ダニはドライヤーで駆除できる？マットレス・畳は？死滅温度やダニ退治の方法も解説

ダニは熱に弱いということが知られていますが「ドライヤーの熱でダニを駆除できるの？」と疑問に思ったことはありませんか。結論から言うと、ドライヤーの熱でダニ退治をすることは可能です。

ただしドライヤーの温度でダニを駆除できる範囲は限定的で、効果を発揮させたいのなら駆除させたいものを選ぶ必要があります。もし確実にダニを死滅させたい場合は、ドライヤーよりも有効な駆除方法を知っておきましょう。

そこで今回は、ドライヤーの熱でマットレス・畳・ぬいぐるみ・服などのダニを駆除できるのか、またドライヤー以外の効果的な駆除方法についてもあわせてご紹介します。さらに有効なダニ対策についても解説するので、健康被害を防ぐためにもぜひ参考にしてください。

全世界で約4万5千種とも言われるダニはあらゆる環境に生息しており、体長1mm以下の小さなものが多いです。そのため目視するのが非常に困難で予防や対策をしにくく、ダニによる被害は深刻になっている現状があります。

くしゃみや痒みだけでなく、アレルギー症状や感染症を発症することもあり、さらには小麦粉や砂糖などへの食害も確認されています。またダニは高温多湿を好むため、6～8月頃のジメジメした時期には大量に発生します。

ダニは繁殖のスピードが極めて早く、何も対策をしていないといつどのような被害に遭うかわかりません。ただしダニは「熱」と「乾燥」に弱いため、ダニの特性をしっかりと理解し有効な対策を取りましょう。

ドライヤーの熱でダニを駆除することは可能です。ただしドライヤーを使って駆除できる範囲には限界があり、またものによっては手間や危険性などデメリットが大きく働くため、ダニの駆除にドライヤーが適しているとは言えません。

熱と乾燥が弱点であるダニは、ドライヤーの熱で退治することができます。ダニは50℃の熱の場合は20～30分ほどで死滅し、60℃以上の熱であれば短時間で死滅します。

そしてドライヤーの熱風は平均100～120℃ほどあり、髪に優しい低温ドライヤーでも熱風は60～80℃に達します。つまりドライヤーの熱風は、ダニの死滅条件である温度を上回っています。

このことから、ドライヤーの熱でダニを死滅させることは問題ないように思います。しかし実際にドライヤーでダニを駆除することは、必ずしもおすすめできません。

ダニを駆除するには、布団・枕・衣服などの表面にドライヤーの熱をあてるだけです。しかし熱風を浴びせ続けても、駆除できるのは表面のダニだけです。その理由として、ダニは潜る習性を持っていることが挙げられます。

たとえば布団にはダニが繁殖しやすいですが、ダニは布団の表面にはほとんど存在せず、大半は布団内部の中綿部分に潜り込んでいます。しかしドライヤーの熱風を布団にあてても、布団の奥まで熱風を送ることは難しいです。

内部に潜んだダニを退治するには、どうにかしてドライヤーの熱を奥まで届くようにしたり、ダニを表面に出したりする必要があります。ただし衣服など厚みのないものであれば、表面のダニしか駆除できなくても問題はありません。

ドライヤーは吹き出し口が狭いため、布団やマットレスなどサイズが大きいものに潜むダニを、ドライヤーで駆除するのは難しいです。ダニを完全に死滅させるには、熱風を全体にまんべんなくあてる必要があり、かなりの時間がかかってしまいます。

またドライヤーでダニを退治できても、ドライヤーをあてた部分以外のダニは別の場所へ逃げてしまうため非効率的です。なお面積が小さい枕やブーツであれば、ドライヤーで時間をかけずにダニを死滅させることができます。

ダニを確実に駆除したいからと、ドライヤーの熱風を長時間あて続けることは危険です。同じ場所に熱風を浴びせ続けると大きな熱を持つため、それが原因で火災が起きる可能性もゼロではありません。

布団の内部などドライヤーの熱が届きにくいところは、ドライヤーをあて続ければダニを駆除できる可能性はあります。しかしドライヤーを長時間あて続ける手間や、火災の危険を伴うことを考慮すると、やはり効果的な駆除方法とは言えません。

ドライヤーはダニ退治に不向きと解説しましたが、以下に記載している生地が比較的薄いものや、ダニが隠れるスペースがないものであれば、ある程度の効果を得られます。ただし、先ほども解説したようにドライヤーを当て続けると火災につながるだけでなく、表面のダニしか退治できません。そのため、記事後半で紹介するドライヤーを使わないダニ退治方法を行いましょう。

• 薄い衣類やカーペット
• 厚みのないぬいぐるみ
• ブーツ

厚みのあるものや、ダニの逃げ場所が豊富にあるものなどは、ドライヤーの熱のみでダニを駆除することは困難です。駆除効果が弱い具体的なものは以下の通りです。

• 厚みのある布団や枕
• ソファ
• マットレス
• じゅうたん
• 畳

マットレスは内部にバネが組み込まれ空洞になっており、通気性に優れています。そのため布団やソファのように、ダニが奥深くに潜り込み大量に繁殖することは起きにくいです。

それでもマットレスの内部にはある程度のダニが潜んでおり、マットレス内部のダニを駆除したい場合はドライヤーだけでは不十分です。また、畳の主な原料である「イ草」は湿気が溜まりやすい性質を持っており、ダニの繁殖には最適な環境です。

しかし畳も厚みがあるため、ドライヤーの熱で大量のダニを死滅させることは難しいです。

布団乾燥機を使えば、60℃以上の温風で温めることで、乾燥させながらダニを駆除することができます。また30分ほど使用すればダニの駆除に有効で、布団の繊維内など奥深くに潜んだダニや卵などをまとめて死滅させます。

ただし、温風が当たっていない端側にダニが移動する可能性があり、完全に駆除できない場合もあります。中には「ダニ駆除モード」を搭載したタイプもあり、ダニを駆除するための適切な温度や時間で自動的に稼働させます。

家庭用衣類乾燥機は55℃以上に設定できるタイプが多いため、50℃以上で死滅するダニの駆除に効果的です。また衣類乾燥機は、ヒートポンプ式やヒーター乾燥式(水冷・空冷)などタイプによって乾燥温度が異なります。

しかし60℃を超えない衣類乾燥機の場合は、ダニを短時間で駆除することができないため、乾燥に1時間以上かける必要があります。衣類乾燥機を使用する時は、最高温度をどれくらいに設定できるのかを確認しておけば、ダニの駆除に役立ちます。

コインランドリーに設置されている乾燥機は、80℃以上の熱風乾燥が可能なためダニの駆除に適しています。また家庭用乾燥機に比べ大型なので、一度にたくさんの量を乾燥機にかけダニをまとめて死滅させることができます。

コインランドリーまで持って行く手間はかかりますが、大きなものでも簡単に手入れできるというメリットがあります。ちなみに布団を乾燥機にかける場合は、布団の3倍程度のサイズがおすすめです。

スチーム機能(蒸気を発する)が付いたアイロンを使えば、表面だけでなく奥深くまで熱を浸透させることができます。さらにスチームの温度は100℃以上になるため、ダニを確実に死滅させることが可能です。

ただし、ウール・シルク・ポリエステルなど一部の素材は、スチームをあてると生地が傷みます。これらの素材でスチーム機能を利用したい場合は、直接高温の蒸気があたらないよう当て布を使いましょう。

またスチームによって内部が湿った状態になるので、駆除後はしっかり乾燥させる必要があります。

気温が高くカラッと晴れた日であれば、天日干しをするだけでダニをある程度駆除することができます。ただし気温が低い季節や湿気の多い時期に天日干しをしても、ダニの駆除効果は低いです。

また天日干しする時に布団を叩く方がいますが、ダニの死骸が布団の中で砕け散りアレルギーや咳などを発症する恐れがあります。よって天日干し後に布団を取り込む時は、掃除機で布団の表面を吸い取りダニの死骸を除去しましょう。

ファブリーズでダニ退治をできるか疑問に思う方は多いでしょう。結論から言うと、ダニ退治はできません。もともとファブリーズは体臭やタバコのにおい対策などに効果があるものです。種類によってはハウスダストや菌にも効果的なのがありますが、ダニに直接効果があるものはありません。

ダニを駆除したい素材によっては、熱に弱いものや内部まで熱が行き渡りにくいものがあります。そんな時は、ダニ取りシートやダニ対策スプレーなどの便利アイテムを有効に使いましょう。

ダニ取りシートを置いておけば、ダニを引き寄せ安全に捕獲することができます。さらに、ソファやカーペットなど熱でダニを駆除するのが難しい場所や、殺虫剤を使用したくない場所などにも手軽に使えます。

また天然フルーツ成分などが配合されたものは、小さな子供やペットがいる家庭にもおすすめです。ただし安価なものは駆除効果が低いケースもあるため、購入の際は価格や性能などをよく比較しましょう。

ダニ対策用スプレーには

• ダニ対策のみを行う
• ダニを駆除しながらダニ対策を行う

という2つのタイプがありますが、「ダニの駆除と対策を両方できるタイプ」が人気です。また定期的に使い続けることで、さらに駆除・予防の効果を上げることができます。

スプレーによっては、1週間以上間隔を空けて使用することが定められていたり、吹きかける部分が十分に乾いた状態であることが条件だったりします。安全のために使用方法をよく確認しましょう。

ダニは人間のフケ・髪の毛・垢や食べカスなど、部屋に落ちている多くのゴミを栄養素として吸収します。掃除を怠るとダニが大量に繁殖するため、なるべく毎日掃除することを心掛けましょう。

またクッションや寝具などの布製品には湿気がこもりやすいので、こまめに天日干しを行って湿気を外部に逃がすのが効果的です。ソファなど外に干すのが難しいものは、日光があたる窓際に置いておくと湿気を除去できます。

ダニは湿気を好むため、定期的に換気をして湿気を追い出しましょう。特に天気がよく湿度が低めの日は、できる限り外の新鮮な空気を室内に入れ通気性を高めることが、有効なダニ対策となります。

またクローゼットや押し入れなどの場所も、扇風機を使って換気しダニの繁殖を防ぎましょう。さらにエアコンの除湿機能やドライ機能を利用し、部屋の湿度を60%以下にしておくのがおすすめです。

ぬいぐるみは子供が触ったり舐めたりすることで、フケ・皮脂・食べカスなどが付着しやすいです。これらを放置するとダニの餌となって増殖を招き、さらにダニの糞・死骸は気管支喘息などのアレルギーを引き起こす原因となります。

ぬいぐるみのダニを予防するには、洗濯が最適です。洗うことでダニの餌や糞・死骸を同時に取り除くことができます。また、洗濯前にぬいぐるみを70℃以上のお湯に10分程度浸けておくと、さらにダニを死滅させやすいです。

ダニの駆除費用は、業者や部屋の広さによってさまざまですが、50㎡までの広さで5万円前後というのが基本料金の目安です。また業者を選ぶ際には、いくつか注意するポイントがあります。まずいくつかの業者に見積もりを依頼し、料金の内訳などを比較しましょう。

この時、料金の内訳を詳しく説明してくれる業者であれば安心です。ある程度業者を絞れたら、過去の作業実績が豊富なところを選ぶのがおすすめです。

ドライヤーの熱でダニを駆除することは可能ですが、表面のダニにしか効果がなかったり時間がかかったりと、おすすめできる効力ではありません。ドライヤー以外にもダニを効率よく駆除できる手段はいくつもあるので、状況に応じた方法を検討してください。