【繊細で独特な恋愛小説】島本理生のおすすめ人気小説ランキング10選
2020/11/20 更新
作家・島本理生さんの魅力
島本理生さんは、主に恋愛小説などを手がける小説家の一人で、直木賞を受賞した事でも有名です。
直木賞とは、文学や小説界において、芥川賞と並んで、非常に有名な賞です。特に直木賞は、エンターテイメント性の強い小説や文学作品に贈られる賞で、とても読みやすく、映画化される作品も多いです。
直木賞を受賞する以前からも、その透明感のある美しい文体と、奥底まで掘り下げた心理描写に定評があり、多くの人に読まれていました。少し重いテーマのものから、爽やかな青春小説まで、様々な作品があるのも魅力のひとつだと言えます。
島本理生さんの小説の選び方
現在、20冊以上の小説を世に送り出している島本理生さん。読んでみたいけど中々どのストーリーが良いのか迷うものです。おすすめの島本理生作品について。
ストーリーの内容で選ぶ
どんな話が読みたいかは、小説選びについて一番重要な事だと言えます。島本理生さんの小説の中でも、特におすすめの3ジャンルについて
やっぱり王道の恋愛小説
小説家の中には、ある一定のジャンル、例えばミステリーもの専門のミステリー作家や、ホラー作家のように専門分野を持つ作家さんが多いです。
島本理生さんは、特筆して専門を公言している訳ではありませんが、文学賞を受賞した数々の作品の多くは、恋愛小説であり、読者の人気が高い作品も多くは恋愛小説な為、やはり島本理生さんのおすすめは恋愛小説だと言えます。
島本理生さんの恋愛小説は、特に派手な展開や恋愛においてのスリルが目玉な作品ではなく、詩的な文体、純文学的な文章が彩り、「ナラタージュ」など、あまあまな恋愛小説とは一味違う、深みのある作品が多いです。
爽やか青春小説
17歳でデビューした事もあって、島本理生さんの小説は、「リトル・バイ・リトル」など、若くて思わず眩しくなってしまうような青春ものも人気があります。
そう言われると、何だか若い人向けなのかなとも思いますが、島本理生さんの青春ストーリーの面白いのは、年代によってまた見方や感想など感じ方が違う点です。10代~20代の世代が読むと、親近感があって、わかるわかる、という共感を持って読めるようです。
大人になって読み返すと、こそばゆくてどこか恥ずかしくなるけど、新鮮な気持ちに戻れる、といったように、ある程度、恋愛経験を経てきた人にとっても楽しめる作品になっています。
引き込まれるミステリー小説
ミステリー要素を含む作品もまた、島本理生さんの得意とする分野のひとつです。直木賞を受賞した「ファースト・ラヴ」、そして「匿名者のためのスピカ 」もまた、ミステリー色の強い作品で、どんどん引き込まれていくストーリーは多くの人に支持されています。
読んでいると、どんどん真実が明らかになり、ページをめくる指が止まらない、一気に読み上げた、という読者も多く、惹きつけられるストーリー構成の巧みさなど、小説家として基礎的な部分での実力も感じる作家です。
読ませる構成力ももちろんですが、島本理生さんの独特の文章表現や、不穏な人間関係や感情のゆらぎなどの表現力が随一で、それもまた他のミステリー小説と異なる点と言えます。
年代で選ぶ
独特の表現や、文章から伝わる雰囲気が特徴的な島本理生さんの作品ですが、少し大人向けの小説から、ちょうど恋愛に夢中になる世代の女子に呼んで欲しいものなど、年代から選ぶおすすめ作品について。
10代におすすめの島本理生作品
10代に読む本は、その後の人生観を大きく左右するとも言われています。多感な年代であり、その時に出会う小説家として島本理生さんはぜひおすすめしたい作家のひとりです。
数ある島本理生さんの作品の中でも、特に10代ごろの若い世代に読んでほしいのが、デビュー作でもある「ヨル」や初の出版作となった「シルエット」などです。初期の作品は瑞々しさや透明感が感じられ、読みやすいものが多いです
自分で読むのもおすすめではありますが、例えばプレゼントとして贈るにもおすすめで、揺れ動くリアルな心情と、せつない恋心が、10代の共感を呼ぶ一冊となりそうです。
20代におすすめの島本理生作品
20代は若くてただ突っ走るような、感情的な恋愛から、より自分を見つめられるようになってきて落ち着いた恋愛までの最中のような時期です。
そんな日々大人の女性になりつつある段階でおすすめなのが「よだかの片思い」や「イノセント」のような、女性の再生の物語です。一種独特な世界観を持つ島本理生さんの恋愛小説ですが、この2冊は対照的な主人公を持つストーリーです。
初めての熱烈な恋に戸惑う姿や、打算や嫉妬など、感情が絡まったやっかいな恋愛、どちらも大人の女性になる為の階段の途中で、儚そうだけれども逞しい、女性の魅力がつまっています。
30代におすすめの島本理生作品
ある程度人生経験、恋愛経験を経てきたからこそ、読みたい島本理生作品があります。おすすめは「Red」や「あられもない祈り」など、大人の雰囲気あふれる、少し独特な恋愛小説です。
前者は、不倫を扱ったストーリーで、直接的な表現という訳ではありませんが、大人のエロスを醸し出しているラブストーリーで官能小説とも評されるほどです。後者はまた、独特な観点の恋愛小説で、言葉の美しさや繊細な感情描写と相まって、独特な物語に仕上がっています。
ありきたりな恋愛ものに飽きた人におすすめで、読んだ後に誰かと感想を語り合いたくなる小説達です。
小説の長さで選ぶ
重厚な「長編小説」、テンポよく読めて、合間時間でも楽しめる「短編小説」、より小説家・島本理生を知ることが出来る「エッセイ」など、その種類から選ぶのもまた、小説選びのポイントのひとつです。
島本理生作品の真骨頂、長編小説
作品の世界観にどっぷり浸かりたい、という場合におすすめなのは、やっぱり長編小説です。島本理生さんの長編小説は、著名な文学賞を受賞した作品も多く、その恋愛観や世界観をじっくり楽しむ事が出来ます。
「波打ち際の蛍」や「生まれる森」など、女性にとって重いテーマを扱ったものが多く、考えさせられるストーリーなのが特徴でもあります。
日常とは少し離れた場所で、自分に置き換えて物語にのめりこむのは、一種の感情のデトックスにもなり、読後は不思議とすっきりするかもしれません。
魅力が凝縮された、短編小説
短編集もまた、島本理生さんらしさの感じられる作品が多く、家事のちょっとした合間時間や、通勤の時間を利用して読むのにも最適な為、おすすめです。
「わたしたちは銀のフォークと薬を手にして」や「真綿荘の住人たち」のように、連作短編と呼ばれるスタイルが特におすすめです。連作短編とは、それぞれの短編が、スピンオフのような形で、他の短編とも関連性があり、より作品を身近に魅力的に感じます。
短編の登場人物ひとりひとりのストーリーが絡み合い、身近な誰かや自分自身を投影してしまうようなキャラクターも多く、短い話でも世界観に入ってしまえる、そんな小説が多いのも島本理生作品の特徴かもしれません。
素顔の島本理生をかいま見る、エッセイ
過去のトラウマや、親からの虐待など、重いテーマを扱う事が多い島本理生さんですが、エッセイ集「CHICAライフ」では、全く違う一面を垣間見る事が出来るので、元からファンの人も、苦手意識のある人もおすすめな作品です。
過去のちょっと普通じゃない恋人とのエピソードや、家族の事、自身の恋愛観についてなど、なんだか女友達とおしゃべりをしているような感覚があり、より親近感を感じるエッセイ集になっています。
島本理生さんの小説を読んでいなくても楽しめる内容で、作品のウラ話的なエピソードもいくつかあるので、逆に小説の方を読みたくなってしまうようなおもしろさがあります。
島本理生の人気ランキング10選
10位 集英社文庫『よだかの片想い』
コンプレックスを抱える人への恋愛小説
恋をすると、誰しも憶病になったり、今までとは違う考え方や行動をしてしまう事に驚く事があるはずです。この作品は、恋をしている人はもちろん、一歩踏み出せない人に特におすすめの作品です。
主人公の女性は顔に大きなアザがあり、それをコンプレックスに思い生きてきました。ひょんな事から取材を受ける事になり、その流れで出会った映画監督の男性に恋に落ちる、というストーリーです。
主人公の持つ顔へのコンプレックスと向き合っていく姿や、純粋に生きる姿はとても考えさせられるものがあり、また恋をしてどんどん変化していく主人公がとても魅力的で、恋いするっていいな、と思わせてくれる小説です。
初版 | 2013年 | ページ数 | 254P(単行本) |
ジャンル | 長編 | ストーリー | 恋愛 |
9位 文春文庫『夏の裁断』
主人公の重い過去と救いの短編集
島本理生さんの作品の中でも、独特な心理描写が印象的で、短編だけれども、ずっしりと重量感のある作品集です。芥川賞にもノミネートされた事もあり、恋愛小説の中でも、どちらかというと純文学よりな雰囲気がある作品です。
主人公は過去にトラウマを持つ小説家の女性で、ある男性と知り合った事で、振り回され、人生の歯車が狂い、全てをリセットする為に静養先で淡々とした生活を送ります。その中での新たな出会いや心のゆらぎが美しい文体で表現されています。
重い印象を受けますが、ストーリーに救いがあり、島本理生作品の特徴でもある、言葉選びの美しさにはっとさせられる作品です。
初版 | 2015年 | ページ数 | 254P(単行本) |
ジャンル | 短編 | ストーリー | 恋愛 |
8位 角川文庫『波打ち際の蛍』
胸が痛くなる、恋をしたくなる恋愛小説
恋愛で傷ついた事のある人や、一歩踏み出す事に憶病になってしまっている人にぜひおすすめしたい島本理生作品です。
主人公は、かつての恋人からDVを受け、心に傷を負う中で、新たな出会いに戸惑い、葛藤するというストーリーです。その心のゆらぎや、またそれでも抑えきれない好きという気持ちなど、感情の機微が繊細な文章で綴られています。
傷つかずに生きてゆける人はおらず、自分以外の誰かと生きるという事は、愛おしくもあり、素晴らしい事だと感じされてくれる一冊です。
初版 | 2016年 | ページ数 | 240P(単行本) |
ジャンル | 長編 | ストーリー | 恋愛 |
7位 (集英社文庫『イノセント』
複雑な生い立ちの主人公との三角関係
島本理生さんの描く主人公は、心に深い傷を負う中で、様々な人々の中で、日常を淡々と、でも逞しく生きていく姿が、詩のような文章や比喩表現とあいまって、美しい印象を受ける作品が多いです。この「イノセント」もまた、美しい恋愛ストーリーとなっています。
幼い子どもを育てるシングルマザーと、やり手の会社経営者、そしてカトリック神父という、2人の対照的な男性との恋愛ストーリーです。ストーリーが進むにつれ、ぐいぐいと引き込まれていく力があります。
実は、共感しづらい主人公だと言われる事も多い作品ですが、誰かを想う事について考えさせられるおすすめの小説です。
初版 | 2016年 | ページ数 | 4242P(文庫本) |
ジャンル | 長集 | ストーリー | 恋愛 |
6位 幻冬舎『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして 』
大人の女性の共感を呼ぶ、珠玉の短編集
主人公が30代女性と、それを取り巻く人達のストーリーが入った、少し大人向けの短編集で、島本理生さんの作品に苦手意識のある人に特におすすめしたい小説です。
ストーリーは、メインのカップルの話から始まり、その家族や友人の物語で、それぞれのす恋愛ストーリを追っていく中で、はっとさせられる言葉や、自分の身を振り返り、考えさせられる場面など、ある程度、恋愛経験を経てきた人に響く物語だと言えます。
読後感もすっきりとしていて、通勤などの合間時間にちょこちょこ読むのにもぴったりな小説です。
初版 | 2017年 | ページ数 | 237P(単行本) |
ジャンル | 短編集 | ストーリー | 恋愛 |
5位 角川文庫『シルエット』
若さが眩しい、鮮烈のデビュー作
2001年に発表された「シルエット」は島本理生さんのデビュー作です。群像新人文学賞の優秀作に輝いた小説でもあり、なんと当時は17歳の高校生でした。
主人公の女子高生の恋愛ストーリーで、元カレとの関係や、今カレとのこれからなど、等身大の女の子の恋愛を詩的な表現と美しい文章で表現しているので、あまあまべたべたな感じはせず、恋愛で悩んでいる人や、失恋して前に中々進めない人におすすめの作品です。
島本理生さんの最近の作風とはやはり少し違いを感じますが、若い感性が紡ぐ瑞々しい物語は、20代、30代以降の女性にも懐かしさやきらきらした眩しさを感じさせる、素敵なすストーリーです。
初版 | 2011年 | ページ数 | 192P(文庫本) |
ジャンル | 短編集 | ストーリー | 恋愛・青春 |
4位 中公文庫『Red』
島本理生流、透明感のある不倫文学
官能小説とも評され、島清恋愛文学賞を受けた作品です。この賞は小池真理子さんや岩井志麻子さんなども受賞歴があり、まさにオトナの女性の為の恋愛小説としておすすめな作品です。
内容としては、いわゆる不倫を扱った恋愛小説で、イケメンの夫に可愛い子ども、家族関係も良好で、一見何もかも手に入れて幸せな女性が、かつての恋人と再会し、激しい官能の世界に引き込まれていく物語です。
このようなストーリーは決して目新しいものではありませんが、島本理生さんの独特の透明感と突き刺すような言葉が、印象的で、刺激的な恋愛をしたい人に読んで欲しい、おすすめのオトナ恋愛小説です。
初版 | 2014年 | ページ数 | 503P(文庫本) |
ジャンル | 長編 | ストーリー | 恋愛 |
3位 角川文庫『リトル・バイ・リトル』
デビュー初期の新鮮さあふれる作品
第25回野間文芸新人賞受賞作である本作は、島本理生さんの初期の作品の中でも、優しと明るさが感じられる青春恋愛小説です。
高校を卒業し、アルバイトをして暮らす18歳の主人公。複雑な家庭環境の中で育った彼女、一見すると暗めの話になりがちなのですが、この作品に流れるのは等身大の女の子の恋と家族との物語で、ささやかだけどキラキラした日々が描かれています。
近年の島本理生さんの作品から読み始めた人にもおすすめしたい、ちょっと違う一面の見えるデビュー2作目のフレッシュな恋愛小説です。
初版 | 2003年 | ページ数 | 176P(文庫本) |
ジャンル | 長編 | ストーリー | 恋愛・青春 |
2位 角川文庫 『ナラタージュ』
切なく青い、ラブストーリーの名作
デビューから4作目にして、島本理生さんを一躍有名作家の仲間入りさせたとも言われる作品で、嵐の松本潤さんと朝ドラにも出演した清純派女優の有村架澄さんが出演し映画化した事でも知られています。
ナラタージュとは映画の用語で、ある人物が過去を回想や語りによって表現する手法の事です。主人公の高校の時に片思いしていた先生からの突然の電話から物語が動き出します。
好きになってはいけない、と思う気持ちと募る恋心を切なく描いた作品で多くの人に支持されています。表現や描写が美しく、それがかえって切なさの余韻を際立たせるラブストーリーです。
初版 | 2005年 | ページ数 | 411P(文庫本) |
ジャンル | 長編 | ストーリー | 恋愛 |
1位 文藝春秋『ファーストラヴ』
引き込まれる、著者初の直木賞受賞作品
直木賞受賞作として注目を集めた「ファーストラヴ」。島本理生さんは以前にも直木賞候補に挙げられた事がありますが、本作が初の受賞となりました。
物語の筋としては、美貌の女子大生が父親を殺害したとして、一躍メディアの注目を集める中、彼女の事件を題材として執筆を依頼された臨床心理士の主人公(女性)が事件の真実と主人公自身の過去をも掘り下げるミステリー要素のある作品です。
このタイトルで、しかも恋愛小説家として有名な島本理生さんなので、メインはラブストーリーかと思いきや、ぐいぐいと引き込まれるミステリー&ヒューマンドラマです。
初版 | 2018年 | ページ数 | 299P(単行本) |
ジャンル | 長編 | ストーリー | ミステリー&ヒューマンドラマ |
まとめ
島本理生さんの作品は、女性の持つしたたかさと、恋の儚げな雰囲気を独特の文体で表現し、その繊細さは他に類を見ないストーリーを紡ぎ出します。ベースにある作風は共通しているものの、まずは興味のあるジャンルから島本理生さんの世界観を知るのも、初めての一冊を選ぶ際にはおすすめの方法だと言えます。
本サービス内で紹介しているランキング記事はAmazon・楽天・Yahoo!ショッピングなどECサイトの売れ筋ランキング(2020年11月20日)やレビューをもとに作成しております。