血圧計の正しい測り方を紹介｜手首式血圧計は寝ながら測れない？

日々の健康チェックの一環として血圧計を利用される方も多いはずです。しかし、変な数値が出たり、毎日の数値が安定しなかったりしませんか？そんな方は血圧計の故障を疑う前に、正しい測定ができているか見直す必要があるかもしれません。

血圧計にもさまざまな種類がありますが、「高価な血圧計だから、どんな測り方でも正しく測定できる」わけではありません。どんな血圧計でもある程度決まった測定方法があります。そして、できるだけ毎日同じ条件で測定するのが理想的です。

この記事では、血圧計の正しい測定方法について解説しています。健康上の理由で「服の上から測定したい」「寝ながら測定したい」そんな悩みについても併せて解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

血圧は人間の1日の活動の中で一定でなく常に変化しています。睡眠・食事・入浴などによって変化するのはもちろんストレスの影響も受けます。同じ条件でも、測定場所が異なると血圧が変化する可能性は十分あり得るのです。

そのため、家庭での日々の血圧測定は、医療機関の血圧測定と同等かそれ以上に大切と言えます。下の表は病院の診察室血圧だけでは判断できない高血圧について簡単にまとめています。

家庭での血圧測定は毎日決まった時間に行うのが理想的です。これは先述でも解説した通り、1日の中でも時間帯や活動によって血圧は変化するからです。以下に起床後・就寝前の血圧測定のタイミングとして推奨される目安やポイントについてまとめています。

【起床後の場合】

• 起床後1時間以内である
• 排尿後であり、朝食前・服薬前のタイミングである
• 1～2分安静にしてから測定を開始する

【就寝前の場合】

• 入浴後1時間以上経過している
• 尿意や便意のない時に測定する
• 1～2分安静にしてから測定を開始する

血圧は測定する時間・気温などの環境変化の他、動作後や精神状態によっても変動します。毎日同じ条件で測定するようにしましょう。

血圧は、測定する時間帯によっても変動するため、異なる時間帯に測定すると体調の変化に気づくのが遅れてしまいます。起床後1時間以内・就寝前1時間以内の朝晩に1回ずつの測定が理想的です。

血圧測定は正しい姿勢を保持するのが大切です。心臓より高い位置で測定しても低い位置で測定できません。左右どちらの腕で測定してもかまいませんが、毎日同じ腕を使って測定しましょう。

正しい姿勢のポイントは以下の通りです。

• 椅子に座り背筋を伸ばして背もたれにもたれかかる
• 椅子の位置が低い場合はクッションなどで調整する
• 力を入れずにリラックスする
• 両足底は床にピタッとくっつけて足組みはしない

血圧計は、洋服の厚みによっても誤差が生じます。厚手ニットの着用や、厚着をした状態では、正確に測定ができません。腕まくりも腕を圧迫するため避けましょう。

薄手素材の洋服であれば血圧の測定結果に影響は少ないですが、厚手の服を着用している場合は服を脱いで調整してください。

血圧は激しい運動だけでなく、日常生活動作後にも変動しやすくなります。食事・入浴・服薬などの直後は測定を避けましょう。測定前にトイレを済ませておくのも大切です。

血圧測定の1〜2分前は安静に過ごしましょう。緊張などの精神状態も血圧に大きく影響するため、深呼吸をしてリラックスするのも大事なポイントです。

部屋の温度によっては血圧が正しく測れないことがあります。13度以下の寒い場所では、血圧が高めに出ます。寒すぎたり暑すぎたりしない20度前後の部屋で測定しましょう。毎年冬場に健康診断を受けていて、血圧が高めに出る方は、一度受診時期を変えてみることをおすすめします。

上腕式の測定方法は以下の通りです。腕帯の巻き加減は、最初難しくても繰り返し使用すればコツがつかめます。

【マンシェット(腕帯)の巻き方】

1. 背筋を伸ばして椅子に座る
2. 腕帯の下縁が、肘より1〜2cm上にくるように巻く（指が1本入るくらいの余裕をもたせる）
3. 腕帯と心臓の高さを合わせる（高さが合わない場合はタオルやクッションの上に腕を置いて調整する）
4. 腕帯に付属するゴムの管が、内肘の真ん中を通るように調整する

【正しい測定方法】

1. 力を入れず机の上でまっすぐ腕を伸ばす
2. リラックスした状態で測定スタートボタンを押す

手首式血圧計は、装着が簡単なのが特徴です。測定中に手首を心臓の高さで保持するのが難しいといったデメリットはありますが、慣れてしまえば負担には感じません。手首測定の手順は以下の通りです。

【マンシェット(腕帯)の巻き方】

1. 背筋を伸ばして椅子に座る
2. 表示画面が手のひら側に向くよう手首にはめる

【正しい測定方法】

1. 肘をテーブルにつけて手首を心臓の高さに合わせる（高さが合わない場合はタオルやクッションで調整する）
2. リラックスした状態で測定スタートボタンを押す

上腕式血圧計であれば、寝たままでも血圧の測定が可能です。寝て測るのは手首式血圧計だと正確に測定できないため、推奨されていません。

血圧は測定する環境や時間帯によって常に変動するため、できるだけ毎日同じ条件で測定する必要があります。寝たままでも基本的に測定方法は変わらないので、寝た状態で測定する場合は毎日寝た状態で測定しましょう。

• 腕帯と心臓の高さを同じにする
• 毎日測定する場合は、毎回寝たまま測定する
• 手首式血圧計は使用しない

血圧は、右手で測るようにしましょう。右手で測る理由は、心臓に近い部分で測るほうが正確な血圧が測定できるためです。右腕に繋がる動脈血管の方が心臓に近い大動脈から出ているので、右手で測れば正確な血圧が測れます。

血圧を測る部分が心臓から遠ざかると、脈の波形が変化してしまいます。右腕の方が左腕よりも2mmHgほど高くなるはずなので、左右差が大きい場合は医師に相談しましょう。

血圧測定を数回行うと数値が異なる場合がよくあります。ほんの少しの時間差や回数の条件でも血圧が変動するため、数値の違いは特別おかしくありません。血圧測定では1度に2～3回測定して、その平均値を記録・管理していきましょう。

自宅で測定した血圧は正常範囲内にもかかわらず、病院や検診では高血圧と診断される場合があります。医師を目の前にした時に、無意識のうちに緊張して血圧が高くなる白衣性高血圧である可能性が高いです。

病院であっても緊張せずリラックスできるよう心がけるしか対処法はありません。家庭で毎日測定した結果を持参し、医師に相談しましょう。

家庭で血圧を測定した結果の方が、病院での測定結果よりも高くなる場合があります。高血圧の薬を服用していると、早朝には薬の効果が切れているため高血圧となる可能性があります。

環境の変化など、家庭での測定結果が高くなる原因はいくつか考えられます。早朝以外でも高血圧が続く場合は、体に異変が起きていないか確認するためにも医師に相談しましょう。

血圧は連続して測定した場合でも誤差が生じます。1回目より2回目の方が落ち着いた状態であるので、2回目の血圧が低く出る場合があります。2回の測定値の平均を記録する方法と、2回目の測定値が正確と判断する方法が一般的です。

病院に通っている方は、医師に相談しましょう。医師による診察を受けていない場合は、使用する血圧計の説明書に記載されている基準に従いましょう。

血圧を測定してはいけないタイミングは運動後・入浴後です。血圧が上がるので正確な測定ができません。血圧は安静にしている状態で測るのが大事なので、トイレに行った場合も10分ほど休憩してから測るようにしましょう。

また、血圧測定時に測ってはいけない腕もあるので、以下の禁忌事項も確認しましょう。血圧測定のために圧迫すると症状が悪化する場合もあるので注意が必要です。

• 脳梗塞などで麻痺が残っている患側の腕
• 乳がんでリンパ節郭清を行った患側の腕
• シャント造設を行っている側の腕

高血圧症は自覚症状がない場合が多いです。生活習慣も大きく影響するため、家庭で毎日血圧を測定しておくと、体調の変化や異常の早期発見につながります。正しく測定できていなければ、せっかくの記録が台無しです。正しい血圧の測定方法を覚えて、毎日の健康チェックを習慣化しましょう。