ガス炊飯器の炊き方・使い方｜ガス釜でご飯を炊くコツは？うまく炊けない時の対処法も

ガス釜や土鍋というと「大型の業務用」「昔っぽい」「古臭い」印象があるかもしれませんが、実はご飯がとても美味しく炊ける優れた製品です。ガス炊飯器の炊き方は「かまど」と同じ原理でガスの強い火力で一気に炊くので、一升以上の大量炊飯にも適しており業務用としてもよく使われています。

主流のIH炊飯器など電気を使用する製品は手間いらずで誰でも美味しいご飯が炊けますが、ガス炊飯器はちょっとしたコツでご飯の味を格段に上げられます。今回は、お米の量り方・水の量・蒸らし時間など、ガス釜でご飯を炊く方法をご紹介します。うまく炊けない場合の対処法も必見です。

手順通りにポイントを押さえ、正しい使い方で炊くだけで、誰にでも「かまど炊き」に近いシャッキリとした味や香ばしいおこげを楽しめます。ガス炊飯器の魅力を再発見して、美味しいご飯を食べましょう。

お米の量り方が最初のポイントです。ガス炊飯器に付属している専用の計量カップがある場合と、ない場合ではお米の量り方が違います。

• 専用カップがある場合　カップにお米を入れたら押し付けずに『すりきり』で量りましょう。
• 専用カップがない場合　手持ちの計量カップはNG、体積ではなく重量で量りましょう。

専用カップ以外の計量容器だと、お米の量が微妙に違っている場合があるので、正確に量るために重量を優先します。1合（1カップ）=150gと覚えておくと便利です。容量いっぱいに炊くよりも最大炊飯量の8割くらいまでの方がより美味しく炊けます。

1~2度目の洗米では、たっぷりの水でかき混ぜてからすぐに水を流します。米ぬかの汚れや臭いがついた水が浸水しないようにするためです。その後、お米同士を優しく20回こすり合わせて研ぎます。最後に多めの水ですすぎ、とぎ汁が8割程度澄んできたら洗米完了です。とぎ汁が透明になるまで研ぐ必要はありません。

ポイントは、洗うときも水を切るときもザルを使わないことです。ザルに上げると米にヒビが入ったり傷ついたりして、雑味の元になってしまいます。ちなみに無洗米の場合は、直で浸水作業に入るので洗米作業は不要です。

米を内釜に入れてから水を注ぎますが、無洗米を炊く場合は内釜に水を先に入れるのがポイントです。水を入れた内釜に米を振り入れる感じで流し込むと、水を含みやすくなります。水加減は炊飯器内側の目盛りのとおりですが、無洗米なら重さから計算すると便利です。

• 無洗米の量（Kg）×1.35〜1.5倍=水の量（リットル）

また、浸水時間も長めにすると芯までふっくらしたご飯になります。季節によって時間を変えるのもポイントです。

• 冬　1〜2時間
• 夏　30分〜1時間
• 急いで炊きたい時には30℃のぬるま湯に浸水させて20分

水ににがりと油分をプラスすると、さらにしっとり感がUPします。サラダ油でOKですが、お米から抽出した米油だと馴染みも風味もいいのでおすすめです。お米2合あたり小さじ1杯ずつくらいが適量です。

いよいよガス炊飯器の本領を発揮する加熱です。かまどと同じ「はじめチョロチョロ・中パッパ」の火加減はガス炊飯器にお任せしていれば大丈夫ですが、点火前の一手間に美味しく炊くためのポイントがあります。

スイッチを入れる前に必ず内釜を平らな場所に置いて水加減を再確認し、ムラなく火力がいきわたるように米の表面を平らにならしましょう。無洗米の場合は平らではなく、中心を少しくぼませた方が火の回りが良くなります。

ガス炊飯器は大体20分程度でご飯が炊き上がりますが、20分より早くスイッチが切れてしまうときや黒く焦げる時にはガス量を少し絞るようにしてください。

かまど炊きの時代から「赤子泣いてもフタとるな」と言われた、「蒸らし」がガス炊飯器での炊き方最大のポイントです。生米の消化できないベータデンプンがアルファ化されるのが蒸らしで、この時間でご飯の旨味が決まってしまうため、絶対フタを開けてはいけません。

蒸らし時間はご飯の食味の好みで決めましょう。一粒一粒シャッキリさせるなら13分、芯からふっくらした弾力感が好みなら15分がおすすめです。逆に15分以上では水分量にムラができて美味しさが損なわれるので、キッチンタイマーで時間を計るようにしましょう。

蒸らしが終わったらフタを開け、すぐに釜の底から天地をひっくり返してほぐしましょう。ご飯粒を空気に触れさせると、余分な水分を蒸発させながら表面にツヤツヤの保水膜ができます。蒸らしの工程が長すぎると食感が損なわれるので注意してください。

ガス炊飯器は電気炊飯器よりも「おねば」が多いのが特徴です。糖分をたくさん含んでいるので、全体に行き渡るようにほぐすのがポイントです。ご飯粒をつぶさないように大きめのしゃもじでサクッとほぐしましょう。すぐ食べない場合も、ご飯が固まらないように速やかにほぐすといいです。

ほぐしの時に活用したいのが「おひつ」です。ほぐしながらおひつにご飯を移すと適度に水分を飛ばしながら蒸らしてくれるので、さらに美味しくなります。

大型のガス炊飯器なら5升（50合）くらいの大容量でも美味しくご飯を炊けますが、ムラなく炊くにはやはりポイントがあります。

• はかりを使って『お米の重量』を計測する
• 浸水は通常の時間よりも1.5倍ほど長めにとり、芯までしっかり吸水させる
• 炊飯終了でメインバーナーが切れても種火が残るので、蒸らしが終わったら種火の消火を忘れずに

一般的に、釜の容積の6～8割の範囲で炊くのがいいとされています。釜の容積に対してお米の量が少なすぎると水気の多いベチャっとした食感になりやすく、逆にお米が多い状態は「張り釜」といい炊きムラが出やすくなるため注意が必要です。

張り釜で炊くと釜内の熱の伝導が悪くなり、米粒も身動きがとれないため、吸水にばらつきが生じやすくなります。その結果、場所により水気が多いか固すぎるなど、炊き上がりにムラがでます。

先述の通り、お米の量は少なすぎても良くありません。普通にお米だけ少ない状態で炊くと、水分が多くなってしまいます。どうしても少ないお米で炊く場合は、水の量を少なめにするなど調整するのがおすすめです。

しかし、水分量を減らしすぎると釜内で対流が起きず、うまくお米が炊きあがらない可能性があります。適度な量を見極めるために何度か試してみましょう。

家庭用のモデルでも、ガス炊飯器には保温機能がついていないものが多いので、お米を保存しておきたい場合には注意が必要です。大型の業務用ガス炊飯器となるとほとんどついていません。

業務用となると最低でも20合程度炊けるので、先に紹介したおひつでも保存は難しくなります。その場合は別途保温器を購入するか、素早く冷凍保存するなど鮮度を保つ工夫が大切です。しかし、冷凍すると風味も変わってくることを理解しておきましょう。

おすすめの炊き方で炊飯したご飯を食べるなら20分以内がベストなタイミングです。保温は長くても4時間が目安で、それ以上だとご飯が黄ばんで歯ごたえにムラができます。保温するよりも炊きたてを1食ずつ密閉して冷凍するのがおすすめです。

ガス炊飯器は甘みを含んだ「おねば」が上部にたまるので、フタの裏や炊飯器の溝などをしっかり洗剤で洗ったり水拭きしたりして清潔にしておくと、ご飯の美味しさと鮮度が長続きします。

玄米は汚れを落とす程度のササッとすすぎで大丈夫です。水加減は白米の1.3〜1.5倍が目安ですが、白米の水位線しかない場合には玄米1合に対して白米1合の水に60ccほど追加するのがおすすめです。

一晩浸水するのが理想的なので、雑菌が繁殖しないように冷蔵庫に入れましょう。蒸らし時間は白米よりも長い20分くらいが目安です。

そもそも火がつかない場合は、まずガスの元栓が開いているかを確認してください。元栓はレバーが横になっていると開いていて、縦になっていると閉まっている状態です。

また、お釜を洗った直後は口火が濡れていて、それが原因で火がつかない場合もあります。しっかりと乾かしてから再度試してみてください。

感熱部の腐食・バーナーの目詰まりがあると、火力をうまく調節できなくなり、美味しくご飯を炊けなくなるケースもあります。ご飯が明らかに炊けていない場合は、ガス炊飯器の掃除と点検を行いましょう。

無洗米は通常のお米よりも一回り大きいうえに、水に浸されると気泡が発生し水分を含みづらくなるので、うまく炊けない場合があります。そのため、無洗米を炊く時は水分を多めにしたうえで、加熱前に釜の中をかき回して気泡を取り除きましょう。

ガス炊飯器は昔ながらのかまどの炊き方を行うので、ポイントをしっかり押さえて炊くだけで、驚くくらい美味しいご飯が炊き上がります。難しい手順はないので、ぜひ今回の記事を参考にしてガス炊飯器でおいしいご飯を炊きましょう。