シャッタースピードとは？どう影響するの？フィルムカメラを始めたい方必見！

フィルムカメラブームの再加熱で新たにフィルムカメラを手にした方の中には、いきなり知らない言葉がたくさん出てきて戸惑っている方もいるのではないでしょうか。その中の一つにシャッタースピードがあります。

シャッタースピードという名前は聞いたことがあるけれど、具体的に何を表していて、どのような効果があるのでしょうか。実はシャッタースピードは写真の表現の方向性を大きく左右する、超重要項目なんです。

今回はそんなシャッタースピードについて、効果や種類、役割や機能を詳しく解説していきます。ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。

カメラは、内部に外界の光を取り込んでフィルムや映像素子に画像を記録する仕組みになっています。フィルムや映像素子は普段はシャッターの内側にありますが、シャッターのボタンを押すことでシャッターが開き、外界の光を取り込めるようになります。

シャッタースピードとは、シャッターが開く時間の長さのことです。カメラに光をためる時間が長いほど取り込める光量が多くなり明るい画像になります。逆に短いと光量は少なく暗くなりますが、速く動くものをハッキリと捉えやすくなります。

シャッタースピードが速いほど、光を取り込む量が少なくなるため暗めな写真になり、逆に遅くなれば光を多く取り込めるため明るい写真を撮影することができます。また、撮影したい被写体によって、シャッタースピードを変化させることも重要です。

シャッタースピードを速くすれば、動きの速いものもブレることなく撮影することができます。なぜならば、シャッタースピードを上げることでシャッターが開いている時間が短くなるため、その分多くの情報を記録することができるからです。

その性質を利用して、あえて遅いシャッタースピードで残像も記録するという手法もあります。早いシャッタースピードで撮影したものよりも、動きのある印象になります。川や噴水などの変化の激しい水や、走る電車、野鳥などを試し撮りしてみると、その違いをわかりやすく実感することができるでしょう。

シャッターを開けている時間がほんの一瞬の高速シャッターには、8000分の1～640分の1秒といった設定や、500分の1～160分の1秒などやや速い設定が考えられます。いずれも速く動く被写体の輪郭をクッキリと表現したい時に適しています。

川や滝の水しぶきの水の一粒一粒まで鮮明に撮影したい時は、1000分の1秒より速いスピードがいいでしょう。ブレなくスポーツシーンを撮影したい時も同様に速く設定しますが、競技や場面によっては500分の1より遅めを選んで撮影することもあります。

日常の風景を撮影する時などは、125分の1～40分の1秒程度の普通のシャッタースピードでも十分に鮮明な画像になります。日中の撮影なら光量も得られるので、暗くならずに調度いい具合になります。風景のほか、ポートレートにも適しています。

30分の1～4分の1秒のやや遅いシャッタースピードは、手持ち状態ではブレが画像に表れやすくなってきます。その性質に逆に利用して、被写体を追いながらシャッターを切る流し撮りで、止まって見える被写体と風景の残像の対比で躍動感を表現することもあります。

およそ0.5～1秒以上のシャッタースピードになってくると、三脚に固定しないとブレが確実に発生するようになってきます。わずかな振動でもブレるので、レリーズやセルフタイマーを活用するといいでしょう。

0.3～8秒の遅い速度は、夜の風景や星空を撮影する時に光量を得るために設定されることが多いです。また、水しぶきの軌跡を線状に残して幻想的な画を作る時にもいいでしょう。10秒～30秒のとても遅い速度は、星や雷などの光の軌跡を残す時に使われています。

近年のデジタルカメラでは、シャッタースピードを自動で調整するモードが搭載されているものがほとんどですが、フィルムカメラの多くは、自分でダイヤルを回してシャッタースピードを調整します。

フィルムカメラの年代や機種によって操作方法が異なる場合があります。また数は少ないですが、絞り優先機種のカメラではシャッタースピードを手動で設定できないこともあります。実践前にお手持ちのカメラの仕様について確認しておきましょう。

カメラに光を取り込むことを露出と言いますが、シャッタースピードを調整することは露出を調整することでもあります。被写体の動く速さや写真の表現の仕方で速度を選ぶだけではなく、明る過ぎず暗過ぎない適正露出を基準に選ぶことも大切です。

適正露出に合わせた設定では、シャッタースピードを変えると絞り値(F値)や感度も連動して変わります。シャッタースピードを1上げる(速くする+暗くなる)と、絞り値の数値は1つ小さくなる(明るくなる)反比例の相関関係が成り立ちます。

このことは実際の撮影で、シャッタースピードを速くしたいけど画面が暗い時に、絞り値をどれぐらい小さくするか、あるいは感度を上げて対応するのかの判断に役立ちます。

デジタルカメラにはSモードやTvと表記されるシャッター優先AEモードが搭載されていることが多く、デジタル一眼ではほぼ確実に搭載されています。また、1990年代付近のフィルム一眼にも大体搭載されています。

シャッター優先AEのいいところは、シャッタースピードを自分で設定すれば、絞り値などの他項目の設定を自動で行ってくれることです。動きのある写真や時間の表現をするのにシャッタースピードを自分で調整したい方におすすめです。

初心者の方が、カメラのことをもっと知りたい時やフルオート撮影からワンステップ上の撮影を目指す時にも、シャッター優先AEは違いがわかりやすく入門編としておすすめです。さまざまな速度の違いを実際に確かめながら、楽しんでステップアップするといいでしょう。

初心者の典型的な失敗に手ブレがあります。シャッタースピードを遅めに設定すると、カメラを持つ手や体の微弱な振動が画面にブレとして記録されてしまうことが多くなります。では、手ブレをしないギリギリのシャッタースピードの目安はどれくらいなのでしょうか？

その目安は、レンズの焦点距離分の1秒が一つの基準になります。50mmレンズを使用している場合は50分の1秒がギリギリ手ブレしないシャッタースピードになります。あくまでも「ギリギリ」なので、手持ちで撮影する場合は余裕のある速度を選びましょう。

たとえば、標準レンズの場合は125分の1秒でシャッターを切ると安心ですね。手ブレ補正機能がある場合には、これを活用するとより手ブレが起こりにくくなります。また撮影の熟練度によっても左右されますが、遅いシャッタースピードでは三脚を使うのが確実です。

露出計とは光量を測定する機材です。撮影する際、適切な光量でなければ暗すぎる・明るすぎるなどの不具合が起こります。露出計で光量を計算したうえで、シャッタースピードや絞り値を調節すればきれいな写真が撮影できます。

デジタル一眼レフカメラには露出計が搭載されていますが正確性に欠ける場合があるため、単体で露出計を併用するのがベターです。古いタイプのフィルムカメラには露出計が搭載されていないものが多いため、こちらも単体で露出計を活用すると撮影の失敗が減らせます。

シャッタースピードの調整は撮影した写真に分かりやすく反映されるため、初心者にも分かりやすくハマる面白さがあります。シャッタースピードについて自分でコントロールできるようになると表現の幅も広がって、写真撮影がより楽しいものになりますね。