【月刊佐伯】おすすめの佐伯泰英作品の選び方とランキング10選

佐伯泰英さんは『密命』や『居眠り磐音』など多くの時代小説を手掛けるおすすめの作家です。「月刊佐伯」の異名でも知られ、20日で文庫本一冊というハイペースで書き下ろすことでも知られています。ここでは佐伯泰英作品の選び方とおすすめをランキングを形式で紹介します。

佐伯泰英作品の魅力

佐伯泰英さんは1999年に時代小説作家に転向するまでは、ミステリーや冒険小説を多く手掛けていました。しかしながら、日本になじみの薄い地域が舞台の作品が多かった事が影響したのか、なかなかヒットに恵まれませんでした。

 

ところが1999年に初の時代小説『瑠璃の寺』を発表すると、発売からわずか1週間で重版がかかるほどの人気となりました。「月刊佐伯」と言われるほどのハイペースで作品を発表、数々の人気シリーズを生み出して一躍人気の時代小説家となりました。

 

佐伯泰英さんの作品は、人情味あふれる作風のものが多く、殺陣の描写も迫力があり、これから時代小説を読み始めるという方はもちろん、現役の作家の作品を読みたいという方にもおすすめします。映像化作品も多くあるのもおすすめポイントです。

 

 

佐伯泰英作品の選び方

映像化作品で選ぼう

佐伯泰英さんの作品の中には映像化、特にTV時代劇の原作となっているものが多くあります。普段小説を読まない方でも映像作品で作品の雰囲気がイメージ出来れば、小説の世界に没入しやすくなって、より作品を楽しめるのでおすすめです。

『酔いどれ小籐次』シリーズ

『酔いどれ小籐次留書』シリーズは豊後国にある森藩の厩番・赤目小籐次が主人公の時代小説です。辱めを受けた主君のために、大名4家を相手に一人で戦いを挑むという話からストーリーが始まります。高齢で大酒飲みの小籐次ですが、来島水軍流という剣術の達人で多くの敵を打ち倒すシーンは痛快でおすすめです。

 

TV時代劇としては、小説の第1巻に当たる「御鑓拝借」のエピソードが2013年のNHKの「正月時代劇」で放送され、同年中に「BS時代劇」にて続編が放送されました。主演の竹中直人さんが演じる小籐次がとても魅力的なのでぜひとも見ていただきたいおすすめの作品です。

『居眠り磐音』シリーズ

『居眠り磐音』シリーズは豊後国は関前藩の中老の嫡男・佐々木磐音(坂崎磐音)が主人公の時代小説です。藩政改革を志し、直心陰流の使い手である磐音が守旧派の陰謀により脱藩を余儀なくされるというようにストーリーが展開していきます。

 

2016年にストーリーは完結しましたが、累計発行部数は時代小説としては驚異の2000万部を超える大ベストセラー作品です。TV時代劇シリーズとしては、山本耕史さんの主演で2007年から2008年にかけてNHK総合で「陽炎の辻」として人気を博しました。

 

2019年には松阪桃李さん主演の映画「居眠り磐音」も公開されたので、見比べてみるのもおすすめです。

 

 

『密命』シリーズ

『密命』シリーズは豊後国の相良藩の藩士・金杉惣三郎が主人公の作品です。藩の蔵書から消えたキリシタン本を奪還するよう藩主から密命を受けた金杉惣三郎が脱藩するというところから物語が展開していきます。

 

TV時代劇としては、2008年にテレビ東京で「密命 寒月霞斬り」として放送されました。主演の榎木孝明さんが放送の3年前から自ら企画書を持ち込むことによって映像化が実現しました。

 

刺客との暗闘と町人たちとの心温まる交流の対比が面白いく、剣の達人ながらもどこか抜けているところがある惣三郎を、榎木さんが見事に演じてきっているのも見どころでおすすめです。

『吉原裏同心』シリーズ

『吉原裏同心』シリーズは豊後国は竹田の岡藩の馬廻・神守幹次郎が主人公の時代小説で、人情話や捕物帳などいろいろな顔を持つ人気シリーズです。

 

物語の流れは、借金の方に藤村壮五郎の妻となっていた幼馴染の汀女(ていじょ)を連れて脱藩し諸国を放浪、流れ着いた吉原遊郭四郎兵衛会所で用心棒・裏同心として雇われます。そして、裏同心として吉原で起こる数々の事件を解決に導くというストーリーです。

 

TVシリーズは2014年にNHK木曜時代劇で「吉原裏同心」として放送され、殺陣シーンに時代劇では珍しいワイヤーアクションが使われ話題になりました。幹次郎夫妻と会所の人々の交流、人間模様などが楽しいおすすめの作品です

『鎌倉河岸捕物控』シリーズ

『鎌倉河岸捕物控』シリーズは呉服屋の手代で御用聞きでもある主人公・政次を中心とした江戸時代の若者の青春を描いた作品でおすすめです。

 

政次、亮吉、彦四郎の同じ長屋生まれの幼馴染3人は、同じく幼馴染のしほに皆が思いを寄せていた。ある時、しほの父が殺され、しほの周りにも不審な男たちがうろつき始め、というように展開していきます。

 

TVでは、2010年にNHK総合の土曜時代劇で「まっつぐ〜鎌倉河岸捕物控〜」として放映されました。豊島屋清蔵役の竹中直人さんがいろいろな役に扮し、現在の金座界隈を紹介するアバンタイトルも個性的でおすすめです。

 

 

シリーズで選ぼう

佐伯泰英さんの作品には映像化されていないシリーズ物もたくさんあります。現代の我々にもわかりやすい設定の作品が多いですし、その情景が頭に浮かぶような迫力ある殺陣や人間関係の描写も素晴らしいです。ここではその中でもおすすめの物を紹介します。

『夏目影二郎始末旅』シリーズ

『夏目影二郎始末旅』シリーズは、「あさり河岸の鬼」と呼ばれる主人公・夏目影二郎が幕府重臣の父の命令で日本中を旅して歩き、悪人や腐敗役人を成敗していくというストーリーです。

 

この作品には「遠山の金さん」こと遠山金四郎や国定忠治、鳥居耀蔵などの歴史上の人物もレギュラーメンバーとして登場するのも特色です。中でも国定忠治はもう一人の主人公と言っても過言ではないほど活躍しています。

 

『夏目影二郎始末旅』シリーズは『狩り』シリーズとも言われますが、『狩り』シリーズはほかの佐伯泰英さんの作品と比べて硬派な印象を受ける作品なので、そのあたりを他の作品と読み比べるのもおすすめです。

『古着屋総兵衛影始末』シリーズ

『古着屋総兵衛影始末』シリーズは神君家康から影旗本として徳川家を陰ながら守ることを命じられた鳶沢一族と老中・柳沢吉保の暗闘がメインの作品です。

 

この作品の開始は赤穂浪士の討ち入りの頃が舞台になっているのですが、時代考証の緻密さと時代小説ならではのエンターテイメント性が絶妙なバランスで両立されていて、時代小説をあまり読まない方もサクサク読み進められると思うのでおすすめします。

 

また、『古着屋総兵衛影始末』シリーズは2004年に完結しましたが、本シリーズの100年後を描いた『新・古着屋総兵衛』も開始されており、これが自身が書く最後のシリーズ物になるだろうと、佐伯先生自身が語っていますので佐伯作品ファンの方にもおすすめします。

 

 

佐伯泰英作品のおすすめランキング10選

10位 角川春樹事務所 『橘花の仇―鎌倉河岸捕物控〈1の巻〉 (ハルキ文庫 時代小説文庫)』

江戸の青春グラフィティ

『鎌倉河岸捕物控』シリーズは、江戸時代の神田鎌倉河岸の周辺を舞台にした捕物帳時代小説のシリーズ1作目で、江戸時代に生きる10代の若者たちが成長していく過程を描いています。

 

あらすじとしては、政次、亮吉、彦四郎の幼馴染3人組は、同じく幼馴染のしほに想いを寄せて、競い合いながらも楽しく過ごしていた。ある時、しほの父が殺され、直後からしほの周囲に不審な男たちがうろつき始め、3人はしほを守るために動き出す、というようなものになります。

 

この作品は、町家と武家屋敷が渾然一体なっている鎌倉河岸で若者たちが数々の事件を解決しながら大人になっていく過程を描いたものです。10代の若者が主人公なのでエネルギッシュでユーモラスのある作風もおすすめのポイントです。

 

 

販売元 角川春樹事務者 ページ数 437
形態 文庫    

9位 光文社 『八州狩り 決定版: 夏目影二郎始末旅(一) (光文社時代小説文庫)』

日本縦断悪党狩りの旅、開幕!

『夏目影二郎始末旅』シリーズは、主人公・夏目影二郎が諸国を旅しながら悪党たちを打ち倒すというまさに時代劇の王道のような作品です。

 

あらすじとしては、飢饉により荒廃し、治安が悪化している天保年間。恋人を死に追いやった男を殺し牢に入っていた夏目影二郎は幕閣である父から諸国を巡り腐敗した役人や悪党どもの始末を命じられます。影二郎は旅先で出会った人たちに助けられながら世直し旅を続けていく、というものです。

 

この作品は妖怪や超常的な物もあり、普通の時代小説よりもエンターテイメント色が強い作品になっています。旅をしながら世直しをするという時代劇好きの方にはおすすめです。

 

 

販売元 光文社 ページ数 407
形態 文庫    

8位 光文社 『流離 吉原裏同心 (光文社文庫)』

訳アリ夫婦の吉原事件簿

この本は『吉原裏同心』シリーズの第1巻になります。幹次郎夫妻が脱藩してから、吉原に流れ着くまでを描いたおり、シリーズを続けて見ていくうえで欠かせない1冊です。ただ新装版発売に伴い1巻の表題が「逃亡」から「流離」に代わっているので購入の際は注意してください。

 

あらすじとしては、主人公・神守幹次郎は借金の方に上役の妻となった幼馴染の汀女と駆け落ちし、吉原遊郭の四郎兵衛会所に裏同心として雇われ、妻の汀女や会所の人々と共に吉原で巻き起こる様々な事件を解決に導ていく、というものになります。

 

この作品は吉原遊郭の光と影、夫婦の絆などがテーマですが、主人公の殺陣の描写や忘れたころにやってくる刺客など、読者を飽きさせないおすすめの1冊です。

販売元 光文社 ページ数 310
形態 文庫    

7位 祥伝社 『完本 密命 巻之一 見参! 寒月霞斬り (祥伝社文庫)』

秘剣・寒月霞斬りの使い手、金杉惣三郎見参!

この本は『密命』シリーズの第1作目で、作者の佐伯泰英さんが時代小説作家に転向して初めて手掛けたシリーズ物の作品です。榎木孝明さんの主演で映像化もされて高評価を得ました。

 

あらすじとしては、直心影流の達人である主人公の金杉惣三郎が仕える豊後の相良藩に幕府より切支丹本を所持している疑惑がかけられます。藩主の密命により脱藩し、事件の解明に当たる惣三郎へ次々と刺客が立ちふさがり、というものです。

 

この作品は、脱藩してまでも藩に尽くそうとする惣三郎の忠義の心と町の人たちとの交流がとても素敵です。他にも剣の達人である惣三郎と立ちふさがる敵との対決シーンの描写はとてもワクワクさせてくれておすすめです。

販売元 祥伝社 ページ数 560
形態 文庫    

6位 双葉社 『陽炎ノ辻 ─ 居眠り磐音江戸双紙 1 (双葉文庫)』

累計発行部数2000万部を超える大ベストセラーシリーズ

この本は累計発行部数が2000万部を超える『居眠り磐音』シリーズの第1巻になります。時代小説としては異例の人気となり、TV時代劇の他にも漫画化や映画化もされるほど話題を集めました。

 

あらすじとしては、藩政改革を志す主人公の磐音だったが敵対派閥の陰謀で許嫁の兄を斬り、失意のうちに浪人となって江戸に出てきます。直心影流を使う剣の腕を生かし用心棒家業をする中で様々な事件、人々と関わっていくことになる、というようなものです。

 

シリーズ1巻であるこの本には、許嫁や対立派閥の因縁などのキーワードがあるので絶対に押さえておいてほしいです。2巻からはエンターテイメント性が強まり、磐音の無双っぷりを存分に楽しめます。殺陣の描写の妙はどなたにでも自信をもっておすすめします。

販売元 双葉社 ページ数 356
形態 文庫    

5位 文藝春秋 『御鑓拝借 酔いどれ小籐次(一)決定版 (文春文庫)』

外道飲みの剣豪・赤目小籐次が斬る

この本は『酔いどれ小籐次』シリーズの第1巻で、NHKの新春時代劇で竹中直人さんの主演で映像化されて好評を博し、同年中に続巻もBS時代劇で映像化されました。

 

あらすじとしては、森藩の厩番の赤目小籐次が辱めを受けた主君の恥を雪ぐべく、主君を侮辱した大名家の参勤交代の行列を襲撃してその御鑓を奪い、たった一人の孤独な闘いながらも無事主君の恥を注ぐことに成功する、というものです。

 

まずなんと言ってもこの作品は来島水軍流の達人である小籐次の立ち合い、つまりチャンバラシーンが本当に面白いです。そして奉公をおえた小籐次の町の人たちとの人情味あふれるふれあい、遺恨が出来た大名家からの刺客などエンターテイメント性が抜群でとてもおすすめです。

 

販売元 文藝春秋 ページ数 364
形態 文庫    

4位 新潮社 『死闘 古着屋総兵衛影始末 第一巻 (新潮文庫)』

隠れ旗本と老中・柳沢吉保の暗闘

この本は『古着屋総兵衛』シリーズの第1巻となります。なお新潮社から出ている新装版は作者である佐伯泰英さん自身が校正を行い、大きく手直ししており「完全版」といっても差し支えないものとなっています。

 

あらすじとしては、徳川家康より徳川家を陰ながら守ることを命じられた鳶沢一族。古着屋の大黒屋として江戸の町の情報を収集しつつ代を重ねていましたが、5代将軍・綱吉の頃になって時の権力者老中・柳沢吉保が大黒屋をわがものにしようと戦いを仕掛けてきて、というものです。

 

この作品は、主人公・総兵衛の重厚な存在感、一族の結束で敵に立ち向かう展開が素晴らしいです。どちらかというとエンターテイメント性が強い作品ですが、TV時代劇が好きな方にはとてもおすすめ出来ます。

販売元 新潮社 ページ数 478
形態 文庫    

3位 ポニーキャニオン 『NHK土曜時代劇 まっつぐ 鎌倉河岸捕物控 DVD-BOX』

主演・橘慶太!新時代の捕物帳

佐伯泰英さんも『鎌倉河岸捕物控』シリーズを原作として、製作されたTV時代劇が『まっつぐ〜鎌倉河岸捕物控〜』で、こちらは全13話が収録されたDVDBOXです。

 

NHK土曜時代劇で放送され、橘慶太、中尾明慶、小柳友、柳生みゆといった、当時まだ若手の起用で話題になりました。また、そんな若手の周りを松平健、竹中直人などというベテランがしっかり固め、新時代の人情味あふれる捕物帳が出来上がっていました。

 

メインの若手4人も原作のイメージそのままなので、原作は好きだけどまだ見たことが無いという方も十分に楽しめると思いますし、原作未読の方もこれを見て世界観が気に入ったら原作で続きを読むのもおすすめします。

販売元 ポニーキャニオン 枚数 5
形態 DVD    

2位 NHKエンタープライズ 『山本耕史主演 陽炎の辻 全集&完結編 DVD全2巻セット【NHKスクエア限定商品】』

正義を貫く「居眠り磐音」の痛快時代劇

シリーズ累計発行部数が2000部を超える大ベストセラー『居眠り磐音』が満を持して映像化され、全39話と完結編が収録されたものがこのDVDBOXになります。NHK木曜時代劇で放送され、時代劇としては異例の平均視聴率が2桁を超える人気となりました。

 

主演の山本耕史さんは、素晴らしい殺陣で剣術の達人である磐音を完璧に演じ挙げていましたし、おこん役の中越典子さんもイメージにピッタリで原作好きの方にも自信をおすすめできるスティングです。

 

第3部から原作と変わってきていますが、口コミを見てみると多くの方が気にならないか、よい印象を持っているようです。ラストシーンは原作とは違うドラマオリジナルですが、涙無くては見れない感動があります。シリーズ物の時代劇としては最高峰のおすすめ作品です。

販売元 NHKエンタープライズ 枚数 18
形態 DVD    

1位 ポニーキャニオン 『酔いどれ小籐次 ブルーレイBOX [Blu-ray]』

忠義の老剣豪・赤目小籐次推参!

1位は竹中直人さんの主演で『酔いどれ小籐次』シリーズを映像化したTV時代劇で、長編の「御鑓拝借」と通常会の13話を合わせた全14話が収録されたこちらのブルーレイBOXです。

 

老年に差し掛かった小柄な剣豪の小籐次を竹中直人さんが完璧に演じ切っていたのが印象的でした。小籐次に必要不可欠な殺陣シーンはもちろん、おりょう殿との恋に悩む姿、慣れない子育てに四苦八苦する様子などは、まさに原作の小籐次そのものです。

 

『酔いどれ小籐次』は笑いあり、涙あり、主君への忠義、人情、少しシリアスな場面があり、そしてなんといっても豪快なチャンバラシーンがあって時代劇の醍醐味、面白さと魅力をすべて網羅したような傑作です。多くの皆さんに見ていただきたいおすすめの作品です。

販売元 ポニーキャニオン 枚数 5
形態 ブルーレイ    

まとめ

今回は佐伯泰英さんのランキング10選をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?活字の小説をあまり読まない方でも、映像化作品もたくさんあるので時代劇から入ってみてはいかがでしょうか。原作で続きを読みたく魅力的な作品がたくさんありますよ。

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