クランプメーターは、日本語では「架線電流計」と呼ばれ、電流を測定する際に用いられる工具です。一般的に電流を測定する時は、いったん一部の回路を切断して電流計を電線に対して直列に接続するという高度な工程が必要となります。また、電線に直接電流計を差し込んだ場合、回路の直列抵抗と電流計の内部抵抗が上昇するため、回路内の電流と負荷による電圧に差が生じ、正確に測定することできません。

しかし、クランプメーターを使えば回路を切断せず電線に留めるだけで簡単に電流を安全に正確に測定することができるのが特徴です。電線に直接触れる必要がないため、家庭用の電流だけでなく、大きな電流を測定する場合でも、感電する心配もなく安全に測定作業を行うことができます。

さらに、クランプメーターは一本の電線だけでなく、複数本ある電線の回路の電流の合計も測定することができます。それにより、漏れ電流の測定を行うことも可能です。また、クランプメーカーには、交流電流や直流電流を測定できるタイプや、抵抗値や電圧を測定できるタイプがあります。表示部分は、デジタル数値で表示されるタイプが主流となっていますが、アナログ表示になっているタイプもあります。

クランプメーターを選ぶ時にチェックすべきポイントをご紹介していきましょう。

クランプメーターには、測定方法が異なるいくつかに分類されます。ご紹介していきましょう。

変流器方式という測定方法は、電流により発生する磁力をセンサーで自動的に探知し、電流に換算することにより、電流を測定する方法です。変流器（CT）方式を採用しているクランプメーターの構造は、磁気コアにコイルが巻かれている仕組みになっています。クランプを留めた線が1次側、電磁コアに巻かれた線が2次側で受ける変圧器と類似した仕組みで電流を測定します。

また、広範囲で測定することができますが、直流電流を測定することはできません。2次側の線が解放された状態で1次側の線に電流を流した場合、原理的に高電圧になることがありますので注意が必要となります。

ホール素子方式という測定方法は、変流器（CT）方式と仕組みは似ており、電流により発せられる磁気をホール素子というセンサーによって探知し、その磁気を電流に換算して電流を測定する方法です。クランプを留めた電線から発せられる磁気をホール素子と呼ばれるセンサーが電圧に変換することにより、電流に換算する仕組みになっています。

このホール素子方式が採用されているクランプメーターであれば、交流電流だけでなく、直流電流も測定することができます。ただ、ホール素子の電磁コア部分の構造や磁気回路の設計の違いによって性能に差が出てくる場合があるため、注意が必要となります。

ロゴスキー方式が採用されているクランプメーターは、電流により発せられる磁気をセンサーで探知し、その磁気を電流に換算して電流を測定する方法です。ロゴスキー方式のクランプメーターには、電磁コア部分が無く、空洞の状態でロゴスキーコイルが巻かれている構造になっています。

電流に合わせた電圧を放出するため、その電圧を積分して換算することで電流を測定する仕組みになっています。周波数の範囲が広く、電磁コアが無いので自由に曲げることが可能です。交流電流の測定は可能ですが、直流電流の測定はできませんので注意しましょう。

漏れ電流を測定できるタイプのクランプメーターは、1A以下の電流を測定することができ、測定を行う複数の電線をクランプで留めます。電線が２本であれば、２本一緒にクランプではさんで測定を行います。電流から発せられる磁力を捉えて測定を行う仕組みのクランプメーターは、複数の電線の負荷を往復するので、逆流する磁力が発生し、それぞれの磁力が消滅し合うことになります。

それぞれの磁力に差異がある場合は、クランプメーターで複数の電線を留めて漏れ電流があると表示されます。また、漏れ電流測定ができるクランプメーターであっても、60Hzや 50 Hzなどの周波数の付近以上であれば、負荷電流を測定することが可能です。

クランプメーターのうち、負荷電流測定タイプは、1A以上の電流であっても測定ができ、複数の電線を一度に留めるのではなく、その中の1本をはさんで測ります。

その理由は、電流から発せられる磁力を捉えて測定を行う仕組みであるため、電線の負荷に往復して流れる電流からそれぞれ逆行する磁力が発せられるため、消滅し合ってしまい測定の数値が計測できないためです。負荷電流を測定できるものは、電線を1本ずつはさんで電流の数値を測ることが必要です。

負荷電流を測定することができるクランプメーターは、電波の波形を電流数値に換算する整流方式により、2種類に分けられていますのでご紹介します。

電波の波形の数値を平均化して電流数値に換算する仕組みを平均値整流方式と言います。電波の波形に歪みが生じていない正弦波の時には、整流方式の違っていても同じ数値になります。

半導体などの負荷が原因で電波の波形に歪みが生じている場合は、平均値整流方式のものでは正しく電流の数値を測ることができないので注意が必要です。

実効値整流方式とは、実際の電波の波形の数値を電流の数値に換算する仕組みのことを言います。

実効値整流方式のものでは、電波の波形に歪みが生じていない正弦派の場合だけでなく、電波の波形に歪みが生じている場合にも正確な電流数値を測定することができます。

電流の測定できる電流によって分類されています。ご紹介しましょう。

交流電流を測定するものは、交流電流の数値を測定することができます。周波数帯域が主に50Hzや60Hzなどの商用電源周波をメインになっているものを言います。それ以外にも商用周波数である50Hz以下の汎用インバータを測定することができるものを言います。

交流電流はもちろんですが、直流電流であっても測ることができるクランプメーターがあります。このタイプのものであれば、複数の電流が重複している電線であっても電流の測定を行うことができます。

直流電流を測定できるもののは、直流電流のみしか測れない場合が多く、交流電流が重複している電線においては測定が不可能であることがことが多いため、注意しましょう。

表示方式の違いについてもチェックしてみましょう。

電流を測定した数値がデジタル数字でクランプメーターに表示されるタイプのものがあります。現在、販売されているクランプメーターの多くがこのデジタル表示になっています。デジタル表示のクランプメーターであれば、1以下の数値であっても正確に数値を測定することが可能です。

また表示部分にLEDライト付きのタイプであれば、暗い場所で電流の測定を行う場合でも見えやすくおすすめです。半導体回路の電流を測定する場合や、より正確な電流の数値を測りたい場合には、デジタル表示ものを選ぶことをおすすめします。

電流を測定した数値がアナログで表示されるタイプのクランプメーターがあります。最近では、アナログ表示のものがデジタル表示のものに比べて少ない傾向にありますが、針の動き方を見て判断することができるので便利です。

また、アナログ表示タイプのものは、デジタル表示タイプのものに比べて価格が安価なものが多く展開されているのが特徴です。ただ、電流の数値を1以下の単位まで正確に測りたい場合には、アナログ表示のものは向いていませんので注意しましょう。

測定しようとする電線の太さに合わせて適応したものをチェックしていきましょう。

電流を測定しようとする電線にクランプメーターをはさんで、測定を行う仕組みですので、電線の太さの適応範囲がそれぞれ決められています。太い電線をはさんで電流を測る場合は、小さいもの使って行うことができませんので、可能な太さの適応範囲内である大きいものを選ぶようにしましょう。

電流を測定する電線が細いのであれば、大きなサイズのクランプメーターでは邪魔になるだけでなく正確に測定することができない場合もあるため、なるべく比較的サイズのクランプメーターを選びましょう。クランプメーターを使って細い電線の電流を測定したい場合であっても、電線の太さとクランプメーターの適合する太さを確認してから選ぶことをおすすめします。

クランプメーターについての選び方や人気商品をランキングでご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。今回ご紹介しました内容を参考にして自分の使用目的に合ったクランプメーターを見つけて快適な測定作業を行いましょう。