スピーカーのワット数の目安はどのくらい？｜スピーカー出力レベルも【5W～50W】

スピーカーはアンプを使用して音楽を聴く際に必須のアイテムです。スピーカーのスペックを見るとワット数が表示されていますが、「ワット数が大きければいい」と思いがちですよね。実は、ワット数は必ずしも大きければいいわけではなく、出力するアンプのワット数に関係します。

スピーカーには5W・10W・20Wなどいろいろなワット数の製品がありますが、アンプ側からかけ離れない程度のワット数のスピーカーを選ぶのがポイントです。またワット数が同じでも、スピーカー出力レベルを可能な範囲で変えると音量を大きくできます。

本記事では、アンプに対してどのくらいのワット数のスピーカーを選べばいいのかといった疑問のほか、ワットの意味・数値の目安・計算方法・アンプと組み合わせる際に注意する点なども詳しく解説します。

ワット（W）は英語“watt”の意味を表す略語で、電力の大きさを表す単位です。具体的には電流が単位時間あたりにどれぐらい仕事できるかを表すもので、スピーカーのスペック欄に記載してあるワットは音の大きさを表します。

ワット数の大きいスピーカーほど大きな音量を出せるため、一般的にワット数の高いスピーカーは高価です。

よく誤解されがちなのが、ワット数が大きいと音質も良くなるといわれる点です。前述のとおりスピーカーのワット数は、あくまで音量の大きさの単位です。ワット数が大きくても、スピーカーの音質が良くなるとは限らないため区別して考えましょう。

音質に関係してくる単位には再生周波数特性(Hz)があり、低い周波数は低音域、高い周波数は高音域が出るものです。音質はスピーカーのスペックだけでなく材質も関係してくるため、ワットとは異なりさらに複雑になります。

スピーカーのワット数は入力のワット数であり、出力するアンプとも関係があります。たとえばアンプの出力が20Wの場合、スピーカー入力が50Wあったとしても20Wの音量しか出ません。

スピーカーのワット数はアンプと関わるため、アンプのワット数とかけ離れていない製品を選びましょう。スピーカーのワット数がどれだけ大きくても、アンプ側のワット数が少ないと、アンプのワット数分の音量しか出せません。

理想としてはスピーカーとアンプのワット数が等しいか、スピーカーよりアンプのワット数がやや小さめの製品をおすすめします。逆に、アンプのワット数の方が大きい場合、スピーカーが耐えきれずに壊れてしまう可能性があるため、おすすめしません。

スピーカーのワット数は音量の大きさの単位ですが、目安は部屋の広さや屋外か屋内かでも変わります。狭い部屋では小さいワット数にしなければ音が大きくなりすぎますし、広い部屋では音が隅々まで届くある程度大きいワット数が必要になります。

目安ですが、8畳ほどの部屋で1人で音楽を楽しむのであれば5〜10W程度が妥当です。20〜30Wほどだと教室やリビングといった屋内の比較的広い部屋で聴くのにおすすめ。さらに、20W以上のスピーカーは屋外でも使用できます。

また、体育館のように広い屋内であれば観客1人につき1Wは必要になると言われているので、たとえば50人いるなら50W、300人いる場合は300Wとなります。

アンプのワット数がスピーカーのワット数より高くても、スピーカーのワット数以上の音量は出力できません。その点を考慮し目安として8畳の部屋の場合は、スピーカーの適正なワット数10Wと同じ10Wかそれ以下にする必要があります。

またワンルームマンションのような狭い部屋で6畳程度なら、さらにワット数は小さくても十分です。アンプは5W程度で、スピーカーも同じかもう少し大きいワット数の製品にするとちょうどいい出力が得られます。

車には純正のカースピーカーが元から備わっています。ただ、市販のカースピーカーと比べると音の質は落ちてしまう場合もあります。

純正のスピーカーは20W前後が多いですが、市販で購入する場合は50W～がおすすめです。ただし、パワーアンプ出力「ワット数」もしっかり確認して選びましょう。おすすめのカースピーカーは以下の記事でご紹介しています。

パラレル接続とはアンプに複数のスピーカーを接続し、複数台のスピーカーを1度に鳴らせるようにする接続方法です。インピーダンスとは交流回路における電圧と電流の比で、電流の流れを妨げるもの(抵抗)を表します。

インピーダンスの単位はオーム(Ω)で表され、パラレル接続で8Ω同士のスピーカーを接続すると4Ωに減ります。インピーダンスの数値が小さいほど効率よく音を鳴らせるため、それに伴ってアンプの出力も大きくなります。

オームの法則から計算するワット数の公式は、「電力(W)＝電圧(V)×電圧(V)÷抵抗(Ω)」です。この公式に当てはめて計算すると、たとえば10Vの電圧をアンプから得て8Ωのスピーカーに接続する場合、「10V×10V÷8Ω＝12.5W」となります。

また抵抗が半分の4Ωのスピーカーと接続する場合は「10V×10V÷4Ω＝25W」となり、出力は倍です。例で示したように、抵抗が少ないスピーカーを接続すると出力を上げられます。

スピーカーのワット数を計算するのが面倒な方は、自動計算してくれるサイトを利用するのがおすすめです。

たとえば、CUI Devicesではスピーカーパワー計算機なら、スピーカーの電力・電圧・インピーダンスのうち2つの値がわかっていれば、数値が導き出せます。サイトに駆動電圧ユニットを選択し、すでにわかっている値をフィールドに入力すればOKです。

スピーカーとアンプの関係がポイントのワット数ですが、音が大きくなればなるほど電気代はかかるのか気になりますよね。下記の公式にあてはめて計算できます。

計算式:「W÷1000×一日の使用時間（h）×1kWhあたりの電力量料金＝電気代」

もちろんワット数によりますが、目安として10Wの音量で1日12時間テレビをつけていたとすると120W、1カ月を30日として3600Wです。1000Wの電力を1時間使用するのに約22円なので、1カ月でおおよそ80円程度となります。

出力音圧レベル（dB）とは出力できる音量・ボリュームの度合いです。単位は騒音の度合いを意味する「dB（デシベル）」で表され、1Wの音声データ入力に対してスピーカー正面・距離1mの位置での音圧レベルを表します。dB値の大きいスピーカーほど、迫力あるサウンドを表現しやすいです。

本記事では、スピーカーのワット数について解説しました。スピーカーは種類によって目安のワット数が異なります。スピーカー選びの重要ポイントであるアンプとの関係性を把握し、適切なワット数のスピーカーを選び、快適な音楽目指しましょう。