湯用の単水栓が1つずつ付いている場合は、混合水栓の購入価格と工事費用がかかります。混合水栓は5,000円程度のものから20,000円以上のものまでさまざまですが、「混合水栓自体の価格＋工事費用」で15,000～30,000円ほどが相場になります。

業者によっては廃材の処分費用やキャンセル料などの発生もあり得るので、事前に確認しましょう。

「マンションで水しか出ない洗濯用単水栓が1つしかないけれど、お湯も使える混合水栓にリフォームしたい」との意見も少なくありません。そもそもお湯が出ない単水栓を混合水栓に交換するには、お湯を出すための配管敷設工事が必要です。

具体的には、一番近くの給湯管または給湯器から洗濯機用水栓まで配管を振り分けます。給湯管が近くにない場合は離れたところから引き回す必要があり、状況によっては給湯管を出すための穴開け工事が必要です。

工事費としては、給湯管から分岐させるための分岐水栓の取り付けが10,000～14,000円ほどと、配管を壁に通す場合は距離によってさらに予算が嵩みます。一軒家のお宅の工事は自由ですが、マンションの場合は共用壁は施工できないため、必ず見積もりとともに管理会社への確認が必要です。

通常、洗濯機より低い位置に単水栓があっても、水栓の高さ上げが可能な「壁ピタ水栓」を取り付ければ問題ありません。縦式洗濯機であれば多くの場合水栓は洗濯機よりも上の位置にあるため、そのまま混合水栓に交換しても問題ありません。

しかし、高さがあるドラム式洗濯機の場合、混合水栓が低い位置にあると置けなくなってしまうため、混合水栓の高さ上げが必要になるケースがあります。この場合、壁を開口しての工事が必要になると数万円以上の費用がかかります。

まず混合水栓のお湯側のハンドルを開きます。お湯が高温になり湯量も安定したら、水側のハンドルを開けて温度調節を行いましょう。給湯温度は、50～60℃の範囲での設定がおすすめです。

特に85℃以上の高温で使用すると水栓の破損や漏水を起こす恐れがあり、水栓の寿命が短くなります。火傷防止のためにも、吐水初めは事前に温度を確認しましょう。また、水栓の開閉を急に行うと水圧が高まり、大きな音が出ることがあるため、水栓はゆっくりと開閉しましょう。

洗濯用の水栓は、取り替え・リフォームが可能です。商品を購入してご自身で付け替えにチャレンジするのもありですが、やはり専門のところへ依頼するのが水漏れの危険も少なく安心です。

価格は工事費込みで3～5万円程と、洗面用などよりは低めです。また、工事にかかる時間も1時間からと短めなので、気軽にリフォームできるのも嬉しい点です。

洗濯機でお湯を使うメリットは多いため、混合水栓でお湯と水の両方を使えれば最適ですが、洗濯機では水しか使えなくても特に支障はありません。混合水栓を取り付けるためにわざわざ配管を引き直す必要がある場合は、お湯を引く要否に加えて費用をよく検討しましょう。