ダクトレールとは、照明器具を取り付けるためのバー状の電気器具のことを言います。ライティングレール、ライティングダクトとも呼ばれています。レールの内側全体に電流が流れるので、レール上のどこにライトを設置しても点灯します。ライトを複数個設置しても大丈夫です。

以前、ダクトレールは特殊な業務用の装置として、お店やお芝居の舞台などで使われるだけでした。しかし現在は、おしゃれなマンションやアパートでは、ダクトレールを最初から取り付けている物件もあるほど、インテリアに関心のある人の注目を集めています。

ダクトレールの設置は専門の業者（電気工事士の資格がある人）しか許可されていません。しかし幸いなことに、最近は素人でもDIYで取り付けられる簡易型のダクトレールも手に入るようになりました。ここではこの便利な簡易型について、紹介することにします。

簡易型のダクトレールは、天井にあらかじ取り付けてある引っ掛けシーリング（あるいはローゼット）を利用して取り付けるタイプが大半です。取り付ける場所に制限がありますが、天井に傷をつけないため、賃貸住宅でも施工が可能です。

しかしDIYでオーケーな簡易型のダクトレールの場合、専門業者が施工するタイプの場合とは異なって、何から何まで自由自在というわけには行きません。商品の選択を誤ると、最悪の場合、自分が目指しているインテリアは実現が不可能になる可能性すらあります。

ここではダクトレールを選ぶ際にどんなことに気をつけたらよいかについて、大切なポイントを説明します。

簡易型のダクトレールには、さまざまな長さの商品があります。短いものなら50cm、長いものなら2mくらいまであります。長さが1mくらいの商品が一番多いです。ダクトレールの長さは、部屋の広さや下に置くものとのバランスを考えて、選んでください。

長さが150cmのダイニングテーブルの上に、長さが2m（＝200cm）のダクトレールを設置したら、照明がはみだして、バランスが悪いです。逆に長さが200cmくらいある長いダイニングテーブルの上なら、2mのダクトレールがちょうど良いでしょう。

簡易型のダクトレールを取り付ける場合、天井とのバランスも考えてみなければなりません。なぜなら、引掛けシーリングやローゼットに固定するダクトレールには、高さがあるからです。薄い商品では約6.5cm、厚みのある商品なら約14cmの高さがあります。

天井が低い部屋の場合、高さのあるタイプのダクトレールを施工して、それに照明を取り付けると、照明のデザインによっては圧迫感を感じる可能性があります。

そのような場合、照明のデザインを見直すと同時に、ダクトレールもできるだけ薄いタイプの商品を取り付けると、上からの圧迫感は改善されるでしょう。

家具の配置の関係で、引掛シーリング（あるいはローゼット）の真下にダイニングテーブルを置けられないから、位置をずらすためにダクトレールを使いたい、という場合もあるかもしれません。そのような場合でもむやみに長いダクトレールを選ぶ必要はありません。

ダクトレールの中には、取り付けた後、左右にスライドさせたり回転させたりできる自由度の高い商品があります。このタイプの商品を選んだら、取り付け後の微調整が可能です。このタイプなら、部屋の模様替えの際にも便利です。

スライド機能や回転機能を活用しても、目指す位置に照明を取り付けられないのなら、発想を転換して、コンセントから電源を取るタイプのダクトレールを使うという方法も、考えてみましょう。

また、コンセント型のダクトレールは薄いので、引掛けシーリングやローゼットに固定するタイプでは圧迫感を感じる場合にも、役に立つはずです。

コンセント型のダクトレールを取り付けるには、天井にネジ穴を開けなくてはなりませんが、施工に電気工事士の資格は必要がありません。DIYの範囲で対応できます。

ダクトレールで照明器具を取り付ける場合、ダクトレールにリモコンが付いているタイプをおすすめします。点灯や消灯に、余計な手間をかけないで済むからです。

特に寝室の場合、布団やベッドの中で読書をしたりテレビを見た後で、眠るために立ち上がって照明のスイッチを消しに行くのは、面倒くさいです。

寝室ほどではないですが、リビングやダイニングでも状況は同じはずです。予算と相談の必要があったり単に好みの問題があったりするかもしれませんが、リモコン付きは、やはり便利です。

「ダクトレールを取り付けたら、たくさんの照明をつるして、シャンデリアのように豪華な雰囲気を楽しみたい」と、ひょっとして考えていませんか？そのような人は、ダクトレールの使用説明書を念入りに読み返してください。

ダクトレールは、商品ごとに、耐荷重と取り付けることのできる照明のワット数が定まっています。あまりに多くのライトを取り下げて、耐荷重を超過したり、ワット数の合計が定められた限度を超過すると、使用できません。

特に耐荷重は、ダクトレールの左右に照明をバランスが良くなるように取り付けた場合の値であることが多いです。スライド機能を利用したり、ダクトレールの片側だけに重いライトをつるしたりすると、耐荷重以下であっても問題が生じる可能性があるので、要注意です。

ダクトレールには、さまざまなタイプの照明を取り付けることができます。しかしその中でも最もよく利用されるのは、ペンダントライトとスポットライトの2種類です。

ペンダントライトとは、電球をコードやチェーンなどによってつり下げるタイプの照明器具です。

ほとんどのペンダントライトには、電球の周りにシェードがついています。シェードのデザインは千差万別で、インテリアの重要な要素のひとつです。シェードを付けることにより、照らしたい場所を照らしたり、裸電球のぎらぎらした光を和らげたりできます。

ペンダントライトの選び方については、下記の記事を参考にしてください。

スポットライトとは、特定の場所を、強い光で照らすために使う照明器具です。

スポットライトは、特定の場所（壁に掛けたアート作品など）をピンポイントで照らして強く印象付ける場合に使います。壁に複数のスポットライトを当てて、間接照明のような効果を狙うことも可能です。

ダクトレールに取り付けたスポットライトを上手に使うことで、印象のはっきりしたスマートなインテリアを演出できます。スポットライト自体のデザインは、シンプルなものにする方がおしゃれです。

ダクトレールには「内部に電気が通っている」「天井に固定されたバーで、モノを取り付けることができる」というふたつの性質があります。当然のことですが、このふたつの性質を生かすことができるのは、照明器具だけではありません。

ダクトレールは専用のコンセントを利用することで、一般の電化製品の電源にできます。部屋の済みのコンセントから、長い延長コードを引っ張らなくても済むのです。オーディオ機器やパソコンなどを、スマートで効率的な配置で使用できます。

ダクトレール用のフックも販売されています。これを使うと照明以外のものを、天井から部屋の中央につり下げる可能になります。観葉植物やちょっとしたオブジェなどを部屋の中央につり下げることが、わざわざ天井に穴を開けなくても、可能になるのです。

たとえば、ダクトレールを使って、天井にスピーカーを取り付けたとします。天井から響く音は、スピーカーを床や専用の台に置いた場合とは全く違うので、新鮮に感じるはずです。省スペースにもつながるので、部屋も少し広々とするでしょう。

残念ながら、ダクトレールに取り付けることを前提としたスピーカーは、現在（2020年3月）は生産されていないようです。

しかし、スピーカー付きのLED電球が市販されているので、それを使ってみてはどうでしょう。あるいは、ダクトレールに取り付けるコンセントを使って、小型のスピーカーを天井に固定することも、可能です。

リビングやダイニングの照明を本気で見直すのなら、本格的なダクトレールを取り付けるのが一番良いでしょう。しかし、施工には電気工事士の資格が必要になるし、専門業者の手を借りる必要があると考えて間違えないです。

しかし、簡易型のダクトレールなら、取り付けに特別な資格は必要がないし、DIY初心者であっても取り付けることが可能です。簡易型ダクトレールを利用することで、おしゃれに照明を配置することが、簡単にできるのです。